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今年の秋は雨の日が多く、外に出る機会が少なくなりがちです。
こんな時は、「晴耕雨読」という言葉のように、晴れた日は身体を動かし、雨の日は本を読んで、普段はなかなか触れる機会のないことを学んだりするのもよいのではないでしょうか。
今回は、そんな雨の日の「学び」のひとつとして、リハビリテーションの歴史を支えてきた人々についてご紹介します。
以前のブログで、リハビリテーションの歴史についてご紹介いたしました。
リハビリテーションは、戦争による病気や怪我によって低下した身体機能の回復をきっかけに発展し、その後、多くの人々によって、身体機能だけでなく、その人の生活や社会とのつながりまで含めて考えることが大切だとされるようになりました。
現在では、歩く、立つ、手を動かすといった身体の機能だけではなく、「どのような生活を送りたいのか」「どのようなことをしたいのか」といった、その人自身の暮らしや希望にも目を向けながらリハビリテーションを考えていきます。
こうしたリハビリテーションの考え方を築いてきたのは、これまでリハビリテーションに携わってきた多くの人々です。
今回は、そうした人々の中から、リハビリテーションの発展に大きく貢献した人物を取り上げ、それぞれの言葉や考え方をご紹介します。
それぞれの人物が残した言葉には、現在のリハビリテーションを支える強い志が込められています。
歴史を振り返りながら、リハビリテーションが大切にしてきたものについて、一緒に考えてみましょう。
※本記事で紹介する人物の経歴や言葉については、資料によって表現や解釈が異なる場合があります。掲載している内容は、複数の資料をもとに、リハビリテーションの考え方を理解するための一例としてご紹介しています。
まずご紹介するのは、「リハビリテーション医学の父」と呼ばれるハワード・ラスク医師です。
リハビリテーションの発展のきっかけは、戦争によって生じた負傷兵の社会復帰を支える取り組みでした。
ラスク医師は第二次世界大戦時、軍医として、負傷した兵士たちの治療に携わります。その中でラスク医師は、療養中の兵士たちが、身体的には回復してきていても、何もすることがなく、意欲を失っている様子を目にしました。
ラスク医師は身体の回復だけでなく、療養中にも目的を持って過ごせることが重要だと考えるようになり、運動に加えて、教育や職業訓練なども取り入れた、包括的なリハビリテーション・プログラムを開発しました。
リハビリテーションを信じることは、人間を信じることである(To believe in rehabilitation is to believe in humanity.)
章題に掲げたこの言葉は、ラスク医師の自伝『A World to Care For』の最後に記された言葉です。ラスクは、患者自身がリハビリテーションに取り組み、自ら回復していく力を信じることの重要性を説いていました。
ラスク医師は戦後、ニューヨーク大学に移り、ニューヨーク大学にリハビリテーション研究所を創設し、リハビリテーション医学という新たな学問を発展させていきました。
しかし、リハビリテーションを医学の一分野として発展させるまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。ラスク医師の考えは当初、医学界から十分に理解されず、ミズーリ州でリハビリテーション施設をつくろうとした際には、その構想を「Rusk's Folly(ラスクの愚行)」と呼ばれたこともありました。
それでもラスク医師は、病気や怪我そのものだけを見るのではなく、その人が再び生活し、社会の中で役割を持つことまでを支える医学を目指しました。
ラスク医師と同様に、戦争を通してリハビリテーションに重要な発展をもたらした人物の一人に、ルートヴィヒ・グットマン医師がいます。
グットマン医師は、1899年にドイツで生まれたユダヤ系の医師です。ナチスが政権を握った1933年以降、ユダヤ人医師は公的な医療機関で働くことができなくなり、グットマン医師もユダヤ人病院での診療を余儀なくされました。1938年の「水晶の夜」と呼ばれるユダヤ人迫害が起きた際には、迫害を受けた人々を病院に受け入れ、患者を守ろうとしたとされています。
しかし、多くの同胞を匿ったことで秘密警察に目をつけられたグットマン医師は、それを機に家族とともにドイツを離れ、1939年にイギリスへ移住しました。イギリスでは脊髄損傷の研究を続け、第二次世界大戦中には、戦争による脊髄損傷者の治療に携わることになります。
1944年、グットマン医師はイギリス政府の依頼を受け、ストーク・マンデヴィル病院に新設された国立脊髄損傷センターの責任者となりました。
当時、脊髄損傷は命を落とすことも多く、「治療が難しい状態」と考えられていました。脊髄損傷による麻痺そのものだけでなく、長期間ベッドで過ごすことによる褥瘡や感染症なども、大きな問題となっていました。
そこでグットマン医師は、医学的な治療だけでなく、患者が身体を動かし、自分で身の回りのことを行い、退院後に社会の中で生活していくことまでをリハビリテーションの目標として考えます。
その中でグッドマン医師は、スポーツの重要性に気がつきました。
グットマン医師は、スポーツには、身体機能を高めるだけでなく、競争や楽しさを通じて意欲を引き出し、人との交流や自信の回復につなげる力があると考えていました。実際に、アーチェリーや卓球、ボールを使った競技など、さまざまなスポーツがリハビリテーションの一環として取り入れられていきました。
そして1948年、ロンドンオリンピックの開幕日に合わせて、ストーク・マンデヴィル病院で脊髄損傷者によるアーチェリー競技会が開催されます。参加者は16人で、これが後にパラリンピックの起源となる、ストーク・マンデヴィル競技大会へと発展していきました。
リハビリテーションの一環として始まったスポーツが、やがて世界中の障害のある人々が競技に挑戦する場へと発展していったのです。
