2024 年 10 月 7 日公開
良い姿勢について
良い姿勢とは
皆様は良い姿勢とはどんなものかご存知でしょうか?
簡単に良い姿勢とは何かを紹介させて頂きます。
良い姿勢とは、身体の各部分が適切な位置にある状態を指します。横から見た立位姿勢において、重心線が耳垂、肩峰,大転子、膝関節前部、外果の前方を通る姿勢が理想的と言われています。
良い姿勢を保つことで、筋肉や関節への負担が軽減され、痛みや不快感の予防になります。
その中でも「抗重力伸展活動」「脊柱の生理的湾曲」「腸腰筋」 が重要な役割を果たしています。
抗重力伸展活動
抗重力伸展活動とは、重力に対抗して体を伸ばすための身体の活動を指します。
姿勢を維持するには様々な身体の機能が必要となりますが、特に筋活動が重要な要素です。
抗重力伸展活動が適切に行われていないと、姿勢が崩れやすくなり、体が前に傾いたり、背中が丸くなったりすることがあります。
これにより、筋肉や関節に過度な負担がかかり、慢性的な痛みや疲労感を引き起こす可能性があります。
脊柱の生理的湾曲
脊柱は、単なる直線ではなく、自然な湾曲を持っています。
この湾曲は、生理的湾曲と呼ばれ、脊柱を支えるための重要な要素です。
脊柱の湾曲には、頚椎の前弯、胸椎の後弯、腰椎の前弯が含まれます。
この湾曲があることで、衝撃を吸収し、体重を効率的に分散させることができると言われています。
前述した抗重力伸展活動 が適切に行われていると、脊柱は自然と生理的な湾曲を維持することができます。
生理的湾曲が正常でない場合、脊柱に負担がかかり、腰痛や肩こり、首の痛みの原因となります。
例えば、頚椎の前弯が減少すると、頭が前に突き出す姿勢(ストレートネック)になり、肩や首に過度な負担がかかります。
また、腰椎の前弯が減少し腰が曲がった姿勢になると、腰に過度な負担がかかり、腰痛を引き起こす可能性があります。
腸腰筋(ちょうようきん)は、腰椎から大腿骨の内側にかけて位置する筋肉群で、骨盤の前傾をサポートし、腰椎が前弯しやすくなります。
この筋肉群が弱ると、骨盤が後ろに傾きやすくなり、腰椎に過度な負担がかかることがあります。
抗重力伸展活動 にはこの腸腰筋が重要な役割を担っており、腸腰筋を強化することで骨盤の位置が安定し、脊柱の生理的湾曲 が保たれやすくなります。
まとめ
良い姿勢を維持するためには、抗重力伸展活動、脊柱の生理的湾曲が重要であり、の為には腸腰筋が機能的に働いている事が重要です。
抗重力伸展活動が働き脊柱の湾曲が適切に保たれることで、体の負担が軽減され腰痛予防につながります。また、腸腰筋を強化することが良い姿勢を維持するために重要です。
【参考文献】
1)中村隆一他.医歯薬出版.基礎運動学(第6版)
2)中村尚人.有限会社ナップ.コメディカルのためのピラティスアプローチ.2019
2024 年 8 月 16 日公開
台風と関節痛
今年も台風シーズンが到来しました。本日は関東に台風7号が接近してますね!
