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筋肉について

目次

1、はじめに
2、筋肉について
 1)筋肉の種類
 2)筋肉の収縮の仕組み・仕方

3、運動の効果について
4、筋肉を鍛えるためには
 1)運動の原則について
 2)なぜ筋肉痛が起こるのか
 3)食事も重要!

5、自宅でできる簡単エクササイズ
6、まとめ
1、はじめに

 皆様は筋肉の種類や収縮の仕方など知っていますか?
 
また、筋力トレーニングなどの強度の強い運動を行うとなぜ筋肉痛が起きるのかという疑問を持たれた方もいるのではないでしょうか。
今回は普段あまり知られていない筋肉の仕組みから筋力トレーニングの仕方まで説明していきます。

2、筋肉について

 皆様は、筋肉と聞いてどんなことを想像しますか?
 
皆様も見たことや食べたことのある鶏肉などを思い浮かべていただくと分かりやすいと思います。筋肉は何層にも分かれており、細かく分類されております。
筋力トレーニングなどの運動でタンパク質の合成が促進されると筋肥大が起こります。筋肥大が起こるとより強い力を発揮する事ができます。また、筋持久力を鍛えることで長時間の運動やマラソンなどの継続した運動もできるようになります。

1)筋肉の種類

 筋肉には、働きや構造の違いにより、大きく分けて骨格筋、心筋、平滑筋の3種類あります。
 
1.骨格筋(随意筋)
・骨に付着し、体の運動を担う。
・横紋構造(縞模様)がある。
・意識的に動かせる(随意筋)。
例:上腕二頭筋や大腿四頭筋など

2.心筋(不随意筋)
・心臓を構成する筋肉
・骨格筋と同じく横紋構造を持つが、自律神経によって制御される。
例:心臓

3.平滑筋(不随意筋)
・内臓や血管の壁を構成する。
・横紋構造がなく、収縮がゆるやか。
・自律神経によって制御される。
例:血管内壁や腸など
2)筋収縮の仕組み

 筋肉は、アクチンとミオシンが滑ることで収縮します。これを「滑り説(Sliding Filament Theory)」と呼びます(図1参照)。
1. 神経からの信号(運動神経)が筋肉に伝わる。
2. カルシウムイオン(Ca²⁺)が放出され、トロポニン・トロポミオシンが調整。
3. ATP(アデノシン三リン酸)のエネルギーを使い、ミオシンがアクチンを引き寄せる。
4. 筋フィラメントが滑り込むことで筋肉が収縮。

図1

また、筋肉は様々な収縮の仕方をしています。

① 等尺性収縮
 ・筋の起始・停止が固定され、筋の長さが変化しない(関節の動きを伴わない)場合の筋収縮
  例)空気椅子のような姿勢を継続した際に太ももの筋肉がこのような収縮の仕方をします。
② 遠心性収縮
 ・筋の長さが伸張し、起始と停止が離れるような筋収縮
  例)座り込む際の大腿四頭筋など
③ 求心性収縮
 ・筋の長さが短縮し、起始と停止が近づく筋収縮
  例)スクワットの姿勢から立ち上がる際の大腿四頭筋など
④ 等張性収縮
 ・筋の発生する張力が一定であるような関節運動時の筋収縮
 例)普段あまり認められない運動、筋トレマシーンなどの滑車につながれたおもりを引くような筋力
⑤ 等速性収縮
 ・筋の収縮速度が一定となるような関節運動時の筋収縮
 例)機器を用いて実施することで収縮を観測することができるが、真の等速性収縮と言われる運動は困難である。
バイオデックス4(酒井医療株式会社)などの機器を使用し、下肢や上肢の等速性収縮の運動が可能となりますが、日常では使い分け困難な収縮です。
3、運動の効果について

 運動を行うことで、どのような効果があると思いますか?
 
 筋力や身体機能、骨密度が改善し、高齢者では転倒や骨折のリスクが低下するとも言われています。また、心血管疾患やがん、糖尿病等のリスクが低下することも示されております。

 では、週にどのくらい運動すると病気のリスクが軽減できると思いますか?
 
 基本的に週に2〜3回程度の運動が多く採用されております。しかし、病気の程度によっては週に1回程度の運動でも効果が現れることがあり、個人差もあるためご自身であった運動を実施して頂けたらと思います。


4、筋肉を鍛えるためには

 筋肉を鍛える際に何を意識されていますか?
 