章題として掲げた「失われたものを数えるのでなく、残されたものを生かせ」という言葉については、いつ、どこで、どのようにグットマン医師が発言したのかを裏付ける公式な記録は確認できません。そのため、グットマン医師本人の言葉として断定することはできません。
しかし、この言葉がグットマン医師の言葉として伝えられているのは、グットマン医師の行っていたリハビリテーションの印象と深く結びつくものだからかも知れません。
グットマン医師がスポーツをリハビリテーションに取り入れた取り組みは、身体機能の回復だけではなく、その人が再び社会の中で活動していくことを目指すリハビリテーションの考え方を、大きく広げるきっかけとなりました。
最後に、日本のリハビリテーション医学の発展に大きく貢献した医師の1人である、上田敏医師をご紹介します。
日本では「リハビリテーション」という言葉は長く、運動障害の機能を回復するという、狭い意味で捉えられていました。
その理解に上田医師は異を唱え、「全人間的復権」という理念を打ち出しました。
これは、歩く、立つ、といった身体機能を回復させるだけでなく、障害によって人間らしく生きる権利や尊厳を阻害された人が、その権利を回復(復権)し、その人らしい生活に再び戻るように関わる、といった理念です。
この考え方は、上田医師がADL(日常生活動作)について示した「できること」と「実際の生活でしていること」の違いにも表れています。
上田医師は、ADLについて、単に「できるかどうか」を評価するだけではなく、実際の生活の中で行っているかどうかを見ることの重要性を示しました。
リハビリ室では一人で歩けても、自宅ではほとんど歩かない。
練習すれば服を着られても、普段は家族に着せてもらっている。
このように、「できること」と「実際にしていること」には違いが生じることがあります。
上田はさらに、「できるADL」「しているADL」から、将来「するADL」へとつなげていくことを重要視しました。
これは、リハビリテーションの目標を単なる能力の獲得で終わらせず、その人の実際の生活へつなげていくという考え方です。
歩けるようになり、一人で服を着替えられるようになったその先には、「どこへ行きたいのか」「何をしたいのか」「どんな生活を送りたいのか」という、その人自身の目標があります。
身体の機能だけではなく、1人の人間としての生活全体を見つめる。
上田敏が提唱した「全人間的復権」という考え方には、リハビリテーションが目指すものを考える上で、今も重要な意味があります。
これまでご紹介したラスク医師、グットマン医師、そして上田敏医師。3人の歩みや置かれた状況はそれぞれに異なりましたが、共通する点もありました。
それは、リハビリテーションを単に「身体を治すためのもの」として捉えなかったことです。
身体の機能を回復する。
自分で身の回りのことができるようになる。
その上で、「できること」の先にある「やりたいこと」や、その人自身の生活を大切にしようという思いがありました。
リハビリベースでは、「あなたはもっと動ける」という言葉を、サイトやパンフレットに記載しております。
保険内のリハビリでは、時間や量に制限があります。しかし、仕事への復帰や叶えたい目標を持ち、「もっと良くなりたい」と願う方がいらっしゃいます。
そうした方々のためにリハビリベースでは、保険外で、一人ひとりの「ライフゴール」に合わせたリハビリテーションを提供してきました。
「あなたはもっと動ける」
この言葉には、身体の機能だけでなく、その先にある生活や「やりたいこと」への可能性も込められています。
リハビリテーションは、皆様の可能性を一緒に探し、実際の生活、そしてその先へとつなげていきます。
参考
「【特集】リハビリテーション200年史──私たちは何を「リハビリ」と呼んでいるのか」(POST https://1post.jp/8402 閲覧日2026/9/23)
「パラリンピックの原点を探って ─主に戦争とパラリンピックとの関連について─」(小倉 和夫 2016 年 6 巻 p. 1-10 doi:https://doi:10.32229/parasapo.6.0_1 閲覧日2026/9/23)
「Howard A. Rusk (1901–1989) From Military Medicine to Comprehensive Rehabilitation」(Nava Blum, Elizabeth Fee doi:10.2105/AJPH.2007.120220 閲覧日2026/9/23)
「古典的な英語文献にみるリハビリテーション概念」(八重田 淳 リハビリテーション連携科学 20(1) 2-12 2019)
「「パラリンピックの父」ルードヴィッヒ・グットマン博士を知る4つのキーワード」(パラサポweb https://www.parasapo.tokyo/topics/109807 閲覧日2026/9/23)
「日常生活動作を再考する ―「できるADL」,「しているADL」から「するADL」へ―」(上田敏 doi:10.2490/jjrm1963.30.539 閲覧日2026/9/23)
(閲覧日2026/9/23)
「リハビリ」と聞いて、どのようなことを思い浮かべるでしょうか。
筋力トレーニングや歩行練習など、身体の機能を良くするための訓練を思い浮かべる方も多いかもしれません。
もちろん、それらもリハビリの大切な役割です。しかし、リハビリが目指しているのは、身体の機能を改善することだけではありません。
リハビリテーション(rehabilitation)という言葉には、もともと「権利や資格を回復する」という意味があります。
病気や怪我などによって低下した身体機能を改善すれば、日常生活もある程度は取り戻すことは出来ますが、その人個人が持っていた目標や夢には、届かなくなってしまうかも知れません。その状態で、その人らしい生活を取り戻したと言えるでしょうか。
その人がどのような生活を送りたいのか、そして、そのために何ができるのかまで考えることも、リハビリの大切な役割です。
