サルコペニアとフレイルとは?
目次
1、 はじめに
2、 サルコペニアとは?
3、 フレイルとは?
4、 サルコペニアやフレイルが進行するとどうなるのか?
5、 サルコペニアとフレイルの予防法
6、 まとめ
1、はじめに
2040年の日本では、要介護認定率が6割である85歳以上人口が、1000万人に急増すると見込まれています。加齢とともに「サルコペニア」と「フレイル」のリスクが高くなり、健康状態を維持することも困難になってきます。介護予防を目的とし、早期からサルコペニアやフレイルを予防していく必要があります。
健康寿命を延ばし、いつまでも自分らしく生きていく為に今からでもできることを考えて行きましょう。
2、サルコペニアとは?
サルコペニアとは、骨格筋量の加齢に伴う筋力低下に加えて、筋力や身体機能の低下を認められた場合に診断されます。加齢によって筋肉の量と筋力が減少すると歩行速度の低下が起こり、歩行中の躓きなど、転倒のリスクが高まります。また、運動量が低下すると耐久性の低下など、より身体機能の低下を引き起こしてしまいます。
サルコペニアの診断基準(AWGS)
・歩行速度の低下または握力低下
1)歩行速度:0.8m/秒以下
2)握力:男性26kg未満、女性18kg未満
3)筋肉量低下:
DXAで測定
男性:<7.0kg/㎡
女性:<5.4kg/㎡
上記2つの条件で当てはまる方がサルコペニアと診断されます
3、フレイルとは?
フレイルとは、身体的脆弱性のみでなく、精神心理的脆弱性、社会的脆弱性も含む多面的に認められる状態です。特に長期的な臥床等による活動性の低下や整形疾患領域で活動を制限された際に、フレイルの原因になりやすいとされております。特に痛みなどの症状により活動が制限されてしまう事が、フレイルの進行を早めてしまう原因になります。そのフレイルの進行をさせないためにも、原因となっている要因を解消していく必要があります。
フレイルの5つの兆候(フレッドの基準)
・体重減少: 意図しない年間2〜3kg以上の体重減少。
・疲れやすい: 以前よりも疲れやすくなったと感じる。
・身体活動量の低下: 運動量が減り、趣味を楽しめなくなる。
・歩行速度の低下: 歩くスピードが遅くなる。
・筋力低下: 握力が弱くなる。
これらのうち3つ以上が当てはまるとフレイル、1~2つが当てはまると「プレフレイル(前段階)」と診断されます。
サルコペニアとフレイルの違い
サルコペニアは筋肉の量や筋力といった「身体機能の問題」に特化した概念である一方、フレイルはサルコペニアの要素に加え、精神的・心理的・社会的な衰弱まで含む「より広範な虚弱状態」を指します。高齢者になり他者との交流が減少した方などはフレイルになる可能性が高くなり、逆に他者との交流を継続する事が予防に繋がると言われております。
4、サルコペニアやフレイルが進行するとどうなるのか?
サルコペニアやフレイルが進行すると循環器系や呼吸器、消化器系などにも影響していきます。
循環器系では長期に渡る安静臥床により心肺機能の低下も引き起こします。心臓のポンプ機能が低下することで、一回に拍出できる血液量が低下し心拍数の増加や末梢血管の循環不全など全身の血液循環が不良となっていきます。循環不良の影響により運動耐容能の低下、起立性低血圧、深部静脈血栓症を引き起こします。
呼吸器では呼吸筋が衰えることで肺の伸縮がうまくいかなくなり、換気不良を起こし息切れが早期から出現するようになります。また、咽頭部周囲の筋力が低下することで上手く嚥下ができず誤嚥性肺炎などのリスクも高まります。
消化器系では、食欲の低下や体重の減少、便秘、栄養状態の悪化など認められるようになります。不動の影響により、交感神経系の亢進により腸管蠕動運動が低下し、括約筋収縮の増大による栄養吸収率の低下を認め、体重の減少や便秘などを引き起こします。また、活動の低下により、食事量の減少や食欲の低下に影響すると低栄養状態になり、筋萎縮や骨萎縮を助長してしまいます。
その他にも、膀胱炎や腎盂腎炎などの症状や寝たきりでの褥瘡(床ずれ)などを引き起こすことが多く確認されております。
5、サルコペニアとフレイルの予防法
サルコペニアやフレイルは、生活習慣病や骨折、心疾患、生活習慣病の影響により認められることが多くあります。予防・改善には運動、食事、社会参加の3つの柱がとても大切になります。適切に運動や食事を摂取することでより良い生活も獲得する事もできます。以前、運動や食事に対してブログを投稿しております。運動や栄養面での参考にしていただければと思います。また、社会参加や趣味活動は精神的に安定を図る事ができ、サルコペニアやフレイルの予防に関連してきます。より効果を高めるために積極的に参加していきましょう!
1)運動
・有酸素運動:ウォーキングや水泳など、無理のない範囲で継続することが大切です。週に2〜3回20〜30分程度実施できると効果があります。
・レジスタンス運動(筋トレ):スクワットや椅子からの立ち座り、腕立て伏せなど、筋肉に負荷をかける運動が効果的です。ややきついくらいの運動できると効果があります。
・バランス運動:片足立ちなど、転倒予防のためのバランス感覚を養う運動も大切です。ふらつきなどが多い場合には触った状態から徐々に手を離していきましょう。鏡の前で左右に体重移動する運動でも効果があります。
2)食事
・たんぱく質をしっかり摂取:筋肉の材料となる肉、魚、卵、大豆製品、牛乳などを積極的に摂りましょう。健康な70歳以上の男性では約60g、女性では約50g以上を目安に摂取してください。下記にタンパク質の推奨量を添付しておりますのでご参照ください。
・バランスの良い食事:主食、主菜、副菜を揃え、ビタミンやミネラルもバランス良く摂ることが重要です。バランスの良い食事を行うことで生活習慣病の予防にもつながります。
3)社会参加
・人との交流:友人や家族と会う機会を増やしたり、趣味のサークル活動に参加したりする。デイサービスなどに参加し、集団での体操などに参加すると効果的です。
・地域活動:ボランティア活動などに参加し、社会とのつながりを持ち続ける。
・近所の方とのコミュニケーション:世間話などを行うだけでも精神的にも安定します。コミュニティーがあるだけでお互いを気に掛けるようにもなり安心感を提供する事こともできます。
6、まとめ
サルコペニアとフレイルは、超高齢社会の日本では誰もが直面する可能性があります。サルコペニアやフレイルにならない為には、普段の生活から運動や食事を見直し、人との繋がりを大切にしていく必要があります。正しい知識を持ち、日々の生活に予防策を取り入れることで、健康寿命を延ばし、自分らしい人生を送り続けることができます。
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参考文献
荒井秀典:AWGS2019とサルコペニア肥満 日本サルコペニア・フレイル学会誌 vol.4 No.1 2020
鈴木光司、會田隆志 他:サルコペニアを併存したパーキンソン病患者の運動療法の有効性について 日本サルコペニア・フレイル学会誌 Vol.5 No.1 2021
千田益生、堅山佳美 他:サルコペニアとリハビリテーション Jpn Rehabil Med Vol.54 No.8 2017