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手足のつっぱり【痙縮】について

手足のつっぱり【痙縮】について

はじめに

手足のつっぱり【痙縮】は筋緊張異常であり、脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)の後遺症で悩んでいる方は多いと思います。
今回【痙縮】について簡単な概要から原因、日常生活の制限、リハビリについてまとめました。

目次

●痙縮患者数
●筋緊張と筋緊張異常
●痙縮とは
●痙縮による日常生活の制限
●痙縮の治療とリハビリ
●筋緊張亢進によるリハビリと予防

目次

●痙縮患者数
●筋緊張と筋緊張異常
●痙縮とは
●痙縮による日常生活の制限
●痙縮の治療とリハビリ
●筋緊張亢進によるリハビリと予防

痙縮の患者数

2020(令和2)年の脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)の患者数は174.2万人(男性約94万人・女性80万人)と報告されています。その中で、多くの方が手足のつっぱり【痙縮】を経験されています。また、そのうち重度痙縮患者は7%弱という海外の調査報告から、国内にも10万人以上と推察されます。

筋緊張と筋緊張異常

通常、私たちの筋肉は安静時に一定の緊張を保っています。これらは筋トーヌスあるいは筋緊張と呼ばれ、活動するための準備状態です。運動制御や姿勢保持にとっても重要な役割を果たしています。筋緊張は一般的に体の力を十分に抜いた状態で他動的に動かして判断します。筋緊張の成因として①筋肉が伸ばされたことにより引き起こされた反射性の収縮(伸張反射)、②筋自体に備わっている粘弾性の2つが機序と考えられています。
筋緊張の異常には筋緊張低下と筋緊張亢進があり、亢進には痙縮と固縮、ジストニアがあります。また、臨床的には痙縮と固縮の中間に強剛固縮という状態も存在します。
脳卒中では脳の障害部位やその程度、あるいは発症からの経過や病態の管理方法などにより、いずれの筋緊張異常も認められますが、脳卒中片麻痺患者のリハビリテーションでは筋緊張亢進、特に痙縮の治療・コントロールが重要です。

痙縮とは

痙縮は1980年のLanceの報告で「中枢神経疾患によって起きる、緊張性伸張反射(筋緊張)の速度依存性の亢進の結果生じる上位運動性ニューロン症候群の一徴候」と定義されています。また、これまでは錐体路障害によって引き起こされると考えられていましたが、近年では「錐体路だけでなく、錐体路以外の運動神経も同時に障害されて症状を呈する」という概念が一般的になってきました。そのため、鈴木らによると痙縮の要因を大きく分けると

 ①中枢神経系からの促進性下行運動路の影響
 ②中枢神経系からの抑制性下行運動の影響
 ③求心性抹消神経の影響
 ④遠心性抹消神経の影響
 ⑤筋・腱の機能変化の影響

という5つに分類しています。また、5つにプラスして精神状態や環境要因も含めた包括的な視点を持つ必要があります。

痙縮による日常生活の制限

脳血管疾患の後遺症の中でも多い痙縮ですが、人によって程度はさまざまであり、「手足がつっぱる」以外にも「手足がうまく動かせない・こわばる」「踵がつかない」「手が開かない」「肘が伸びない」などといった訴えをされる方もいらっしゃいます。このような身体の状態から、弛緩性の筋緊張ならまだしも、筋緊張が亢進し、リラクゼーションを取らないまま過剰な努力性運動を行い続けてしまうと、筋肉だけでなく関節が固くなり、日常生活に大きな影響を及ぼしてしまいます。以下に代表的な日常生活の制限についてまとめてみました。
 皆様は当てはまるものはないでしょうか。また、ご家族やご友人に同じようなお悩みの方はいらっしゃいませんでしょうか。
・肘関節の屈曲拘縮
肘が伸びないことで、洋服の脱ぎ着が大変。物を取りたいと思っても腕が伸びてくれない。歩いていると麻痺側の肘が電柱やすれ違う人にぶつかってしまうなど
・手指の屈曲拘縮
手が握ったまま伸びてくれない。手が洗えない。爪を切るのが大変など
・はさみ足
足が内側に入ってしまい、ズボンや下着の着脱が大変。歩いていても足が内側に入り不安定で怖いなど
・内反尖足
立っても踵が付かない。足が捻じれてしまい転びやすくなった。歩き方が不安定など
・肘の屈曲拘縮
肘が伸びないことで、洋服の脱ぎ着が大変。物を取りたいと思っても腕が伸びてくれない。歩いていると麻痺側の肘が電柱やすれ違う人にぶつかってしまうなど
・手指の屈曲拘縮
手が握ったまま伸びてくれない。手が洗えない。爪を切るのが大変など
・はさみ足
足が内側に入ってしまい、ズボンや下着の着脱が大変。歩いていても足が内側に入り不安定で怖いなど
・内反尖足
立っても踵が付かない。足が捻じれてしまい転びやすくなった。歩き方が不安定など

痙縮の治療とリハビリ

痙縮の治療にはいくつかの方法がありますが、いずれの治療を行う場合でも生活指導やリハビリとの併用は必須であります。
① 抗痙縮薬
中枢性または末梢性筋弛緩薬が初期治療として選択されることが多い。
② ボツリヌス毒素治療
2010年に上下肢痙縮に対しての適応が拡大し、国内でも多く行われている。効果は投与数日後から出現し、約2週間で効果が安定する。3-6か月程度効果があるとされている。
③ バクロフェン髄腔内投与(ITB)
③ バクロフェン髄腔内投与(ITB):脊髄内の受容体に直接作用し、筋緊張を軽減させる。既存の治療で効果が不十分な重度の痙縮に対して適応である。
④ 手術療法(整形外科的手術)
アキレス腱延長術や後脛骨筋腱移行術などにより、内反尖足や足趾変形などを直接矯正する。術前に歩行訓練が行えていることが必要条件となる。
上記の方法以外にもありますが、お近くの病院やクリニックにご相談ください。