運動や食事にも原則やタイミングが必要になります。運動を見直して効率よく鍛えていきましょう!また、運動した時に筋肉痛が起こるのか、予防法はあるのか解説していきます。


1)運動の原則

① 過負荷の原則
通常使用する筋力よりも高い負荷を課さなければ筋力増強は期待できない。その為には1RMを計測したうえで適切な負荷を設定する必要がある。

② 漸増負荷の原則
筋力増強運動により筋力が増えた場合、負荷を再設定する必要がある。

③ 反復性の原則
筋力増強運動は、即時的効果は期待できない。適切な負荷で筋力増強運動を反復して行う必要がある。

④ 特異性の原則・⑤意識性の原則
単純に筋力増強練習を行うのではなく、鍛えたい運動や種類によって意識的に運動を選択していく必要がある。

⑥ 個別性の法則
運動の効果には年齢や性別、体格、体力、技術レベル、経験、健康状態、精神状態などの多くの要因が関係する。その人にあった運動を選択する必要がある。

⑦ 全面性の原則
特定の筋、特定の運動のみに焦点を当てることは長期的に見ると筋や運動を起こす関節に変成を起こすことに繋がる。バランスよく筋力をつける必要がある。
2)なぜ筋肉痛が起こるのか

  なぜ筋肉痛が起こると思いますか?
  
 それは筋繊維の微細な損傷と炎症反応によるものです。

・筋肉痛のメカニズム

 1.筋繊維の損傷
  運動(特に慣れない動きや高負荷の運動)によって、筋肉の繊維が微細に傷ついたり、「遠心性収縮(伸びながら力を発揮する動き)」が筋肉に強い負荷をかけると筋繊維が損傷します。
  例)スクワットの「しゃがむ動作」、ランニングの「着地」、ダンベルの「伸ばす運動」

 2.炎症反応と修復
  体は損傷した筋繊維を修復しようとして 炎症反応 を起こします。その過程で ブラジキニン・ヒスタミン・プロスタグランジン などの化学物質が分泌され、神経を刺激し「痛み」として感じます。

 3.筋肉の回復と成長
  筋繊維が修復されると、以前よりも強く・太くなり(筋肥大)、同じ運動に対して強くなります。これが「超回復」と呼ばれる現象 です。

筋肉痛の種類
 筋肉痛にも2つあり、即発性筋肉痛と遅発性筋肉痛に分けられます。

即発性筋肉痛(運動中や直後に起こる)
 • 乳酸や代謝物質の蓄積が原因
 • 一時的なもので、数時間以内に回復

遅発性筋肉痛(DOMS)(運動後12〜48時間後に発生)
 • 筋繊維の損傷と炎症が原因
 • 24〜48時間後にピークを迎え、数日で回復

筋肉痛を防ぐ方法として
 • 運動前のウォームアップ&ストレッチ
 • 徐々に負荷を上げる(急にハードな運動をしない)
 • クールダウン&ストレッチを行う
 • 十分な栄養(タンパク質・アミノ酸・ビタミンC)を摂る
 • 休息をしっかりとる(超回復を意識する)

 適度な筋肉痛は成長の証ですが、過度な痛みや長引く場合は無理せず休息を取るのが大事です。
3)食事も重要!

 運動効果を高める為に食事も意識されていますか?
 
よく運動した後にタンパク質やビタミンなどを摂取される方もいらっしゃると思います。
筋力トレーニングにおいて効果的な栄養素にはいくつかあります。筋肉の成長や回復をサポートするために、以下の栄養素が特に重要です。

1. タンパク質
 筋肉の修復と成長にはタンパク質が不可欠です。トレーニング後の筋肉が壊れ、その回復には十分なタンパク質が必要になります。
実は、タンパク質の摂取量だけでなくタイミングも影響していると言われております。

 朝食時のタンパク質摂取により筋肉の合成を高める作用が強い分岐鎖アミノ酸が関与してきます。筋量増加には、体内時計に合わせたタンパク質の摂取が効果的であることから、この摂取タイミングをうまく活用することで、筋力や筋量が低下しやすい高齢者の健康を効率よく維持・増進できる可能性があります。また、1回の食事で筋タンパク合成に利用できるたんぱく質の量には上限があり,一度に大量摂取しても全て利用される訳ではないので3~4 時間ごとのたんぱく質摂取が必要となっています。

では、1日にどのくらいのたんぱく質が必要だと思いますか?
 