台風が接近すると、気圧の変化によって関節痛や頭痛が悪化することがあります。台風が近づくと気圧が下がり、関節内の圧力が変わるため、痛みを感じやすくなることがあります。痛みの理由と対策方法を簡単にですがまとめてみました。
‐内容‐
1. 関節痛が悪化する理由
2. 対策方法
【関節痛が悪化する理由】
① 気圧の低下による間接内と関節周囲の組織に影響を及ぼします。
台風が近づくと気圧が低下します。通常、私たちの体は外部の気圧と内部の圧力が均衡していますが、気圧が急激に下がると、体内の圧力が外部の気圧と均衡を保つために圧力が変化します。この変化が、関節内の液体や組織に影響を与え、痛みを引き起こすことがあります。そして、低気圧によって関節周囲の組織が膨張し、これが神経を圧迫することで痛みを感じることがあると言われています。特に、関節炎や古傷のある関節は影響を受けやすいと言われています。
② 温度の変化が関節周囲の組織を硬くして血流を低下させてしまうことがあります。
台風による急激な温度変化も、関節の痛みを悪化させる要因となることがあります。急激な温度低下が関節周囲の筋肉や靭帯が硬直しやすくなり、これが関節の可動性を低下させ、痛みを引き起こす要因となります。そして、血流の低下は寒さによって血管が収縮し、血流が悪くなることで、関節への酸素や栄養の供給が減少し、痛みを感じることがあります。
【対策方法】
ⅰ温める(温熱療法) :
関節痛の緩和には、温熱療法が有効です。温めることで血管が拡張し、血流が改善されます。これにより、筋肉の緊張がほぐれ、関節の可動域が広がるため、痛みが和らぐことがあります。温める方法としては温かいタオルやホットパック、温浴などを使用して、痛みのある関節を温めると良いです。ただし、皮膚を火傷しないように注意することが重要です。
温泉や暖かいお風呂: 温泉や暖かいお風呂に浸かることも、関節痛の緩和に効果的です。
ⅱ軽い運動:
ストレッチや軽い運動で関節を動かすと、硬直を防ぐことができます。関節痛があると動かしたくなくなることがありますが、適度な運動やストレッチを行うことで関節の柔軟性を保ち、硬直を防ぐことができます。動かすことで関節液が循環し、滑らかな動きを維持できるため、痛みの軽減につながります。
具体的な運動例として、ヨガ、ウォーキング、簡単なストレッチなどが効果的です。無理なく行える範囲で、少しずつ動かすことがポイントです。
ⅲ十分な水分摂取:
体内の水分バランスを保つことも重要です。水分は関節のクッションである関節液の主要成分です。体内の水分が不足すると、関節液が減少し、関節の動きが滑らかでなくなるため、痛みを感じることがあります。また、脱水は筋肉や靭帯の硬直を引き起こしやすく、これが関節痛を悪化させることもあります。そのため、適切な水分補給を行うためには、こまめに水を飲むことが大事です。体内の水分バランスを保ち、関節の健康をサポートします。特に、台風などで気圧や天候が変化する時期には、水分補給を意識することが重要です。
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原嶋崇人 リハビリベース国分寺院長 運動器認定理学療法士
小児から高齢者、俳優からスポーツ選手のリハビリを経験。ラグビーワールドカップ2019のスポーツマッサージセラピスト、TOKYO2020大会の医療スタッフとして派遣経験あり。スポーツ現場へのサポート、地域高齢者に対しての介護予防や転倒予防事業の講師などを行っている。
2024 年 7 月 19 日公開
リハビリに効果的な食事
「リハビリはしているけど、なかなか筋力がつかない。」
「脳梗塞後で、身体が疲れやすい。」
「最近、フラつくことが多くなっている。」
このように感じた経験はありませんか?
病気が起きる前の予防 という観点からも、食事 はとても大切になってきます。
今回は、リハビリ回復に必要な食事や栄養に関して、重要な点を話していきます。
リハビリにおける栄養の重要性
栄養不足や食事の変化が原因となり得る疾患としては、
廃用はいよう 症候群、
脳卒中 、
褥瘡じょくそう 、
整形疾患 などが挙げられます。廃用は、広い意味では最近よく聞かれるサルコペニアの一種で、加齢に伴う筋肉量の低下を指します。
どんな疾患に至っても、リハビリ回復では基礎として、
食事がしっかり摂れているか が、とても重要です。
しかし、リハビリを必要としている方の中で、約4割の方が、十分な栄養が取れていないという事実があります
1) 。
以下のような変化を感じたことはありませんか?