また、痙縮に対する脳卒中ガイドラインも参考にしてください。
片麻痺の痙縮に対して、チザニジン、バクロフェン、ジアゼパム、ダントロレンナトリウム、トルペリゾンの処方を考慮することが強く勧められる(グレードA)。顕著な痙縮に対しては、バクロフェンの髄注が勧められる(グレードB)。
上下肢の痙縮に対し、ボツリヌス療法が強く勧められる(グレードA)。フェノール、エチルアルコールによる運動点あるいは神経ブロックが勧められる(グレードB)。
痙縮に対し、高頻度の経皮的電気刺激(TENS)を施行することが勧められる(グレードB)。
慢性期片麻痺患者の痙縮に対するストレッチ、関節可動域訓練が勧められる(グレードB)。
麻痺側上肢の痙縮に対し、痙縮筋を新調位に保持する装具の装着または機能的電気刺激(FES)付き装具を考慮してもよい(グレードC)。
痙縮筋に対する冷却または温熱の使用を考慮してもよい(グレードC)。

筋緊張亢進に対するリハビリと予防

筋緊張亢進は、筋肉が過度に緊張している状態であり、痛みや運動制限を引き起こす可能性があります。以下は、筋緊張亢進に対するリハビリと予防方法のいくつかです。
リハビリ方法
内容
ストレッチング
筋緊張亢進を改善するために、ストレッチングは重要な方法の1つです。適切なストレッチング方法により、筋肉の柔軟性を向上させ、筋緊張亢進を減らすことができます。
筋力トレーニング
筋力トレーニングは、筋肉のバランスを改善し、筋肉を強化するための有効な方法です。特定の筋肉が弱くなると、周りの筋肉が過度に緊張してしまうため、筋力トレーニングは筋緊張亢進の予防にも役立ちます。
マッサージ
筋肉のマッサージは、筋緊張亢進を緩和するために有効な方法の1つです。マッサージにより、筋肉の血流が改善され、筋緊張が緩和されることがあります。
予防方法
内容
良好な姿勢
正しい姿勢を維持することは、筋肉の緊張を減らすために重要です。長時間同じ姿勢を保つことは、筋肉に過度の負荷をかけるため、適度な休憩を取ることが大切です。
適度な運動
運動は筋肉を強化し、筋肉の柔軟性を向上させるために重要です。筋肉を維持し、筋肉の弱点を改善するために、定期的に運動をすることが良いでしょう。
ストレスの管理
ストレスは、筋緊張亢進を引き起こす可能性があります。ストレスの原因を特定し、ストレスを減らすための適切な方法を見つけることが重要です。
以上が、筋緊張亢進に対するリハビリと予防方法です。ただし、個人の状況に応じて、適切な治療法を選択するがあります。

リハビリベース国分寺

リハビリベース国分寺では様々な方法を用いて痙縮に対してのアプローチも行っています。前述したようにマネジメントのための生活指導やリハビリは必須になります。薬などの効果がしっかりと継続するためには関節が固くならないようにストレッチや電気刺激、動きやすい状態での日常生活動作の練習などのリハビリが必要になってきます。
 まずは、リハビリベース国分寺で90分の体験リハビリをしてみませんか。是非、リハビリの効果を感じていただき、機能改善のお手伝いをさせてください。

【参考・引用文献】

1) 厚生労働省:令和2年(2020)患者調査の概況
2)潮見泰蔵:脳卒中に対する標準的理学療法介入-何を考え,どう進めるか?,文光堂,2007
3)鈴木俊明・谷万喜子・他:脳血管障害片麻痺患者の痙縮と連合反応,関西理学 1:35-41,2001
4)笠原隆・正門由久:脳卒中後痙縮のマネジメントと治療,Jan J Rehabili Med 2018:55:448-452
5)近畿大学医学部 脳神経外科:痙縮・難治性疼痛

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原嶋崇人 リハビリベース国分寺院長 運動器認定理学療法士
小児から高齢者、俳優からスポーツ選手のリハビリを経験。ラグビーワールドカップ2019のスポーツマッサージセラピスト、TOKYO2020大会の医療スタッフとして派遣経験あり。スポーツ現場へのサポート、地域高齢者に対しての介護予防や転倒予防事業の講師などを行っている。

この記事を書いた人

小児から高齢者、俳優からスポーツ選手のリハビリを経験。ラグビーワールドカップ2019のスポーツマッサージセラピスト、TOKYO2020大会の医療スタッフとして派遣経験あり。スポーツ現場へのサポート、地

原嶋崇人 リハビリベース国分寺院長 運動器認定理学療法士

小児から高齢者、俳優からスポーツ選手のリハビリを経験。ラグビーワールドカップ2019のスポーツマッサージセラピスト、TOKYO2020大会の医療スタッフとして派遣経験あり。スポーツ現場へのサポート、地域高齢者に対しての介護予防や転倒予防事業の講師などを行っている。

脳出血発症から4年、リハビリ半年間~歩行獲得~動画

脳出血発症から4年、当施設のリハビリ半年間~歩行獲得~

【リハビリ半年~歩行獲得~】動画をYoutubeにアップしました。

4年前にくも膜下出血を発症した60代の方です。
在宅に退院した後も寝たきり状態で胃ろうだった方です。
気切を閉じ、起きれる時間が増え、機能改善を目指したときに自費リハビリ施設を探し、他の施設さんから当施設を選んでいただきました。その最大の理由は「歩く事に対しての目標に向けてしっかりと運動をしてくれるから。」です。

脳梗塞や脳出血などの脳卒中のリハビリでは半年経過すると変わらないと一般的には言われますが、本当にそうでしょうか。発症から数年経っても改善が見られます。
歩けなかった方が少しずつ歩き出した様子を是非ご覧ください。