例えばリハビリベースには、「もう一度、大好きなプロ野球を観に行きたい」という方や、「夫婦で旅行を楽しみたい」「趣味の釣りを続けたい」という方がいらっしゃいました。リハビリを続ける中で、それぞれの目標を叶え、やりたいことを再び楽しめるようになった方もいらっしゃいます。
なお、こうしたご利用者様の体験談は、サイトでご紹介しています。ぜひご覧ください。
こうしたリハビリテーションの考え方は、最初から現在のような形だったわけではありません。
戦争や医療の発展、リハビリテーション専門職の誕生など、さまざまな出来事を経る中で、その役割は少しずつ広がってきました。
今回は、リハビリテーションがどのように発展してきたのかを振り返りながら、身体を良くするだけに留まらない、現在のリハビリテーションの考え方が生まれた背景を見ていきます。
リハビリテーションにつながる取り組み自体には古い歴史がありますが、現代でイメージされるような「リハビリテーション」が大きく発展した背景には、第一次世界大戦や第二次世界大戦がありました。
戦争では命を落とすだけでなく、一命を取り留めたものの、手足の切断や脊髄損傷などの重い障害を負う兵士が多く存在します。
そういった戦傷兵がどのように生活や仕事に戻るのかのかという課題が大きな問題となり、残された身体機能の活用や社会復帰を支える取り組みとして、リハビリテーションが発展していきました。
一方で日本でのリハビリテーションの始まりは、肢体が不自由な子供に対する取り組みでした。
ですが、世界の時流に沿い、戦時中には戦傷兵へのリハビリテーションが大きな課題となります。また、戦後復興のために行われた石炭増産では、落盤などの炭鉱現場の事故によって、脊髄損傷者を多く生み出しました。
高度成長期には、交通事故、労働災害が社会問題となり、労働者層の障害が課題となっていきました。
こういった流れで、それまで主に子供に対する取り組みであったリハビリは、青年層が中心になっていきます。
そして、近代では平均寿命の延長によって、高齢疾患や脳卒中が問題となり、青年層から高齢者層へと、リハビリの主な対象が移行していきました。
また、戦後日本のリハビリテーションにおいて大きな転機となったのが、1965年に制定された理学療法士及び作業療法士法です。この法律によって、理学療法士と作業療法士という専門職の資格が制度として定められました。
理学療法士は、立つ・歩くといった基本的な動作に関わる身体機能の改善を、作業療法士は、日常生活に必要な動作や作業などを通して生活機能の回復を支援します。
その後、言語聴覚士などの専門職も加わり、リハビリテーションは複数の専門職が連携して行うものへと発展していきました。
こうして日本でも、病気やけがを治療するだけでなく、その後の生活まで見据えて支援する「リハビリテーション」という考え方が、医療の中に定着していったのです。
そして、リハビリテーションの考え方は、さらに変化していきます。
リハビリテーションが発展するにつれて、考え方にも変化が生まれました。
以前は、筋力や関節の動き、歩行能力など、身体機能をどれだけ回復させられるかという視点が重視されていました。
もちろん、身体機能を改善することは現在でもリハビリテーションの重要な目的です。
しかし、身体の機能が改善したからといって、必ずしも以前と同じ生活を送れるとは限りません。例えば、歩行能力が向上しても、自宅に段差が多ければ移動に困るかもしれません。腕が動かしやすくなっても、仕事で必要な動作ができなければ、復職につながらないこともあります。
そこで、身体の機能をどれだけ回復させるかだけではなく、「その人が実際の生活で何ができるのか」という視点がより重視され、活動や参加、さらに本人を取り巻く環境にも目を向けられるようになっていきました。
この考え方を理解するうえで参考となるものの一つに、WHO(世界保健機関)が2001年に採択したICF(国際生活機能分類)があります。
厚生労働省で行われた第1回社会保障審議会では、ICFの目的を「生きることの全体像についての共通言語」とまとめています。
「健康」とは単に「病気ではない」という状態だけでなく、真の「健康」を理解するには、「心身機能・身体構造」「活動」「参加」という側面から捉え、さらに環境などとの相互作用も含めて、その人の生活を全体的に捉えることが不可欠という考え方です。
例えば、「歩けるようになったから健康」というだけでなく、「一人で買い物に行けるか」「仕事に復帰できるか」「趣味を再び楽しめるか」といった、その人が実際にどのような生活を送っているのかまで含めて捉えることが重要なのです。
リハビリテーションは、このように社会情勢の変化に伴って必要とされ、各種の制度によって、身体を良くすることそのものをゴールとするのではなく、改善した身体機能をどのように生活につなげていくかを考えるものへ、より広い視点へと発展してきたのです。
ここまで、リハビリテーションがどのように発展してきたのかを見てきました。
時代とともに、リハビリテーションが向き合う対象は、身体の機能だけから、その人の生活や社会との関わりへと広がってきました。
リハビリテーションの歴史は、単にリハビリの技術や制度が発展したというだけの歴史ではありません。
「その人にとって、より良い生活とは何か」を考える視点が、少しずつ広がってきた歴史でもあります。
リハビリベースも、こうしたリハビリテーションの歩みを受け継ぎながら、「もっと人生を楽しみたい」という思いを持つ方に寄り添っています。
病院でのリハビリを終えた後も、まだ挑戦したいことがある。今の身体で、もう一度やってみたいことがある。
そんな一人ひとりの「その先」を見つめながら、自費リハビリという選択肢を通して、目標に向かうためのサポートを続けています。
体験リハビリInstagramやYoutubeで、ほかのご利用者様の日々のリハビリや、出来るようになったことをご紹介しています。
もっと歩けるようになりたい、出来ることを増やしたい。
そんな目標をお持ちの方は、まずは体験リハビリで、自分の可能性を探ってみませんか?