・体重が減っている。
・日中、起きている時間より、寝ている時間が長い。
・最近、フラつくことが多くなった。
・疲れやすい。
骨折や病気をして一時的に寝ている時間が長くなり、筋力や体重が減ることは、当然の過程です。
ですが、リハビリで改善を図るためには、体重を取り戻し、また強い身体を作っていくことが必要不可欠です。
筋肉をつけ、運動に耐え得る持久性をつけていくために、エネルギー源となる食事の量と内容を考えていきましょう。
栄養による回復過程
リハビリで麻痺の状態の改善を図る、弱くなった部分を強くするためには、運動が必須です。
ですが、摂取カロリーよりも消費カロリーが上回っている場合は体重減少が起こり、運動をしても筋力がつきづらい状態となっています。また、寝たきりであったり活動量が少なかったりすると、食欲が低下し、食事量と体重が減る悪循環に陥ってしまっていることがあります。
65歳以上の方で起こるサルコペニアに対しても、体重を減らさない、必要であれば増やす取り組みをした上で、リハビリによる筋力向上を図ることが必要です。
ですから、適正体重よりも少なくなっている場合には、適正体重を目指して体重増加と筋力強化を行っていきます。
まず、目指すべき体重を決めてから、カロリー計算を行います。そして、想定した消費カロリーを上回る食事量を摂取します。
目安として、体重増加を目指す場合は、+200~500kcalです。
約7000kcalで体重1kgの増減がみられるため、上の数値を1ヶ月重ねると、1~2kgの体重増が起こることになります。
ただし、実際には消費と摂取の細かな動きには誤差が生じるため、運動量と、体重測定を小まめに行い、経過を追うことが必要です。
下の図の計算式に当てはめることで、大まかな消費カロリー計算をすることができます。
●消費カロリー計算式
エネルギー消費カロリー(kcal)= 1.05 × 体重 × メッツ × 運動時間(h)
●活動指標(メッツ)
1.0:座る、座っての活動(T V鑑賞、新聞や本を読む)
1.8:立位、たっての軽作業(料理、洗濯)
2.0:ゆっくりした歩行(53m/分)、更衣、整容、シャワー、ガーデニング
3.0:普通歩行(67m/分)、レジスタンストレーニング(軽度・中等度)、階段を降りる
、掃除、軽い荷物を運ぶ、介護
4.0: 自転車に乗る、階段をゆっくり登る
5.0:速歩、水泳
6.0:山登り
7.0:ジョギング
重要な栄養素
リハビリをより効果的に進めていくためには、具体的に、どの栄養素が必要でしょうか。
最近は、特定健康保険食品(トクホ)、機能性表示食品など、科学的な根拠に基づいた商品が多く出されるようになりました。他にもサプリメントなど、健康にまつわる多種多様な商品が出されています。
ですが、基本的には、バランスの取れた適量の食事 を摂ることが一番大切です。
バランスの取れた食事とは、「一汁三菜」 のことを指します。主食の炭水化物 に汁物、そして三種類のおかずです。おかずの1つ目は主菜となるお肉や魚などのタンパク質 、残りの2つは副菜として野菜 を摂り入れます。
食事バランスガイド(厚生労働省)
主食5~7V + 副菜5~6V + 主菜3~5V + 乳製品2V + 果物2V
上記の図は、厚生労働省・農林水産省が掲示している、食事バランスガイドです。
上から、主食である炭水化物。2つ目のおかずとしてサラダや、お浸し、煮物。3つ目にメインディッシュとなる肉や魚などのタンパク質が挙げられています。
一日に必要な割合が
○V で表示されており、代表的な栄養素が含まれる食材と、摂取すべき割合が示されています。
具体的な、一つ一つの食事にかかるカロリー数は、文部科学省の日本食品標準成分表をご参照下さい。
こちら→
文部科学省日本食品標準成分表
具体的な食事量カロリーは、先ほど述べたリハビリを通して目指すべき、体重の増減によります。
あくまでも目安となりますが、年代別の平均消費カロリーは以下の通りです。
●年代別平均消費カロリー(厚生労働省)
20代 1750~2300kcal
30~40代 1700~2250kcal
50~70代 1650~2050kcal
70歳以上 1350~1600kcal
このような基本的な、摂取と消費カロリーのバランスと、栄養素のバランスをとることが、リハビリを効果的に進めていくためには必要です。
特に、筋力強化には、肉や魚などのタンパク質が欠かせません。
筋力をつけるには、リハビリを開始してから、
8週〜12週 かかると通例で言われています
2) 。 筋力強化や、動作練習をすることで
筋の発火頻度 (神経と筋の伝達)が向上し、2週間目でも向上がみられますが、純粋に
筋肉が大きくなるのには2ヶ月以上 を要します。
その過程でも、
エネルギー源となる炭水化物を摂り、運動量を挙げていくこと 。