コチラ

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腰痛シリーズ第5弾 腰部疾患に対するリハビリについて

【腰痛シリーズ】第5弾 腰部疾患に対するリハビリについて

腰痛シリーズ第1~4弾では腰部疾患についてのご説明をしてきました。
この第5弾では腰部疾患に対するリハビリについてご紹介できればと思います。

「腰が痛いから腰周囲をほぐす?」「体幹を鍛える?」「下肢が硬いから腰に負担がかかっている?」
腰痛についての治療などにおいていろいろなアプローチ方法がありますが、
今回は「Joint By Joint Theory」という理論に基づいてリハビリをご紹介していきます。

 
【目次】

●Joint By Joint Theoryとは
●エクササイズ紹介
●リハビリベース国分寺でできること

 
【Joint By Joint Theoryとは】

Jointとは関節のことを指します。
Joint By Joint Theory(以下JBJT)とは、人体の関節が、「安定性が重要視される関節」「可動性が重要視される関節」に分けられ、それぞれが交互に並んでいるという理論です。(図1参照)

『安定性』と『可動性』
各関節には主となる役割があり、可動性(モビリティ)安定性(スタビリティ)は交互に積み重なっているため、どちらかの役割が破綻してしまうと、隣り合う関節がその関節の機能を補おうとするため、ケガや痛み、パフォーマンスの低下に繋がってしまう可能性があります。

よく耳にするのは「腰痛になるのは体幹が弱いから。なので体幹を鍛えましょう。」と体幹の重要性について注目されてしまいがちです。
JBJTではいわゆる体幹と呼ばれている腰椎と骨盤帯は「安定性(スタビリティ)の関節」に分けられます。
隣接する胸椎と股関節は「可動性(モビリティ)の関節」になります。
もちろん体幹を鍛えるということは間違いではないですが、安定性だけを求めるのではなく、その他の機能不全が起きている部位にも着目してリハビリを行うことが重要です。
つまり、「腰痛だから体幹を鍛えよう!」ではなく、「腰痛だから体幹も鍛えつつ、胸椎や股関節の柔軟性を改善させよう!」といった思考になることがベストだと考えています。

しかし、ここで注意点があります。
腰椎-骨盤帯は安定性を重要視した関節になりますが、体幹トレーニングを過度に行い、固めすぎるのも逆効果です。
各関節には'参考可動域'というものがあり、その参考可動域と比較し、差がありすぎてもよくないのです。
※下部に脊柱の参考可動域(図2)を掲載してあります。
つまり、関節が動きすぎるのも、動かなすぎるのもどちらもよくないと考えています。
各関節の動きは参考可動域をひとつの目安とし、JBJT理論に基づいて適切なエクササイズを選択できれば、根本的な腰痛改善に繋がるのではないでしょうか。

 
【エクササイズ紹介】

各疾患や症状によって適応にならない運動やエクササイズがあるため、きちんと指導を受けながら行うことが望ましいです。

腰部疾患に対して実際に指導しているエクサイズを一部ご紹介いたします。
可動域改善のためのエクササイズを中心にお伝えしていきます。

痛みに注意しながら是非チャレンジしてみてください!!

 
☆殿筋ストレッチ

➀仰向けになって膝を曲げる。
➁右足首を左膝の上に乗せ、左側の大腿部後面を両手で持つ。
➂ゆっくりと左脚を胸の方へ引き付ける
➃右殿部の伸長感を感じながら30秒~1分程度キープ
➄左右の脚を入れ替える。

 
☆ハムストリングスのストレッチ

➀仰向けになり左脚のつま先にタオルをかける
➁ゆっくりと上方へ引っ張り上げていく。
➂太ももの裏に伸張感を感じながら30秒~1分間キープ
➃左右の脚を入れ替える。

 
☆腸腰筋ストレッチ

➀脚を前後に開く
➁前脚(左脚)に体重を移動させていく
➂後ろ脚(右脚)の付け根に伸張感を感じたら右手を上げて左方向へ体幹を倒していく。
➃更に付け根の伸長感を感じながら30秒~1分間キープ
➄左右の脚を入れ替える。

 
☆大腿四頭筋ストレッチ

➀横向きになり、両足を曲げる。
➁右膝を右手で抑え、左手で左足首をつかむ。
➂左脚を後方へゆっくり引っ張っていく。
➃左脚の大腿部前面の伸張感を感じながら30秒~1分間キープ。
➄左右の脚を入れ替える。

 
☆胸椎の可動域改善エクササイズ➀

➀四つ這いになり、両手を30㎝程前方へ移動させる。
➁おでこ、胸を床へと近づけていく。
➂脇の下、背中の伸張感を感じながら30秒キープ。
 この時お尻を後方へ突き出したり、腰を反らせすぎないように注意する。

 
☆胸椎の可動域改善エクササイズ➁

➀横向きになり左脚を曲げ、右手で左膝を抑える。
➁左手は後頭部に置き、ゆっくり胸を開いていく。
➂左胸あたりの伸張感を感じたらゆっくり深呼吸を3~5回程度行う。(5~10セット繰り返す)
➃左右を入れ替える。

 
【リハビリベース国分寺でできること】

リハビリベース国分寺では、整形疾患や慢性疼痛に対してのリハビリも行っております。
理学療法士が皆様の身体を的確に評価し、適切なリハビリメニューや運動負荷を設定し効率よく改善できるようにサポートしていきます。
お身体のことでお悩みの方、ぜひ一度体験リハビリを受けてみませんか?