参考
「総論 リハビリテーションの歴史と変遷」(緒方徹 『月間地域医学』,2022,Vol.36,No.9,713)
「医学と総合リハビリテーションの面から戦後30年を振り返る」(上田敏 障害保健福祉研究情報システム https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n373/n373004.html 閲覧日2026/9/6)
「ICF(国際生活機能分類)-「生きることの全体像」についての「共通言語」-」(大川弥生 第1回社会保障審議会統計分科会 生活機能分類専門委員会参考資料3 閲覧日2026/9/6)
リハビリを始めて身体の動きにあらためて意識を向けてみると、普段よく行うような何気ない動作でも、身体は複雑に動いていることに気が付きます。
例えば「椅子から立ち上がる」時にはまず、足の裏を床につけ、身体を前方へ傾けながらお尻を椅子から浮かせ、足で床を押して身体を持ち上げます。その後、膝や股関節を伸ばしながら上体を起こし、立位の姿勢を整える、といった過程で成り立っています。
日常的な動作ですが、その中に、小さな動作が多く含まれているのです。
そのほかの動作でも同様に、何気ない動作でもその実、複数の動作が複雑に組み合わされています。
けれど私たちは、一つひとつの動きを細かく意識している訳ではありません。周囲の状況に合わせて、「無意識」のうちに動きを調整しています。
こうした「無意識の動作」は、日常生活をスムーズに行うためには欠かせません。
ところが、加齢や病気などによって身体の機能が変化すると、これまで無意識に出来ていた動作が難しくなったり、調整が必要になったりします。
先の「椅子から立ち上がる」動作でも、膝の痛みやふらつき、脳卒中後遺症による麻痺、感覚障害などがあると、さらに複雑になってきます。
そんな時、無意識の動作を見直して、身体がどのように動いていたのか知ることは、「以前と現在で身体はどう変化しているのか」「現在の自分は何で困っているのか」をより意識して把握していくための、一つの手がかりとなり得ます。
今回は無意識の動作を見直す手がかりの一つとして、動作を支えている仕組みのうちの「身体図式」「予測的姿勢調整」についてご紹介いたします。
私たちは、目をつむっていても、自分の手がどこにあるのか、どのように動いているのかを、ある程度把握することができます。鼻を触ろうと思えば、鏡を見なくても手を顔まで動かすことができます。
また、例えば狭い場所を通る際に、その幅をわざわざ測らなくても、肩をすぼめたり、身体の向きを変えたりしながら、自然と通り抜けることができます。
こうした調整ができるのは、私たちの脳が、自分の身体の大きさや形、各部位の位置関係に加えて、それぞれの部位がどのように、どのくらい動くのかといった情報を捉えているためです。
このような身体に関する情報を脳内で捉え、動作に活用する仕組みの一つを、「身体図式(ボディスキーマ)」といいます。
身体図式は、あえて意識しなくても姿勢を保ち、滑らかに身体を動かすための基盤として、重要な役割を担っています。また、ペンや眼鏡などの道具を、まるで自分の身体の一部であるかのように扱う際にも、身体図式が関係すると考えられています。
より具体的な例を挙げますと、例えば、四肢を失った方が、実際には存在しない手足に痛みやかゆみなどを感じる「幻肢痛」には、身体図式などの身体表象の仕組みが関係すると考えられています。
また、脳卒中などによって脳が損傷すると、身体や周囲の空間の捉え方に変化が生じることがあります。例えば、身体の片側やその周囲に気づきにくくなる「半側空間無視」や、自分の身体の一部を認識することが難しくなる「身体失認」などです。これらが生じると、身体図式が崩れてしまい、まっすぐ歩いているつもりでも歩けていない、といった症状が引き起こされます。
また、上記の例は、元々あった身体図式が、怪我や病気によって変化した例でもあります。
身体図式は、常に一定であるわけではありません。様々な出来事や経験によって変化します。
ただし、その変化は、幻肢痛や半側空間無視のように、生活上の困りごとにつながるものばかりではありません。意図的に身体の位置や周囲との距離を捉える感覚を学び直すことで、身体の動かし方や環境との関わり方が変化することもあります。
第50回近畿理学療法学術大会で西本らが報告した症例では、脳出血によって複数の高次脳機能障害を呈した77歳の女性に対し、身体図式の再構築を期待して、四つ這いや壁際歩行など、身体からさまざまな感覚情報を得られる運動を行いました。
その結果、自分の身体の位置や周囲の物との距離感を学習し、ふらつきに自ら気づいて修正できるようになるなどの変化が見られたと報告されています。
また、EMSという電気刺激を用いて、楽器やスポーツの熟練者の筋肉の動きを初心者に伝えることで、身体の動かし方を学習する技術があります。元々はリハビリから着想を得ている技術で、リハビリでも同様の考え方が用いられることがあります。これも、身体図式に変化を加えることで、これまでとは異なる身体の動かし方を学習する一例といえるでしょう。
簡単に自分の身体の位置感覚を試してみたい時には、目を閉じて片手を前に伸ばし、もう一方の手で同じ位置まで手を伸ばしてみます。目を開けたとき、両手の高さや位置がぴったり揃っているか確認してみましょう。 興味深い結果になるかもしれません。自分では同じ高さまで上げているつもりでも、実際には片方だけ低くなっていることがあります。
普段は意識することのない身体の位置や動きを、あらためて意識してみる。こうした小さな気づきが、自分の身体を知るきっかけになるかもしれません。
次にご紹介するのは、様々な動作に関わる「予測的姿勢制御(Anticipatory Postural Adjustment:APA)」です。
身体を動かす時には、自分の身体が今どのような状態にあるのかを把握するだけでなく、これから行う動作に合わせて、あらかじめ姿勢を整える必要があります。
例えば、椅子から立ち上がる時には、いきなり身体を上へ持ち上げるのではなく、まず身体を前方へ傾けます。これから身体を持ち上げる動作に備えて、重心を移動させているためです。
こういった動作を始める前に、姿勢をあらかじめ調整する働きを「予測的姿勢制御」といいます。