2ヶ月の経過でタンパク質から、筋肥大を作っていくこと 。
このような点を意識しましょう。
注意すべき食事
日本は、透析患者が他国と比較し、非常に多いことでも有名です。透析にいかないまでも、腎不全の予備軍は、8人に1人いるとも言われています。
その背景には、糖尿病や高血圧の人が多いという理由があります。脳卒中の起こる前の予防から、再発予防、糖尿病などの生活習慣病を防ぐためにも、
食事と運動は欠かせません 。
実際に注意すべき食事としては、塩分過多な食事、食品添加物を多く含むファーストフード、または無機リンを多く含む麺類や加工食品などが挙げられます。
もちろんお酒も含まれますが、特に塩分や脂が多い食事はご存知の通り、高コレステロール結晶、高血圧を引き起こし、脳卒中につながるリスクが非常に高いです。
脳卒中後の再発を防ぐためにも、食事の管理は非常に大切です。
脳卒中を防ぐ栄養素
脳卒中の因子は、運動習慣や、体重、脳血管疾患のある家族歴など様々です。これをしていれば大丈夫、とは、一概に言うことはできません。
ただ、日常生活で消費される食品の中には、脳卒中のリスクを回避できる栄養素が存在します。
血圧を抑えて脳卒中のリスクを低下させるには、K(カリウム)、CA(カルシウム)、Mg(マグネシウム)が効果的というデータがあります3)
特に野菜や果物、海藻類に多く含まれるカリウムは、血圧を抑え、脳卒中のリスクを低下させる働きがあると言われています。カリウムの含有量が多い食材には、ほうれん草、アボガド、ごま、アーモンド、カシューナッツなどが挙げられます。
疲労回復に効果的な栄養素
リハビリ過程で、リハビリの目標を達成するため、必然と運動量や活動量が増えていきます。そのため時には、筋肉をより大きく育てるための筋肉痛 や、運動量が多く疲労 を感じてしまうこともあると思います。
運動後に疲労を感じたら、睡眠や休息をしっかりとることも大切です。疲労がある中で焦ってリハビリを進めても、かえって逆効果となってしまいます。食事をとって、リハビリをしたら、30分以内の昼寝をとることもお勧めします。
また食事の面では、下記に挙げた、代表的な栄養素が非常に回復に欠かせません。
ビタミンB1
豚肉や大豆、玄米などに含まれるビタミンB1には、炭水化物から変わるブドウ糖をエネルギーに変換する大事な役割があります。主食となる炭水化物を、運動のもとなるエネルギーを貯蓄する作業に、ビタミンB1を摂取することで、エネルギー補給が促進されます。
ビタミンC
パプリカやブロッコリー、レモンなど色の着いた野菜や果物に含まれるビタミンCには、疲労の原因である活性酵素の増加を抑制する働きがあります。抗酸化作用と呼ぼれるもので、肌に大切なコラーゲンの生成にも欠かせません。
ブドウ糖
疲れた時に甘いものを欲してしまうのは、このブドウ糖の補給が必要な状態と言えます。リハビリは、時に集中力が必要となります。脳を活性化し、効率を高めるためにも、糖分摂取と、疲労を次に持ちこさないことが大切です。
鉄分
貧血に関して、よく聞く鉄分ですが、多く含まれている食材にはレバーや小松菜、あさりが挙げられます。筋肉の元となる、肉や魚にも多く含まれ、タンパク質の吸収には欠かせません。疲労が溜まり、「息切れがする」といった症状の時は、血液中に酸素を運ぶヘモグロビンが鉄分不足で、上手く生成されていないかも知れません。リハビリでは、筋力増強の他に、筋持久力も求められます。有酸素運動など、呼吸し筋肉へ効率的に酸素を運び、運動の耐応能を上げるためにも、必要不可欠な栄養です。
その他、クエン酸、お酢、カプサイシンなどにも、疲労回復を促進する栄養素があります。試してみることをお勧めします。
【参考文献】
1)若林秀樹.(2011).リハビリテーションと栄養. Jpn Rehabil Med 2011; 48:270-281.
2)諸角一記.他. (2021). 筋力増強における中枢神経要因および筋肥大性要因の分析.理学療法学 36(1):113-117,2021.
3)Massey, L.K. (2001). Dairy food consumption, blood pressure and stroke.
4)Abbott, R.D., et al. (1996). Effect of dietary calcium and milk consumption on risk of
thromboembolic stroke in older middle-aged men. The Honolulu Heart Program.
2023年9月14日作成
2024年7月19日編集
「リハビリは、しているけどなかなか筋力がつかない。」
「脳梗塞後で、身体が疲れやすい。」
「最近、フラつくことが多くなっている。」
このようなことが起きていることは、ありませんか?