※体験リハビリの無料期間は2023年4月15日までにご連絡をいただけた方までとなっております。
迷っている方、ご連絡お待ちしております!!
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小平市で受けられるリハビリ施設

小平市で受けられるリハビリ施設について

リハビリベース国分寺では脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などの脳血管疾患による後遺症の運動機能向上の為にリハビリにご来院されているご利用者様はもちろん、人工関節置換術(THA)人工膝関節置換術(TKA)変形性膝関節症(OA)など整形疾患による後遺症の方も運動機能向上の為のリハビリに国分寺市を中心に近隣地域の小平市にお住まいのご利用者さまも多くご来院されています。

ここでは小平市には、どのようなリハビリ施設があり、どれくらの時間のリハビリを受けることができるのかをご紹介します。
リハビリの3つの時期と施設についてのご説明は→【こちら】のブログをご覧ください。
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小平市×回復期リハビリテーション病棟

回復期病院では、整形疾患の場合満120日/脳血管疾患の場合満180日のリハビリを目的とした入院が可能です。
入院中は医療保険を利用して、一日最大9単位(3時間)のリハビリを毎日受けることができます。(月900時間)
1日3時間のリハビリでは、運動機能の為のリハビリだけでなく、言語や嚥下など様々な機能改善の為のリハビリが行われます。
小平市にある回復期リハビリテーション病院は主に
などとなります。

回復期病院では、医師・看護師・介護福祉士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医療ソーシャルワーカーなど在籍スタッフが連携して、入院から退院までの計画をたて、様々なアプローチにより無理のない在宅復帰にむけたリハビリが行われます。

主要なリハビリ内容は
寝返りや起き上がりなどの基本動作訓練や、車椅子駆動・移乗、下肢に関する訓練を行う【理学療法】
食事・整容・更衣・排泄・入浴等の日常生活の諸動作等について訓練を行う【作業療法】
失語症や構音障害、嚥下(飲み込み)障害や高次脳機能障害、認知症によるコミュニケーションの問題等について、 訓練・相談を行う【言語聴覚療法】などです。
*病院によってその方法や時間のかけかたは変わってきます。
入院のご相談は各病院(地域相談室)までご連絡くださいませ。 .
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リハビリベース国分寺(自費)×回復期リハビリテーション(保険適用)

回復期病院で毎日リハビリを行い運動機能が改善され、退院直後は身体が運動機能の再獲得に適した状態です。
その為、回復期病院の退院後もどれだけ運動機能向上の為にリハビリ時間を確保するかが重要となってきます!
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小平市×整形外科クリニック

整形外科のクリニックでは、算定日(発症・診断)から150日間、月13単位(260分)まで保険内でリハビリを行うことが可能です。

高齢化社会の医療機関のひっ迫にともない、ほとんどの整形外科クリニックでのリハビリは20分のリハビリを週に1回行うのがほとんどです。
(コチラの記事を読んで下さっている方も、【20分/週】ではないですか?)

最大:20分にリハビリ×週1~2回=1か月260分
現状:20分のリハビリ×週1回=1か月80分

小平市にある整形外科クリニックは以下の表をご参照下さいませ。
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リハビリベース国分寺では、1回90分のチケット制となっております。
週に何度でも1日に何分でもご希望に沿ったリハビリを行うことが出来ます。
保険外の自費リハビリだからこそご利用者様のご希望の日数や時間
しっかりと身体機能改善にむけたリハビリが叶います!
短期集中でライフゴール(目標)達成を目指し、その後の生活が豊かにしませんか?

退院後リハビリ時間が少なくなることが不安…
もっと身体の状態をよくしたい!リハビリ時間が足りない!
という想いを抱える方は是非一度リハビリベース国分寺に体験にいらしてください!

体験申し込みは→【こちら
自費リハビリについての詳しいご説明は【こちら】のブログをご覧ください!
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リハビリベース国分寺(自費)×整形外科クリニック(保険内)

自費リハビリ施設リハビリベース国分寺では、こうした保険内で行える整形外科クリニックのリハビリと併用して、さらにリハビリ時間を確保することができます。
90分のリハビリ時間では、カウンセリングにてお身体の状態を確認したうえで、しっかりと運動機能向上のトレーニングをおこないます。

リハビリベース国分寺に実際にご来院されているご利用者様の1週間のリハビリスケジュールをご紹介いたします。
【概要】
整形外科クリニックでのリハビリ(保険適用)20分×週1回
リハビリベース国分寺でのリハビリ(自費)90分×週2回
1か月のリハビリ時間=800分
.
  • 【リハビリスケジュール】
  • 月曜日
    月曜日 リハビリベース国分寺 90分(運動機能向上の為のリハビリ)
  • 【リハ】カウンセリング(前回のリハビリ後の変化など)・筋膜リリース・神経ストレッチ
  • ・・・・自宅でのトレーニングを確認・筋力強化トレーニング・姿勢矯正・歩行トレーニング
  • 火曜日 整形外科クリニックのリハビリ 20分(低周波マッサージ・可動域訓練)
  • 水曜日 筋肉の休息
  • 木曜日 筋肉の休息
  • 金曜日 リハビリベース国分寺 90分(運動機能向上のリハビリ)
  • 【リハ】カウンセリング(前回のリハビリ後の変化など)・筋膜リリース・神経ストレッチ
  • ・・・・自宅でのトレーニングを確認・筋力強化トレーニング・姿勢矯正・歩行トレーニング
  • 土曜日 筋肉の休息
  • 日曜日 筋肉の休息
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小平市×自費リハビリ施設

小平市周辺の自費リハビリ施設では、認定理学療法士や最新の知識・技術が研鑽されたが集まった療法士のいる『リハビリベース国分寺』がオススメです!