 運動習慣のある人では1.4~2.0 g/day/体重1kgが必要とされております。必須アミノ酸を適切なバランスで摂取することも大切と言われております。加齢に伴い筋タンパク同化作用は低下する(同化抵抗性)ため,高齢者は積極的に必須アミノ酸を摂取する必要があります。

 必須アミノ酸を多く含む食材として、鶏卵や牛乳、牛肉、鶏肉、豚肉、鯵、鰯、鮭、マグロなどがあります。運動後には積極的に摂取いただけると効果的となります。

2. 炭水化物
 筋力トレーニング中や後にエネルギーを補充するために、炭水化物は重要です。特にトレーニング後は、筋肉のグリコーゲン(エネルギー源)を補充するために炭水化物が必要です。
 1日の摂取量としては、トレーニング前後に、体重1kgあたり3〜7gの炭水化物が必要となります。
食事例:白米、サツマイモ、オートミール、全粒パン、バナナなど。

3. 脂質
 良質な脂質はホルモンバランスを整えるため、筋肉の成長に欠かせません。特にテストステロンの分泌をサポートします。
1日の推奨摂取量としては、1日の総カロリーの20〜35%を脂質から摂るのが一般的です。
食事例:アボカド、ナッツ、オリーブオイル、脂ののった魚(サーモン、マグロ)等。

4. ビタミンとミネラル
 筋肉の回復やエネルギー生成に重要な役割を果たすビタミンやミネラルも忘れてはいけません。
ビタミンDは、骨の健康や筋肉の機能をサポートします。日光浴やサプリメントで摂取可能です。

カルシウムは、骨の健康をサポートし、筋肉収縮にも関与しています。乳製品や緑葉野菜から摂取できます。
マグネシウムは、筋肉の収縮を助け、疲労回復に寄与します。ナッツや種子、ダークチョコレートに含まれています。

5. 水分
 トレーニング中に汗をかくことで水分が失われます。脱水症状があると筋肉のパフォーマンスが低下するため、トレーニング前後に十分な水分を摂取することが重要です。
5、自宅でできる簡単な筋力トレーニング

1)スクワット
 目的:臀部や下肢の筋力強化
 回数:1日に20〜30回を2〜3セット実施する。
 ポイント:息を吐きながらお尻を下げるように実施してください。
2)椅子からの立ち上がり
 目的:下肢・体幹の運動
 回数:1日に30回実施する。
 ポイント:自宅にある椅子から姿勢を起こした状態で骨盤を前方へ倒しながら立ち上がりましょう。
3)ペットボトルに水を入れダンベル運動
 目的:上肢の筋力向上
 お好きなペットボトル(500〜1000ml用)に水を入れ準備してください。
 肘の曲げ伸ばしや腕を上に上げる運動を実施する。
 回数:1日に20回ずつ実施する。
 ポイント:動かせるところまでしっかり動かす。痛みがある場合は少し手前まで動かす。
4)ラジオ体操
 目的:全身の有酸素運動。
 ポイント:子供のころ夏休みや健康のために運動されていたと思います。全身運動に最適の運動になりますので関節運動を大きく意識 してやってみてください。
6、まとめ

 今回、筋肉の働きや筋力トレーニングの原則など説明させていただきました。皆様の運動効果を高める参考にしていただければ幸いです。また、細かい個別指導をして欲しい!という方の為にリハビリベースでは無料で体験を行なっております。運動で悩まれている方も大歓迎です!
是非、リハビリベース国分寺へご来院ください!一緒に楽しく運動していきましょう!




参考引用資料
・日本成人病予防協会HP:https://www.japa.org/
・木藤伸宏、金口瑛典、小澤純也:筋力増強運動の基本と実際 The Japanese Journal of Rehabilitation Medicinine54巻10号746-751  
・Shinya Aoyama:Distribution of dietary protein intake in daily meals influences skeletal muscle hypertrophy via the muscle clock cell Rep2021 Jul6;36(1):109336
・厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイドライン:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001171393.pdf
・膳 法 浩 史、膳法亜沙子:サルコペニア予防:食事と運動の効果 日本調理科学会誌Vol56,No4 157-162
・DIME:https://dime.jp/genre/tag/0191/
・看護roo:https://www.kango-roo.com/
・ヨガジャーナルオンライン:https://yogajournal.jp/