病気が起きる前の予防という観点からも、食事内容はとても大切になってきます。今回は、リハビリ回復に必要な食事や栄養に関しても、重要な点を話していきます。
リハビリ栄養の重要性
リハビリを必要としている方の中で、約4割の方が十分な栄養が取れていないという事実があります1) 。
疾患としては、廃用症候群、脳卒中、褥瘡、整形疾患などが挙げられます。言い方を変えると、様々な変化がある中でも、食事の変化から、上記の疾患へ至ってしまうと言っても過言ではありません。最近よく聞かれるサルコペニアは、加齢に伴う筋肉量の低下を指し、広い意味では、廃用もサルコペニアの一種になります。
どんな疾患に至っても、リハビリ回復には、基礎として食事がしっかり摂れているか が、とても重要です。リハビリの前に、下記項目が起こっていないか、確かめてみて下さい。
・体重が減っている。
・日中も寝ている時間が、起きている時間より長い。
・最近、フラつくことが多くなった。
・疲れやすい。
筋力をつける、運動に耐えうる持久性をつけていくためにも、エネルギー源となる食事の量と内容を考えなければなりません。摂取カロリーに比べて、消費カロリーが上回っている場合は、体重減少が起こり、運動をしても、筋力がつきづらい状態となっています。また寝たきりや、活動量が少ないことも、食欲が低下し、食事量と体重が減る。このように、悪循環の引き金となってしまいます。
一度、骨折や病気をすると、一時的に寝ている時間が長くなり、筋力や体重が減ることは、言わば当然の過程です。ですが、リハビリ過程で、体重を取り戻し、また強い身体を作っていくことも大いに可能です。リハビリとともに、食事の量と栄養バランスを適切に定めていくことが、改善を図るため必要不可欠です。
栄養による回復過程
もしも、脳卒中が起こり適正体重より少なくなってしまった場合は、目指すべき体重を決めてから、プラスに転じるカロリー計算を行います。リハビリでは、麻痺の状態の改善を図る、弱くなった部分を強くするために、運動が必須です。想定した消費カロリーよりも、上回る食事量を摂取し、体重増加と筋力強化を図っていきます。逆に、体重が過多であった時は、適正体重まで減量ができるように、消費カロリーをより多く、摂取量を少なくする、という働きが必要になってきます。
目安として、体重増加を目指す場合は、+200~500kcal
体重を減らす場合は、-200~500kcal。
約7000kcalで、体重1kgの増減がみられるため、上の両者の数値を1ヶ月重ねると、1~2kgの体重増減が起こることになります。カロリー計算の目安として、下の図の計算式に当てはめることで、大まかな消費カロリー計算をすることができるので、用いてみて下さい。
実際には、消費と摂取の細かな動きは、誤差が生じてしまうため、運動量と、体重測定を小まめに行い、経過を追うことが必要です。65歳以上の方で起こるサルコペニアに対しては、体重を減らさない、必要であれば増やす取り組みをした上で、リハビリによる筋力向上を図ることが必要です。
●消費カロリー計算式
エネルギー消費カロリー(kcal)= 1.05 × 体重 × メッツ × 運動時間(h)
●活動指標(メッツ)
1.0:座る、座っての活動(T V鑑賞、新聞や本を読む)
1.8:立位、たっての軽作業(料理、洗濯)
2.0:ゆっくりした歩行(53m/分)、更衣、整容、シャワー、ガーデニング
3.0:普通歩行(67m/分)、レジスタンストレーニング(軽度・中等度)、階段を降りる
、掃除、軽い荷物を運ぶ、介護
4.0: 自転車に乗る、階段をゆっくり登る
5.0:速歩、水泳
6.0:山登り
7.0:ジョギング
重要な栄養素
次に、リハビリをより効果的に進めていくために、具体的にどの栄養素が必要でしょうか。
最近は、特定健康保険食品(トクホ)、機能性表示食品など、科学的な根拠に基づいた商品が多く出されるようになりました。他にもサプリメントなど、健康にまつわる多種多様な商品が出されていますが、基本的には、バランスの取れた適量の食事を摂るが一番大切です。
バランスが摂れた食事とは、「一汁三菜」 のことを指します。主食の炭水化物 、三種類のおかず、一つは主菜となるお肉や魚などのタンパク質 、残りの二つ目は野菜 となります。詳しくは、農林水産省に食事バランスガイドをご参照下さい。
食事バランスガイド(厚生労働省)
主食5~7V + 副菜5~6V + 主菜3~5V + 乳製品2V + 果物2V
上から主食である炭水化物、二つ目のおかずとしてサラダや、お浸し、煮物、三つ目にメインディッシュとなる肉や魚などのタンパク質が挙げられます。一日に必要な、割合が○V で表示されており、代表的な栄養素が含まれる食材と、摂取すべき割合が示されています。