また、姿勢制御に関わる要素をもう一つご紹介します。
私たちの身体は予測した動作に対して姿勢を調整するだけでなく、予想していなかった出来事によって、不意にバランスを崩した時にも、咄嗟に姿勢を立て直そうとします。
これを「反応的姿勢調整」といいます。
例えば、歩いている時につまずくと、とっさに足を前に出して転倒を防ごうとすることがあります。これは、バランスを崩した後に、その状況に応じて身体を反応させているのです。
起こることを予測して動作の前に準備するのが「予測的姿勢調整」、バランスを崩した後に咄嗟に立て直すのが「反応的姿勢調整」です。
これらの調整には、さまざまな感覚から得られる情報が関係しています。
例えば「視覚」、頭の動きや重力の方向などを捉える「前庭感覚」、そして地面に触れている足裏の感覚といった皮膚感覚や、関節や筋肉などの身体の深部の感覚から成る「体性感覚」などです。
ですが、脳卒中後遺症などによって上記の感覚に障害が生じていたり、筋力低下や身体の震え、麻痺などの影響があったりすると、無意識の姿勢調整機能がうまく働かなくなることがあります。
その結果、動作を始める前に充分な準備ができず、立ち上がりや歩き始めにふらついたり、バランスを崩した際に足を出すことが遅れたりする場合があります。
これらの姿勢調整は、基本的には無意識に行われるものですが、身体を動かそうとする意識や、運動に対する恐怖心などが影響することも分かっています。一方で、リハビリを通して、こうした姿勢調整の働きを再び高めていくことも可能だと考えられています。
無意識に行われる身体の働きだからこそ、その仕組みを知り、身体の状態に合わせて練習することが、動作の改善につながる場合があります。
私たちが普段何気なく行っている「立つ」「歩く」「手を伸ばす」といった動作にも、実は自然と周囲と自分の身体の位置関係を把握したり、これから起こる動きを予測したり、必要に応じて姿勢を調整したり、といった様々な仕組みが関わっています。
簡単なように見えて、私たちは普段から、とても高度なことを自然に行っていると言えるかもしれません。
それ故に、身体の機能が変化すると、これまで簡単に出来ると思っていた動作を、難しく感じて、もどかしい思いをすることがあります。
だからこそ、自然な動きを保つこと、あるいは取り戻していくことは、安心して日常生活を送るための重要です。
身体図式の章でもご紹介したように、身体の捉え方や動きは、感覚や経験を通して変化していくことがあります。「以前のようにはもうできない」と諦めるのではなく、身体の状態に合わせてリハビリを行うことで、新たな動きを再構築していく可能性がきっと拓けていきます。
もちろん、こうした動作の変化には、筋力や関節の動き、視覚、感覚機能など、さまざまな要因が関係します。そのため、特定の変化だけで原因を判断することはできません。
だからこそリハビリでは、単に「できる・できない」だけを見るのではなく、どのような動作を、どのように行っているのかを丁寧に確認することが重要です。一つひとつの動きを見直すことで、その方に合ったリハビリの方法を考える手がかりになります。
リハビリベースでは、専門家がマンツーマンで、おひとりおひとりの身体に合ったリハビリを行います。
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参考
「脳内の身体図式「ボディスキーマ」を鍛える。手と指の感覚を目覚めさせる新習慣とは?」(NABOSO https://naboso.jp/blog/improving-body-schema-through-tactile-remapping/?srsltid=AfmBOortw4SFCvj4pB9D0VpGQEJixU8rkFH9zd_MvCeM5g73npsGN1CX 閲覧日2026/8/19)
「身体図式」(石田裕昭 脳科学辞典 https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%BA%AB%E4%BD%93%E5%9B%B3%E5%BC%8F 閲覧日2026/8/19)
「身体図式と姿勢制御 —OrientationとStabilityからAPAまで」(NEUROスタジオ https://www.ilneurostudio.com/3435/ 閲覧日2026/8/19)
「身体図式の再構築により移動動作改善に至った症例に対する一考察」(*西本 直起, 松本 愛子(ST), 犬飼 康人, 稲村 一浩 第50回近畿理学療法学術大会 https://doi.org/10.14902/kinkipt.2010.0.118.0)
「電気刺激による効率的な運動学習で 人間の可能性を拡げる筋肉インタフェース技術」(NTT技術ジャーナル https://journal.ntt.co.jp/article/19169 閲覧日2026/8/22)
「中枢神経系障害の姿勢制御機構に対するアプローチ」(佐藤博志 理学療法科学 22(3):331–339,2007 閲覧日2026/8/21)
「リーチ動作を支える予測的姿勢調節(APA)|運動連鎖の神経基盤」(NEUROスタジオ https://www.ilneurostudio.com/2095/#4-%E9%80%A3%E9%8E%96%E3%81%AE%E5%8F%B8%E4%BB%A4%E5%A1%94%EF%BC%9Aapa%E3%82%92%E5%8F%B8%E3%82%8B%E8%84%B3%E5%86%85%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%BD%B9%E5%89%B2 閲覧日2026/8/22)
「慢性腰痛者における運動恐怖は予測的姿勢制御を乱してふらつきの原因になる~畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター」(畿央大学 https://www.kio.ac.jp/topics_press/77962/ 閲覧日2026/8/22)
リハビリの進め方には人によって違いがあります。「失敗は成功のもと」と何度も失敗しながら挑戦を重ね、体の動かし方を学ぶ方もいれば、失敗を繰り返すことで自信を失い、リハビリから遠ざかってしまう方もいらっしゃいます。