小平市在住のかたはもちろん、多摩地区(国分寺・府中・調布・国立・立川・八王子・日野・青梅・昭島・小金井など)に限らず、東京都外(埼玉県・神奈川県)からご利用者様がいらっしゃっています♪

国分寺市×リハビリの記事は→【こちら】から
府中市市×リハビリの記事は→【こちら】から
西国分寺周辺でおススメのリハビリは→ 【こちら

リハビリベース国分寺は、理学療法士のなかでも5%しかいない認定理学療法士である院長をはじめ、トップクラス技術・経験のある理学療法士が担当する完全予約制・マンツーマンのオーダーメイドリハビリが特徴の施設です。

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そんな想いをが抱える、脳卒中(脳梗塞・脳出血など)や慢性疼痛(腰痛・変形性股関節症・変形性膝関節症など)・人工関節置換術後などの方々は是非一度お問合せください。


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脳卒中(脳梗塞・脳出血など)発症後の手の浮腫(むくみ)とそのリハビリについて

脳卒中(脳梗塞・脳出血など)発症後の手の浮腫(むくみ)とそのリハビリについて

はじめに

脳卒中発症直後から多くの方が手足の浮腫(むくみ)を経験すると言われています。また、興味深い事にThuy Anh Giangらによるシステマティックレビューによると急性期の脳卒中患者の18.5%に手の浮腫が現れるのに対して生活期の脳卒中患者の37%に手の浮腫を合併すると言われております。浮腫に関しては様々な要因で表れていることが多く、しっかりと受診して医師の指示を仰がないと改善しない浮腫が多くあります。一方、リハビリを行うことで改善する浮腫もあります。今回は浮腫について、脳卒中後の後遺症の浮腫について解説、そのリハビリについてご説明いたします。

浮腫(むくみ)

浮腫とは何らかの原因で血管やリンパ管外に染み出し、水分が異常に増加し、体外に十分に排泄されず過剰に貯留した状態のことをいいます。そして、浮腫には水や電解質(特にNa⁺)が体内に蓄積したときに発現する全身性の浮腫と、ある部分の組織間に限られた局所性の浮腫と分類します。主にリハビリの対象は後者の局所性の浮腫が中心となります。
全身性の浮腫は心疾患、腎疾患、肝疾患などが原因でこれらには医師の診断を仰ぎ、薬物療法と共に改善させていく必要性があります。局所性は原因不明のものが多いです。脳卒中後の手足に発現する浮腫は肩手症候群と称する症状の1つとして腫脹や痛みを伴う炎症性浮腫や血管の収縮・弛緩を支配する血管運動神経の麻痺あるいは機能不全によって毛細管内圧の上昇をきたした結果生じる血管神経性浮腫(クインケ浮腫)があります。

脳卒中(脳梗塞・脳出血など)発症後の浮腫

脳卒中発症後の浮腫は前述した肩手症候群の症状の痛みを伴う炎症性浮腫と血管運動神経の麻痺や機能不全によって生じる血管神経性浮腫、麻痺側上下肢の不使用・不動による筋のポンプ作用の低下による麻痺性浮腫があります。
 肩手症候群の発生メカニズムは未だ不明であり、腕神経叢の神経周膜や神経栄養血管が傷ついたことが原因とか、交感神経系の経路の病的反射路の形成とも言われることがあります。主に1・2・3期と別れており、発症から3-6か月の1・2期で改善しないとそれ以降の3期では手指は完全拘縮となり、通常回復は望めないと言われています。
 しかし、冒頭に述べたように生活期では主に発症から6か月以上経った方を指しますが、37%程度の方に手の浮腫があると言われております。これらは、血管の収縮・弛緩を支配する血管運動神経麻痺あるいは機能不全により浮腫み易く、生活場面での使用頻度の低下による不動が筋のポンプ作用を低下させ、指節間に貯留したり、手の甲全体に浮腫が生じ、生活での細かな動作が阻害されてしまうことがあります。
そのため、リハビリの主な対象となる手の浮腫はこの麻痺の影響と使用頻度の低下した手に対して行われています。


手の浮腫とリハビリ

手の浮腫とリハビリには前段に様々な要因でなっていることを十分に考慮したうえで選択するべきであります。浮腫の理学療法的介入は①挙上②圧迫③筋収縮の3つがベースとなります。以下にさまざまな方法からいくつか代表的な介入方法の概要をお伝えします。
●患肢挙上
手そのものは日常心臓より低い位置にあることがあるが、夜間就寝時はもとより、昼間においても極力患肢が心臓より低くなる位置を避け、管理することが重要である
●マッサージ
マッサージの目的は、機械的な作用と毛細血管拡張などの反射性作用により、末梢での体液還流を促進し浮腫の軽減を図ることにある。浮腫肢に対して主に揉捏法・強擦法・軽擦法などを状況に合わせて組み合わせて行う。一般的に末梢から中枢に向かって行うが、まずは近位部におけるリンパ流への抵抗を減少させてから始めることが効果的であると言われている。
●通電療法
筋収縮を電気的に起こすことで筋ポンプ作用と共に代謝を促進することによって体液移動を促進させることを目的に行われる。筋活動により局所の代謝が盛んになり、血管の拡張と血流の増加を招く。実施にあたっては、筋ポンプ作用を期待できるように筋収縮を起こすこし、通電中は挙上位に保つことが効果的である。
●運動療法
運動療法は筋の収縮・弛緩によるポンプ作用による組織液還流の促進、浮腫液の長期の貯留が招く結合組織の増殖による瘢痕化と関節可動域障害の予防などを主な目的として行われる。他の方法と組み合わせて行いやすい。
これら方法を用いながら、自主練習やADL動作と組み合わせ、周径の計測や圧痕性の時間計測、体重管理など確認しながら、セルフコントロール出来るようになると生活期においても改善する例がいくつもあります。浮腫の改善には体液に関わる基礎的な生理学から浮腫の成因、さらには対処の方法など広範囲な知識と経験を解析・統合させていく必要があります。それには、経験豊富なリハビリ専門職でないと対応できないのは言うまでもありません。

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この記事を書いた人

小児から高齢者、俳優からスポーツ選手のリハビリを経験。ラグビーワールドカップ2019のスポーツマッサージセラピスト、TOKYO2020大会の医療スタッフとして派遣経験あり。スポーツ現場へのサポート、地