具体的な食事量カロリーは、先ほど述べたリハビリを通して目指すべき、体重の増減によります。あくまでも目安となりますが、年代別の平均消費カロリーは下の図の通りになります。具体的な、一つ一つの食事にかかるカロリー数は、文部科学省の日本食品標準成
分表をご参照下さい。(https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html)
●年代別平均消費カロリー(厚生労働省)
20代 1750~2300kcal
30~40代 1700~2250kcal
50~70代 1650~2050kcal
70歳以上 1350~1600kcal
特に、筋力強化には、肉や魚などのタンパク質が欠かせません。実際には、筋力がついてくるのは、リハビリを開始してから、8週〜12週 かかると通例で言われています2) 。 筋力強化や、動作練習をすることで筋の発火頻度 (神経と筋の伝達)が向上し、2週間目でも向上がみられますが、純粋に筋肉が大きくなるのは2ヶ月以上 を要します。
その過程でも、上記のエネルギー源となる炭水化物を摂り、運動量を挙げていくことと、2ヶ月の経過でタンパク質から、筋肥大を作っていく。
この基本的な、摂取と消費カロリーのバランスと、栄養素のバランスをとることが、リハビリを効果的に進めていくために欠かせません。
注意すべき食事
日本は、透析患者が他国と比較し、非常に多いことでも有名です。透析にいかないまでも、腎不全の予備軍は、8人に1人いるとも言われています。理由としては、背景に糖尿病や高血圧の人が多いという理由もあります。脳卒中の起こる前の予防から、再発予防、糖尿病などの生活習慣病を防ぐためにも、食事と運動は欠かせません 。
では実際に注意すべき食事として、塩分過多な食事、食品添加物を多く含むファーストフード、または無機リンを多く含む麺類や加工食品などが挙げられます。もちろんお酒も含まれますが、特に塩分や脂が多い食事はご存知の通り、高コレステロール結晶、高血圧を引き起こし、脳卒中につながるリスクが非常に高いです。脳卒中後の再発を防ぐためにも、食事の管理は非常に大切です。
脳卒中を防ぐ栄養素
血圧を抑える、脳卒中のリスクを低下させる栄養素として、K、CA、Mgが効果的という
データがあります3) 中には、それぞれ運動習慣や、体重、脳血管疾患のある家族歴な様々な因子が背景としてありますが、日常生活で消費される食品に焦点を当てると、脳卒中のリスクを回避できる栄養素が存在します。他にも野菜や果物、海藻類に多く含まれるカリウムも、血圧を抑える、そして脳卒中のリスクを低下させる働きがあると言われています。カリウムの含有量が多い食材として、ほうれん草、アボガド、ごま、アーモンド、カシューナッツなどが挙げれます。
疲労回復に効果的な栄養素
リハビリ過程で、弱くなった筋力を戻すために、今より多くの運動量が必要となります。リハビリの目標を達成するため、必然と運動量や活動量が増えていきます。時には、筋肉をより大きく育てるための筋肉痛や、運動量が多く疲労を感じてしまうこともあると思います。まず大切なのは、運動後に疲労を感じたら、睡眠や休息をしっかりとることが大切です。疲労がある中で、焦ってリハビリを進めても、返って逆効果となってしまいます。食事をとって、リハビリをしたら、30分以内の昼寝をとることもお勧めします。
また食事の面では、下記に挙げた、代表的な栄養素が非常に回復に欠かせません。
ビタミンB1
豚肉や大豆、玄米などに含まれるビタミンB1は、炭水化物から変わるブドウ糖をエネルギーに変換する大事な役割があります。主食となる炭水化物を、運動のもとなるエネルギーを貯蓄する作業に、ビタミンB1を摂取することで、エネルギー補給が促進されます。
ビタミンC
パプリカやブロッコリー、レモンなど色の着いた野菜や果物に含まれるビタミンCは、疲労の原因である活性酵素の増加を抑制する働きがあります。抗酸化作用と呼ぼれるもので、肌に大切なコラーゲンの生成にも欠かせません。
ブドウ糖
疲れた時に甘いものを欲してしまうのも、このブドウ糖の補給が必要な状態と言えます。リハビリは、時に集中力が必要となります。脳を活性化し、効率を高めるためにも、糖分摂取と、疲労を次に持ちこまさないことが大切です。
鉄分
貧血に関して、よく聞く鉄分ですが、レバーや小松菜、あさりが挙げられます。筋肉の元となる、肉や魚にも多く含まれ、タンパク質の吸収には欠かせません。疲労が溜まり、「息切れがする」といった症状の時は、血液中に酸素を運ぶヘモグロビンが鉄分不足で、上手く生成されていないかも知れません。リハビリでは、筋力増強の他に、筋持久力も求められます。有酸素運動など、呼吸し筋肉へ効率的に酸素を運び、運動の耐応能を上げるためにも、必要不可欠な栄養です。