「失敗は成功のもと」という言葉は、多くの場面で当てはまる考え方です。そのため、「失敗しても頑張らなければ」と自分を追い込んでしまう方もいらっしゃいます。
しかし、すべての人に同じ学び方が適しているとは限りません。
もしかすると、失敗を繰り返しながら学ぶ方法が合っていなかったという可能性もあります。
リハビリでは、失敗をできるだけ減らしながら練習を進める「エラーレスラーニング」という考え方が用いられることがあります。
これは特に、認知症や高次脳機能障害などで記憶や学習に課題がある方に対して活用されることがあり、正しい動作や手順を身につけるための有効な方法の一つとされています。
今回は、エラーレスラーニングとはどのような学習方法なのか、その特徴や活用場面についてご紹介します。
エラーレスラーニング(Errorless Learning)とは、その名の通り「できるだけ失敗を経験せずに学習を進める方法」です。
一般的な学習では、「まずやってみて、間違えたら修正する」という方法がよく用いられます。
この学習方法の利点は、失敗した原因を考え、試行錯誤を繰り返すことで、自分なりの工夫や応用力が身につきやすいことです。一度覚えた知識や技術をさまざまな場面で活かしやすくなるため、多くの人にとって効果的な学習方法とされています。
しかし、認知症や高次脳機能障害などにより記憶や学習能力が低下している場合は、間違った方法そのものを覚えてしまう誤学習が起きてしまったり、間違いを修正することが難しかったりすることがあります。
そういった場合に、最初から成功しやすい環境を整え、必要に応じて声掛けや手助けを行いながら、正しい方法を繰り返し経験するエラーレスラーニングが有効になります。
「失敗させない」のではなく、成功しやすい課題を設定し、正しい経験を積み重ねることがエラーレスラーニングの目的です。
エラーレスラーニングは必ずしもすべての方に適した方法ではありません。
ですが、失敗が続いて自分だけでは修正が難しくなってしまった場合には、理学療法士などと一緒に正しい動作や手順を繰り返し経験することで、無理なく学習を進められる場合があります。
エラーレスラーニングは、例えば着替えや歯磨き、福祉用具の使い方といった、日常生活に必要なさまざまな動作を身につける場面で活用されています。
上記のような生活動作(ADL)を練習する際、最初からすべてを一人で行おうとすると、手順を間違えたり、途中で分からなくなってしまったりすることがあります。
そこで、リハビリでは利用者様の状態に合わせて、声掛けや見本を示したり、必要な部分だけ手助けを行ったりしながら練習を進めます。
正しい手順で成功する経験を積み重ね、慣れてきたら少しずつ支援を減らし、自分でできる範囲を広げていきます。
また、エラーレスラーニングは動作だけでなく、生活習慣を身につける場面でも活用されることがあります。
例えば、「薬を飲んだらカレンダーに印を付ける」「帰宅したら鍵を決まった場所へ置く」といった習慣も、最初は周囲の支援を受けながら繰り返すことで、自然にできるようになることがあります。
このように、リハビリでは「できるかどうか」だけではなく、安心して正しい方法を繰り返し経験できる環境を整えることも大切になってきます。
小さな成功体験を積み重ねながら覚えていくエラーレスラーニングは、リハビリをするご本人様だけでなく、ご家族や介助者にとっても参考になるかも知れません。
何度も間違いを指摘することに負担を感じている場合には、専門家に任せてみたり、失敗を繰り返さない環境を整えるという視点を取り入れることで、利用者様も周囲の方も安心して練習に取り組みやすくなる場合があります。
大切なのは「どの方法が正しいか」ではなく、一人ひとりに合った学習方法を選ぶことです。
リハビリベースでは、「できるようになりたい」「自宅でも安心して生活したい」という思いに寄り添い、理学療法士の資格を持つ専門家が、一人ひとりの身体の状態や生活環境、目標に合わせて、利用者様らしい生活につながるリハビリを提供しています。
見学も随時受け付けておりますので、ぜひ、一度お問い合わせください。
参考
「記憶障害のリハビリテーションーその具体的方法ー」(リハビリテーション医学 2005;42:313-319 閲覧日2026/8/7)
連日35度前後の気温が続き、夏前半の涼しさが懐かしく感じられる、例年通りの猛暑です。
日傘、水分補給など、様々な暑さ対策が今年も様々なメディアから発信されていますが、自分に合った対策は見つかったでしょうか?
今回ご紹介するのは、「夏の衣服選びについて」です。
私たちの身体は、汗をかくことで体温を下げています。汗が皮膚から蒸発する際に熱を奪うことで、体温の上昇を抑える仕組みです。
そのため、衣服が汗を吸いにくかったり、熱や湿気がこもりやすかったりすると、体温調節がうまく働かず、暑さによる不快感や身体への負担が大きくなることがあります。
特に、リハビリやウォーキングなどで身体を動かすと、安静時よりも多くの熱が体内で作られるため、衣服はさらに重要な要素になります。
リハビリをする方は特に、汗を発散しやすい服の素材や、通気性の良いデザインなどを考えながら、服を選んでみてください。
半袖などの服の形だけでなく、その素材によっても、汗の乾きやすさや通気性、着心地は大きく変わります。同じ運動でも、衣類を変えるだけで快適さが変わることも少なくありません。
ポリエステルは、石油を原料とする合成繊維で、繊維が丈夫で切れにくく、皺が発生しにくいため、洋服の材料として幅広く使用されています。
汗を吸い上げる吸湿性や通気性については低いものの、生地の表面に水分を広げる特徴があるため、速乾性には優れています。
また、近年では吸湿性などの弱点を克服し、接触冷感機能などの加工を施した生地が、スポーツウェアなどにもよく利用されています。
多様な機能を持たせやすいのは、合成繊維ならではかも知れません。
ただし、油汚れを吸着しやすい特徴があるため、皮脂を餌にした雑菌が繁殖し、汗の臭いが発生しやすくなる点には注意が必要です。湿度の高い日でもすぐに乾くという特徴はありますが、乾くからと言って汚れていないとは限らないので、洗濯はきちんとする必要があります。