原嶋崇人 リハビリベース国分寺院長 運動器認定理学療法士

小児から高齢者、俳優からスポーツ選手のリハビリを経験。ラグビーワールドカップ2019のスポーツマッサージセラピスト、TOKYO2020大会の医療スタッフとして派遣経験あり。スポーツ現場へのサポート、地域高齢者に対しての介護予防や転倒予防事業の講師などを行っている。

腰痛シリーズ第4弾 腰椎分離症について

【腰痛シリーズ】第4弾 腰椎分離症について

成長期に多い腰痛の中でも早期発見が鍵となる『腰椎分離症』
今回のブログでは腰椎分離症の病態や症状、所見などをまとめています。
「理由は分からないけどスポーツ中の腰痛が思うように改善しない、、、」「病院受信のタイミングがわからない」そんな悩みを抱えている方へご参考になれば幸いです。

 
【目次】

●腰椎分離症とは
●自覚症状
●診断
●治療
●参考文献

 
【腰椎分離症とは】

腰椎の後ろ半分がリング状の形をしており、その部位が疲労骨折(分離)してしまうことを腰椎分離症といいます。
スポーツ動作による過度な後屈・回旋・側屈の複合動作により分離を引き起こしてしまいます。
主に10代の成長期に見られることが多く、発症すると腰痛や下肢の痺れなどが引き起こされる場合もある疾患です。

 
【自覚症状】

腰椎分離症ではスポーツ活動などの動作以外は比較的症状が軽く、主に体動時に片側に範囲の狭い鋭い痛みを訴えることが多いです。
体幹の後屈時・側屈時・開戦時に、同一部位の狭い範囲に痛みを訴えます。通常、座位や立位も含めて安静時の痛みは少ないといわれていますが、発症初期や、炎症反応が強い時期には安静時や体幹屈曲時にも腰痛が出現し、下肢痛を訴えるケースも少なくはありません。

 
【診断】

〇身体所見
・疼痛部位の確認
・棘突起および周囲の圧痛の確認
・腰椎の動作時痛の確認(前屈・後屈・側屈・回旋)
・他の疾患との鑑別のため、下肢伸展挙上テストや徒手筋力検査も行う場合もある

※後屈ではほぼ全例(約95%)が指をさした部位に痛みを訴え、左右の側屈では患側が痛む場合と反対側が痛む場合がありますが、陽性率は約75%といわれています。
左右の回旋では回旋の反対側に痛みを訴えることが多いです。


〇画像所見
・単純X線所見
単純X線は「腰椎診療ガイドライン」において20歳以下はred flagに該当(1)するため、必要最低限の検査です。4方向撮影(正面、側面、両斜位)が基本であり、斜位像による"スコッチテリアサイン(スコッチテリアの首輪)"にみられるような関節突起間部の骨連続性が断たれた状態は腰椎分離症の単純X線所見として有名です。しかし、腰椎分離症の早期例では、腰椎X線4方向撮影で分離像を認められないのが一般です。したがって、この有名な所見は完成された分離症終末期と一部の進行期にしか認められません。また、腸管ガスが重なることもあり特に初期以前では単純X線での診断は難しいとされています。
・MRI
早期に関節突起間部の骨髄浮腫(骨が腫れている状態)を捉えられ、骨癒合の目安になるため、腰椎分離症の診断にはMRIは必須の検査です。
長くとも1週間以上続くような身体所見を認める場合は、早期診断のためにMRIを撮影することをお勧めします。

・CT
CTは腰椎分離症の病期分類(図1)には欠かせないため、特に骨癒合を目指す際はMRIとともに必須の検査になります。
〇文献
(1)日本整形外科学会,他監:腰痛患者が初診した場合に必要とされる診断の手順は、腰痛診療ガイドライン、第2版、日本整形外科学会診療ガイドライン委員会、他編、南江堂,2019.p22-4.

 
【治療】

〇保存療法
発育期の腰椎分離症では保存療法の選択が基本となります。
骨癒合を目指す場合は硬性コルセット装着による腰部の安静とスポーツの中止が必要となります。
スポーツ中止による対象者の不利益も十分考慮しなければなりませんが、分離症症状の増悪や骨癒合せず両側が偽関節となり分離すべり症に進行してスポーツ時の腰痛を引き起こす可能性が十分高いことも理解しなければなりません。また、将来を見据えた際にも、分離症の既往が原因で腰痛により動作に制限が生じる可能性も少なくないです。
これらの理由からもなるべく早期にMRIとCTによる確実な病期診断を行い、適切な治療方針を決定することが大切です。
保存療法では硬性コルセット着用による装具療法(終末期以外)、運動療法やストレッチ、超低周波超音波パルス照射(LIPUS)等の物理療法を中心に行っていきます。

病期や時期別の治療の流れを以下にまとめます。
〇手術療法
骨癒合が得られず偽関節となり、痛みが保存療法に影響したりスポーツ復帰に支障がある場合や本人が強く希望する場合は手術を検討しますが、適応は限られます。
手術治療は主に分離部修復術、分離部除圧術、椎体固定術が行われてますが、発育期の腰椎分離症に対する手術適応はかなり限られており、その中では分離部修復術が多く行われています。

前述した通り、腰椎分離症では基本的に保存療法を選択することが多くなっています。
医師の診断の元、的確な治療とリハビリが必要になってきます。

次回、腰痛シリーズ第5弾の【腰部疾患のリハビリについて】をご紹介いたします。

 
【参考文献】

・吉田徹.成長期腰椎分離症の診断と治療.2003
・加藤欽志.整形外科医のための脊椎のスポーツ診療のすべて.2022

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腰痛シリーズ第3弾 腰部脊柱管狭窄症について

【腰痛シリーズ】第3弾 腰部脊柱管狭窄症について

歩いているとお尻や足が痛くなる、、、体を曲げると楽になる!!
腰痛シリーズ第3弾は『腰部脊柱管狭窄症』についてのご紹介です。
腰部脊柱管狭窄症(腰椎すべり症も含む)の病態や症状、治療方法などをまとめています。