その他、クエン酸、お酢、カプサイシンなど、疲労回復を促進する栄養素があり、試してみることをお勧めします。
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尾作研太 理学療法士
回復期病院にて4年間勤務、主に整形外科や脳血管疾患、脊髄損傷のリハビリに従事。海外の大学にて、ヘルスケアの学位を取得後、訪問リハビリと地域の介護予防に参画。脳血管疾患の方の動作獲得や、装具を含めた歩行の修正、社会復帰までサポートしている。
2024 年 6 月 10 日公開
2周年パーティー
2周年パーティー
おかげさまでリハビリベース国分寺は2024年6月に開院2周年をを迎えることができました!これも、地域の皆様に支えられたおかげです。
そして「もっと良くなりたい!もっと動きたい!」と思い、一生懸命リハビリに取り組んでいただいたご利用者様やご家族様のおかげでもあります。
心より感謝いたします。
この度、小規模ではございますが、リハビリベースの2周年パーティーを開催させていただきました。
当日はご利用者様やご卒業者様、ケアマネジャー様にもご参加いただき
・リハビリベースの報告会
・表彰式
・クイズ大会
・ミニコンサート
を行い、交流を深める事ができました。
パーティーを開催して、多くのご利用者やご卒業者から
「楽しかった。」
「刺激をもらった。」
「通って良かったと改めて思ったよ。」
など、たくさんのお祝いの言葉と共に楽しい時間を共有することができました。
まだまだ、成長しなければいけない私達ですが、是非3年目も引き続きよろしくお願いいたします。
リハビリベース国分寺
スタッフ一同
2024 年 5 月 7 日公開
60代男性脳梗塞後遺症 ~歩行改善の為のリハビリ~
脳梗塞の3種類
脳梗塞の発生機序は以下の3つに分類されます
アテローム血栓性脳梗塞
➁ラクナ梗塞
➂心原性脳塞栓症
脳卒中の病型の中でも、以下の図のように、脳梗塞が占める割合は全体の中で多いです。
➀アテローム血栓性脳梗塞
初めに脳梗塞の発生機序には、2種類あります。1つ目は、動脈硬化により血管内が細くなる「脳血栓」と、心臓でできた血栓が脳血管につまってしまう「脳塞栓」があります。
アテローム血栓性脳梗塞は、はじめに脳血管内の動脈硬化により起こります。血管にコレステロールなどの塊が、プラークとして血管内にでき、血管の通り道が狭くなることで、動脈硬化が起こります。そこに加えて血栓が詰まることで、閉塞が起こります。
原因としては、高血圧や喫煙、過度な飲酒、高脂血症といった、生活習慣病から引き起こされます。脳梗塞の予防や、再発を防ぐためにも、生活習慣の改善が必要です。薬物療法としては、血栓をおさえる薬(抗血栓薬)や、血圧上昇を抑える薬(降圧剤)などが用いられます。
症状としては、安静時に起きることが多く、睡眠中に起こり、起床時に気づくといった流れが多くみられます。前兆として、一過性脳虚血(TIA)による、脱力や痺れ、筋肉の緊張などの症状を見逃さないことが、脳梗塞を防ぐために必要です。
特に発症から4~5時間以内であれば、血栓を溶かすt-PA(血栓溶解剤)を打ち、脳梗塞側が生じた部位の血管の流れを回復することができるため、後遺症も早い段階で少なくすることが可能です。
➁ラクナ梗塞
ラクナ梗塞とは、細い血管内に15mm以内の小さな脳梗塞が起こることを指します。
アテロームと比較し、小さな血管で引き起こされるため、比較的、小規模な脳梗塞となります。特徴して、高齢者や高血圧の方に多くみられ、特に高齢者においては、筋力低下やその他疾患に隠れて気づきにくいケースでも多いです。
小さい血管で生じる梗塞のため、意識障害が起こることはないですが、片側の脱力や痺れ、しゃべりにさ(構音障害)などの症状がみられます。この病型も同様に、異変があれば早期発見と早期治療が、予後の決め手として大切な部分になってきます。
アテローム血栓性脳梗塞と同様に、生活習慣を改善し、予防することが大切です。こちらも手術ではなく、薬物療法など内科的な治療が主な対応となります。
➂心原性脳塞栓症
心原性能塞栓症とは、心臓にできた血栓が脳に運ばれ、脳血管を詰まらせる病気です。ラクナ梗塞と比較し、より大きな脳部位に血液を供給している、大きな血管で梗塞が起こります。
アテローム脳梗塞とは異なり、動脈硬化などの前兆もなく、順調であった血管の流れが、急に血栓により閉塞されるため「ノックアウト型脳梗塞」と呼ばれています。