レーヨンは人工の繊維ですが、その素材は木製パルプなどの天然原料で、再生繊維に分類されます。吸湿性の高さや肌に触れた時のさらっとした手触りが特徴で、涼しさを感じやすい素材です。
ポリエステルと違い、皺になりやすいため、頻繁に着替えたりして洗濯物が多くなりがちな方には、やや面倒に感じやすい素材かも知れません。
綿(コットン)は、レーヨンと同様に天然原料から作られ、吸水性に優れている素材です。汗を吸う力は高い反面、乾くまでに時間がかかります。そのため、多く汗をかく運動では、濡れた衣類が身体に張り付いたり、休憩中に身体が冷えたりすることがあります。
ただ、肌への刺激が少なく、肌が弱くても安心して使える点は大きな魅力です。
麻(リネン)は、夏向きの素材として、夏服によく利用されています。通気性が良く熱がこもりにくい素材です。さらりとした着心地で、散歩などの軽い運動や普段使いにも適しています。
一方で、伸縮性はあまり高くないため、大きく身体を動かす運動には向かない場合があります。
また、汚れは落ちやすいですが、皺にはなりやすく、服の皺が気になる方には向きません。
普段使いの中で、その皺を味として見れば、夏のオシャレとして着こなす楽しみが増えるかも知れません。
それぞれ同じ素材でも、織り方や糸の加工、素材の混合比率などによって、手触りや機能に大きな変化があります。
また、今回紹介しなかったナイロンや絹(シルク)などにも、それぞれの良さがあります。
運動時には吸汗速乾機能のある衣服、普段着や軽い活動には麻など、それぞれの特徴を活かして使い分けることが大切です。
素材以外にも、服のデザインや、服の色なども重要です。
まず、衣類は身体に合ったサイズを選ぶことが大切です。
体を締め付けてしまうような小さすぎる服は熱がこもりやすくなります。大きすぎる服の場合、通気性はありますが、リハビリの観点から見ると運動器具に引っかかることによる転倒のリスクや、動きを妨げてしまうことが考えられます。
衣類の「色」も暑さ対策に関係しています。
一般的に、黒や紺などの濃い色は太陽の熱を吸収しやすく、白やベージュ、水色などの淡い色は熱を吸収しにくいとされています。
屋外で運動する場合は、淡い色の衣類を選ぶことで、暑さを和らげられる場合があります。
さらに、通気性の良いデザインを選ぶこともポイントです。メッシュ素材が使われているものや、風が通りやすいデザインの衣類は、汗や熱がこもりにくく、快適に運動を続けやすくなります。
これまで快適さに重点を置いてご紹介してきましたが、夏の運動では、快適さだけでなく安全性も大切です。
特にリハビリやウォーキングでは、衣服や靴の選び方によって転倒や怪我のリスクが変わることがあります。
まず、先述したように衣類は大き過ぎず、小さ過ぎない、動きを妨げないものを選びましょう。裾や袖が長すぎる衣類は足や手に引っ掛かりやすく、転倒の原因になる場合があります。反対に、身体を締め付ける衣類は暑さや動きにくさにつながるため、適度にゆとりのあるものがおすすめです。
また、靴選びも重要なポイントです。サンダルのようなかかとが固定されていない履物は、歩行時に足元が不安定になりやすいため、運動には適していません。ウォーキングやリハビリでは、足に合った運動靴を選ぶことで、安定して身体を動かしやすくなります。
さらに、衣服選びも重要ですが、汗をかいた後は濡れた衣類をそのまま着続けないことも大切です。汗で濡れた服は不快感が続くだけでなく、冷房の効いた室内では身体を冷やしてしまうことがあります。タオルや着替えを用意しておくと安心です。
リハビリベースでは、運動後にお体を拭くことが出来るよう、良い匂いのするおしぼりをご用意しております。運動後のリフレッシュにもぜひご活用ください。
夏は暑さに意識が向きがちですが、安全に運動出来るように、動きやすい服装を選ぶことも大切です。快適さと安全性の両方を意識して、無理のない運動を心掛けましょう。
夏は暑さの影響で運動を控えたくなる季節ですが、服装を少し工夫するだけでも、より快適で安全に身体を動かしやすくなります。水分補給や休憩とあわせて、衣類の素材や着心地にも目を向けながら、無理のない範囲で運動を続けていきましょう。
リハビリベースでは、4周年イベントの際にオリジナルユニフォームを製作しました。
デザインに込めたテーマは、「I can move」。「MOVE」には身体を動かすだけでなく、「人の心を動かす」「感動させる」という意味もあります。リハビリを通して生まれる身体の変化や感動も、この言葉に込めました。
運動に向かう気分が高められるデザインも大切です。自分のお気に入りのリハビリ用ユニフォームを見つけて、日々のリハビリをより快適に、楽しく行っていきましょう。
参考
「ポリエステル素材は暑い?ポリエステル素材の魅力についてご紹介!」(白洋舎 https://www.hakuyosha.co.jp/media/toB/uniform00039 閲覧日2026/7/24)
「ポリエステルとレーヨンの違いって何? 特徴・メリットデメリットから最適な選び方を詳しく解説」(SOLOTEX https://www.solotex.net/column/polyester-rayon/ 閲覧日2026/7/24)
「綿と麻(リネン)の違いと比較、使い分けかた」(綿1000% https://www.cotton1000p.com/blog/knowledge/cotton-linen 閲覧日2026/7/24)
今年の6〜7月は、今のところ例年に比べて涼しく、比較的過ごしやすい日が続いていますね。梅雨明けも昨年ほど早くはなく、どこか昔ながらの夏を思わせる気候です。
とはいえ、梅雨明けは7月半ば頃と予想されており、最高気温が30度を超える日も少しずつ増えてきました。本格的な夏は、もうすぐそこまで来ています。
気温が高くなると、暑さの影響で食欲が落ちてしまう方も少なくありません。
しかし、食欲不振は夏バテをさらに加速させる一因であることは、多くの方が経験的に知る事実。「食欲がなくても、何かは食べよう」と心掛けている方も多いかと思います。
そんな時に手が伸びやすいのが、さっぱりと食べられて調理も簡単な夏の定番メニュー、「そうめん」です。
そうめんは食欲がない日でもたべやすく、夏を乗り切る味方になってくれます。
一方で、そうめんだけで食事を済ませる日が続くと、筋肉や身体をつくるたんぱく質や、身体の調子を整えるビタミン・ミネラルなどが不足しやすくなります。