 
【目次】

●腰部脊柱管狭窄症とは
●腰椎すべり症とは
●身体所見
●診断
●治療方法
●参考文献

  
【腰部脊柱管狭窄症とは】

脊柱管とは背骨の中にある神経が通る空洞のことを指します。
脊椎の変性や突出した椎間板、椎間関節の変形、黄色靭帯の肥厚、すべり症により脊柱管、あるいは椎間孔が狭くなり、その中を通る神経、血管が圧迫されて症状が出現します。しかし、脊柱管狭窄症はひとつの疾患ではなく種々の症候の組み合わせからなると言われており、現在、腰部脊柱管狭窄症の定義について統一はされていません。また、今回のブログでは『腰部脊柱管狭窄症』を中心に『腰椎すべり症』についてもご紹介していきます。

 
【腰椎すべり症とは】

腰椎が前方または後方に偏位してしまう病態です。
すべり症では腰椎がずれることにより脊柱管が狭くなり神経が圧迫され脊柱管狭窄症の症状が出現する場合もあります。
腰椎すべり症は大別して、腰椎変性すべり症と腰椎分離すべり症の2種類に分けられます。
変性すべり症は加齢などによる椎間板の変性、椎間関節部周囲の靭帯、筋肉の弛緩などによって椎体や椎間関節部にずれが生じて、上下の椎骨がずれている状態を言います。
分離すべり症は腰椎の椎体と棘起間を結ぶ椎弓といわれる部位の骨折(疲労骨折も含む)により、椎体と突起間が分離し、上下の椎骨がずれてします状態を言います。
『腰椎分離症』については別シリーズで詳しく説明していきます。

 
【身体所見】

進行すると下肢の痺れや筋力低下、間欠性破行(歩行により症状が出現し、休息により症状が軽減する状態)、排尿・排便障害などが見られることもあります。
具体的な症状としては、殿部から下肢にかけての痛みやしびれ、症状が歩行や立位で増悪し座位や前かがみの姿勢で軽減するといったものが特徴的です。
他のガイドラインでも腰部脊柱管狭窄症の診断においてこれらの病歴や診察所見が明記されています。さらには歩行によって症状が増悪しない場合には腰部脊柱管狭窄症ではない可能性が高いともいわれています。

 
【診断】

脊柱専門医が腰部脊柱管狭窄症の診断に重要と考える病歴は
➀歩行時に殿部痛と下肢痛があるか。➁前屈で症状が楽になるか。➂ショッピングカートや自転車を使用すると症状が楽になるか。➃歩行時に運動や感覚障害が生じるか。➄足部動脈拍動が正常で左右差はないか。➅下肢筋力低下があるか。➆腰痛はあるかの7つと報告されています。(1)

腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状である「間欠性跛行」は、末梢動脈疾患などの「血管性間欠跛行」との鑑別が重要です。
間欠性跛行では立ち止まり前かがみの姿勢になっったり、しゃがみこんだりすることで症状が軽減することが特徴的ですが、末梢動脈疾患は姿勢と関係せず、立ち止まるだけで下肢痛が軽減する特徴があります。
また、足背動脈や後脛骨動脈の拍動の有無や、足関節上腕血圧比を測定するなど、診察所見と合わせて診断することが重要ともいわれています。
さらに(表1)のような腰部脊柱管狭窄症診断サポートツールなども開発されています。(日本脊椎脊髄病学会より引用)

レントゲンにて椎体の変形やすべり症の有無は判断できますが、脊柱管の狭窄度合いまでは診断できません。
その場合、MRIやCT、脊髄造影などを用いて診断することが多いです。
●文献
(1)ISSLS prize winner: consensus on the clinical diagnosis of lumbar spinal stenosis. Spine 2016; 41: 1239-1246.

 
【治療方法】

治療方法には「保存療法」と「手術療法」の2つの選択があります。

●保存療法
保存療法は薬物療法、運動療法、ブロック療法がエビデンスが高く、効果的といわれています。
物理療法や装具療法のエビデンスは現状のところ低いです。

腰部脊柱管狭窄の症状で活動量低下により、身体機能低下や筋力低下が生じ、さらに症状悪化を引き起こす場合もあります。
そのことから薬物療法と並行しての運動療法(リハビリ)は非常に重要ではないかと考えています。
重症例は除きますが、リハビリや運動を行うことにより二次的な障害予防にも繋がります。

●手術療法
腰部脊柱管狭窄症の手術には、除圧のみで行われる術式と、固定を併用する術式に大別されます。
除圧には、解剖学的に神経組織に接する骨・靭帯組織を切除して行う直接除圧と、それらの組織を温存したまま、神経組織周囲の圧迫を軽減する間接除圧があります。
固定はインプラントで椎体間や椎弓根スクリューを連結する強固な固定術が行われていますが、可動性の減少や長期的な椎間への影響を考慮し、椎体可動性を温存する制動術も行われています。

保存療法で症状が改善しない症例や、症状が重症な症例の場合は除圧術が保存療法より良好な成績が報告されています。
脊椎の不安定性を伴う症例は固定術を選択することが多いとされています。

※どの術式を選択するかは理学所見や身体所見をみながら医師が判断します。

次回の腰痛シリーズ第4弾では『腰椎分離症』についてご説明いたします。

 
【参考文献】

・日本整形外科学会.日本脊椎脊髄病学会.腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021改訂第2版.2021