心原性脳塞栓症の場合、60歳以降で年代別に急増し、80歳以降は30%と起こる頻度が高くなっています。具体的な心疾患として、9割以上が心房細動と呼ばれる不整脈から起因し、心臓の老化に伴い増加する、脳卒中の代表的なタイプになります。
心原性脳塞栓症の特徴として、重症度が比較的高く、多く介護を要する傾向にあります。症状として、片麻痺や失語、意識障害が挙げられます。
大きな後遺症にならないように、早期発見と、梗塞部位の特定から、素早い処置を行うことで、後遺症の軽減を図ることができます。
素早い処置とは、t-PA(血栓溶解剤)を使用した血栓の溶解や、ある程度太い動脈では、カテーテル治療(血栓回収療法)を行うことで、脳組織への血液供給を早めることで、後遺症を少なくすることが出来ます。
60代男性 脳梗塞後遺症 ~歩行改善のためにリハビリ~
【ご利用者様】60代男性 脳梗塞後遺症
【ライフゴール】肩の痛みを取って生活したい。円滑に歩けるようになりたい。
【リハビリ期間】24回プラン
【現病歴】右上下肢の脱力と構音障害認め、救急搬送。左前頭葉梗塞、右片麻痺を呈し、保存的加療で経過。回復期にて約4カ月入院し、退院後当施設でリハビリ継続となりました。
【身体機能・参加】
右上肢の麻痺は重度、下肢の麻痺は、中等度レベルでした。右下肢は、金属支柱付き短下肢装具を付けて、屋外歩行は自立していました。
主訴として、右肩の痛みが強くあり、亜脱臼と肩関節周囲の筋緊張が高くみられました。右下肢は、特に足首の筋緊張が高く、装具での強い矯正が必要でした。
【リハビリ内容】
肩の痛みに対し、肩関節周囲の筋緊張緩和と、可動域拡大を図っていきました。可動域を広げ、促通を行うことで、肩関節周囲の筋活動を引き出していきました。痛みの原因は、後遺症による筋緊張や、上手く肩の保持や動作が行えないことから生じるため、可動域の拡大や筋活動を上げていくことで、疼痛が消失していきました。
下肢は、痙性に対して、ストレッチングや電気刺激を行いました。動作の中でも、相反抑制を行いながら、麻痺の改善を図っていきました。麻痺の筋緊張を緩和していくことと、随意性を引き出していくことで、装具に依存する下肢から、裸足でも歩行が可能なレベルまで、麻痺を改善していきました。
上肢の姿勢と、下肢の麻痺の改善を図ることで、歩容改善と歩行スピードを格段に上げることが出来ました。
【歩行Before & After動画】
2024 年 4 月 17 日公開
40代女性 脳梗塞後遺症 ~主婦業復帰+復職~
【ご利用者様】40代女性 脳梗塞 後遺症
【ライフゴール】痛みをとって主婦業へ復帰。長距離の屋外歩行獲得後、復職。
【リハビリ期間】16回 プラン 4か月 + 8回プラン 定期利用
【現病歴】
脳梗塞、左片麻痺を呈し、救急搬送。急性期病院から回復期へ転院した時も、麻痺は中等度レベルで、初めは車いす生活でした。回復期病院にて3か月程度で、ふらつきながらも、T字杖歩行が獲得された為、自宅退院となりました。
【身体機能・参加】
麻痺の状態は、下肢に軽度、上肢に中等度あり、特に肩に強い痛みがありました。生活は、麻痺の左手側が動かせないため、右手のみでの生活でした。屋外歩行でも、肩に強い痛みがあり、恐怖心がありました。高次脳機能障害は、軽度の構音障害と、左半側空間無視がみられました。
【リハビリ内容と経過】
リハビリ内容は上記の流れのように行い、まずは目標である家事動作の復帰と、その後は、復職を段階的に果たしていきました。
主訴として、肩の痛みが挙げられたため、初めは肩を中心に介入を行いました。
麻痺の影響で動かせないことと、誤った動かし方から、肩関節周囲の筋緊張が高く、可動域制限が大きくありました。
可動域拡大とともに、痛みは消えていき、少しずつ動作練習や筋力強化を図っていきました。
リハビリで動作練習を行うことと、日常生活で麻痺側を参加させることで、麻痺の改善に対し、相乗効果をもたらしました。
痛みを取り除くことで、日常生活でも参加しやすくなり、段階的に主婦業への復帰も果たしていきました。
生活復帰までには、復職が必要なケースでした。
日常生活動作、主婦業をこなすことが出来たものの、復職となると通勤動作や、より細かい手の動作、注意や集中力も必要となってきます。
さらに負荷量をあげたトレーニングや、難易度の高い課題をこなすことで、必要な動作や、持久力をつけていきました。
リハビリと同時に、就職活動を行い、麻痺の後遺症と上手く付き合うことができる仕事をみつけ、無事に復職を果たすことが出来ました。
【上肢 Before & After動画】
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