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腰痛シリーズ第2弾 腰椎椎間板ヘルニア

【腰痛シリーズ】第2弾 腰椎椎間板ヘルニア

腰が痛い!?足が痺れる!?もしかしたらヘルニアかも?
腰痛シリーズ第2弾は『腰椎椎間板ヘルニア』についてのご紹介です。
腰椎椎間板ヘルニアの病態や症状、治療方法などをまとめています。

 
【目次】

●腰椎椎間板ヘルニアとは
●診断や身体所見
●治療
●治療方法の選択
●参考文献

 
【腰椎椎間板ヘルニアとは】

腰椎椎間板ヘルニアは、腰痛、下肢神経症状、腰椎不撓性(運動制限による動きの悪さ)
をきたす代表的な疾患です。
椎骨の椎骨の間には椎間板というクッション材のような組織が存在しています。
椎間板は外側の線維輪と呼ばれる膜とその中にゼラチン状の髄核から構成されています。
線維輪の損傷や椎間板内圧の上昇により腰痛が発症し、椎間板内にある髄核または線維輪内層が周囲の線維輪を破り、逸脱・突出することでヘルニアの症状が発現します。突出したヘルニアによる神経の圧迫により下肢神経症状が出現し、進行すると筋力低下や排尿・排便障害を引き起こす可能性もあります。
●好発部位
・L4/5
・L5/S1
この2部位がそれぞれ40~50%近くを占めています。

●ヘルニアの種類
・髄核膨隆(burlging type)
・髄核突出(protrusion type)
・線維輪完全断裂を伴う脱出(extusion type)およびヘルニアが遊離した髄核分離(sequestrusion type)

 
【診断や身体所見】

●医師による診断
腰椎椎間板ヘルニアは医師の診断が必要になります。
腰痛、下肢痛や痺れなどの神経症状、腰椎不撓性を呈することが臨床症状の特徴です。
単独で診断可能な特異的検査法はなく、問診や理学所見、画像所見(レントゲン、MRIなど)を総合的に判断し、それぞれの所見が矛盾しないことが腰椎椎間板ヘルニアの診断に必要となります。

●自覚症状
・短時間でも同じ姿勢でいることが辛い
・殿部から下肢までの痛みや痺れ、知覚障害、運動障害
・前かがみの姿勢、咳やくしゃみなどで悪化する下肢神経症状
・安静時痛があり、体動によって悪化する下肢神経症状
・発作性疼痛

◎症状を放っておくと、酷くなればなるほど下肢神経症状が悪化し、強い筋力低下や膀胱直腸障害にまで発展してしまいます。

●身体所見
・下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)
・ラセーグテスト
・大腿神経伸展テスト(FNSテスト)
・深部腱反射
・脊柱の可動性評価
・指床間距離(FFD)

●画像検査
無症候性の椎間板ヘルニアも存在するので、画像検査の結果と自覚症状が必ずしも一致するとは限りません。
画像検査の結果は自覚症状や身体所見との整合性を得ることが重要です。
レントゲンやCTなどは主に骨病変を診る検査となるため、ヘルニアの場合は特徴的な所見はありません。
MRIでは非侵襲的に椎間板ヘルニアの局所や椎間板変性、神経圧迫の程度の評価が可能であり、最も診断的意義が高い必須の検査になります。

 
【治療】

治療方法に関しては保存療法と手術両方に分かれます。

●保存療法
腰椎椎間板ヘルニアは保存療法を第一に選択する場合が多いですが、効果がない場合は保存療法を続けるべきではないと判断できます。
保存療法ではリハビリテーションでの治療や運動療法と薬物療法を並行していきます。それでも改善しない場合はブロック療法(硬膜外ブロック/神経根ブロック)を行う場合もあります。

●手術療法
腰椎椎間板ヘルニアの自然経過としてヘルニアが自然消滅するという報告がありますが、決して全例ではありません。
一般的には膀胱直腸障害や下肢筋力低下を呈する症例は早期の手術適応です。
また、保存療法を長期にわたり行い改善のない症例や保存療法の継続が社会復帰や競技復帰に向けて不利になる場合には手術療法への移行を検討します。

□手術方法
腰椎椎間板ヘルニアに対する術式には、以下の方法があります。
・LOVE法や顕微鏡下椎間板ヘルニア摘出術(microscopic discectomy:MD)
・内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術(microendoscopic discectomy:MED)
・全内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術(full-endoscopic discectomy:FED)
・経皮的椎間板摘出術(PN)
・レーザー椎間板蒸散法
・椎間板内酵素注入法

 
【治療方法の選択】

腰椎椎間板ヘルニアは、自然経過によって症状の原因となっているヘルニアの塊の吸収が起こる可能性がある疾患です。
吸収されるまでの期間としては3ヵ月間が目安とされている研究が多いため、まずは保存療法が基本となります。
保存療法の中でも「リハビリ」は重要な役割を担っています。
腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドラインでは腰椎椎間板ヘルニアに対する疼痛あるいは機能障害に対し、症状の緩和、QOL(生活の質)の向上を目的に行われるストレッチや筋力強化訓練などの運動療法は有用であるとされています。
運動療法を行うことで体幹・四肢の可動域改善、筋力の強化、持久力の増強、有酸素運動機能の向上、安定性をもたらし、運動能力の向上に繋がります。


上記でも示した通り各種保存療法での効果が乏しい場合や下肢運動麻痺の進行が認められる場合には手術的治療が選択されることが多くなっています。
腰椎椎間板ヘルニアに対する手術方法には様々な術式がありますが、どの術式でも概ね良好な成績が得られています。
どの術式を選択するかは医師の判断になりますでの担当医の説明を十分に理解することが必要です。

次回は腰痛シリーズ第3弾、『腰部脊柱管狭窄症』についてのご説明をします。

 
【参考文献】

・加藤欽志.整形外科医のための脊椎のスポーツ診療のすべて.日本医事新報社.2022
・日本整形外科学会.脊椎脊髄病学会.腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂版3版).2021

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