その不足を補うためには、「そうめんに一品加える」ことが大切です。少し工夫をするだけで、栄養バランスが整い、暑い夏を元気に過ごすための食事に近づけることができます。
今回は、そうめんにプラスしたい、オススメ食材をご紹介いたします。
そうめんはシンプルな味わいだからこそさまざまな食材と相性がよく、話題のアレンジレシピから各家庭ならではの食べ方まで、楽しみ方も豊富です。
今年の夏は、お好みの具材を組み合わせながら、栄養バランスも意識したそうめんを楽しんでみてはいかがでしょうか。
そうめんは小麦粉を主原料とした食品で、主に炭水化物を含んでいます。
炭水化物は身体や脳を動かすための大切なエネルギー源であり、暑さで食欲が落ちている時でも比較的食べやすいというメリットがあります。
しかし、そうめんだけでは、身体を維持するために必要な栄養素を十分に摂ることは難しくなります。
そこでプラスしたいのが、たんぱく質、ビタミン・ミネラル、食物繊維を含む食材です。
たんぱく質は、筋肉や皮膚、内臓など身体をつくる材料となる栄養素です。リハビリで身体を動かした後はもちろん、日常生活を送るためにも欠かせません。
ビタミン・ミネラルは、食べたものを効率よくエネルギーとして利用したり、身体のさまざまな機能を正常に保ったりするために必要です。夏は汗をかく機会が増えるため、水分補給だけでなく、普段からバランスのよい食事を心掛けることも大切です。
また、食物繊維は腸内環境を整える働きがあり、野菜や海藻、きのこ類に多く含まれています。そうめんだけの食事では不足しやすいため、副菜や具材として取り入れると栄養バランスが整いやすくなります。
栄養バランスのよい食事にするために、難しい料理を作る必要はありません。まずは「一品加える」ことを意識するだけでも、不足しやすい栄養素を補いやすくなります。
栄養素やそうめんとの味の相性、調理の手間から、いくつかの食材をご提案します。
例えば、サラダチキンやささみといった鶏肉はいかがでしょうか。高たんぱくで脂質が比較的少なく、暑い時期でも食べやすい食材です。
市販のサラダチキンを裂いてのせるだけで、簡単にたんぱく質を補えるため、調理の手間暇もかかりません。
もっと調理を工夫したい、色々な食べ方を楽しみたいという方には、卵がオススメです。ゆで卵をつけるだけ、生卵をかけるだけ、麺つゆに混ぜたり、そうめんを具材にしたかき玉汁、錦糸卵を添えるなど、様々な食べ方があります。
栄養素の面から見ても、卵は良質なたんぱく質を豊富に含み、ビタミンやミネラルもバランスよく摂ることができます。
たんぱく質よりもビタミンや食物繊維を取りたいという方は、オクラや長いもはいかがでしょうか。ねばねばした食感がそうめんによく合い、食物繊維も補えます。刻んで麺にのせるだけなので、暑い日でも取り入れやすい食材です。
トマトやきゅうり、大葉といった夏野菜を加えれば、ビタミン類も補え 、さらに彩りが良くなり、見た目にも涼しげな一皿になります。彩りの良い食事は、食欲が落ちやすい夏でも食事を楽しむきっかけになります。
トマトもきゅうりもそのままでも食べられるので、暑さで体力のなくなった時間帯でも、きちんと栄養を取ることができます。
特に、リハビリに取り組んでいる方や、いつまでも元気に身体を動かしたい方にとって、毎日の食事は身体づくりの土台となります。
夏は暑さによって体力を消耗しやすく、食欲が落ちてしまったり、料理が億劫になる日は少なくないかも知れません。ですが、運動やリハビリの効果を十分に発揮するためにも、栄養バランスのよい食事を意識することはとても大切です。
そうめんのような手軽な食事であっても、「不足している栄養をどう補うか」を少し意識して、まずは一品プラスすることから始めてみてください。
無理のない範囲で栄養バランスを整えて、暑さに負けない身体を目指していきましょう☀
参考
「 そうめんアレンジに迷ったらコレ!2100人が選んだ人気のそうめんトッピングTOP10 」(半田オカベの麺 https://www.okabemen.co.jp/cont/forum/somen-topping/ 閲覧日2026/7/9)
今年は例年に比べて涼しい夏となっていますが、7月が近づくに連れて、気温の高い日も増えてきました。
この時期になると、テレビや新聞、ネットメディアなどでは、熱中症への注意喚起を目をする機会が増えます。
熱中症にはまだ早いのではないか、と思う方もいるかも知れません。実際には熱中症は、身体が暑さに慣れていない5月頃から発生し始めます。そのため、まだ涼しいと感じているうちから注意が必要です。
例年に比べれば少なくはありますが、2026年も既に、全国で7000人以上の人が熱中症として救急搬送されています。
では、熱中症予防をするとして、どのような方法を取ればいいのか。
熱中症とは、体温調節がうまくできなくなり、体内の水分や塩分のバランスが崩れることで起こる症状の総称です。
体温調整には汗、すなわち水分が不可欠。そのため、多くの方がご存知の通り、「こまめな水分補給」が重要です。
今回はこの水分補給について解説いたします。
熱中症予防にはどんな水分が良いのか。どのタイミングで飲んだらいいのか。飲んだ水分は、身体の何処に蓄えられているのか。
皆さんご存知でしょうか?
実は、この疑問を掘り下げていくと、筋肉と熱中症の意外な関係も見えてきます。
まず、基本的な知識として、なぜ熱中症予防に水分補給が重要なのかをあらためて確認いたします。
人間の身体は、体重の約60%が水分でできています。体内の水分は、血液として酸素や栄養を運んだり、老廃物を排出したり、体温を一定に保ったりと、生命活動に欠かせない働きをしています。
特に暑い環境では、身体は汗をかくことで熱を逃がし、体温の上昇を防いでいます。
しかし、汗によって失われた水分を補給しないでいると、体内の水分量が不足してしまいます。すると、汗を十分にかけなくなり、体温調節がうまく行えなくなります。
これが脱水であり、熱中症の大きな原因の一つとなるため、水分補給が重要なのです。
では具体的に、熱中症予防の水分補給にはどのような飲み物を選べば良いのでしょうか。
前述した通り、水分は、暑い季節には体温調節の役割を担っています。
具体的には、体温が上昇すると、身体は汗を分泌します。その汗が蒸発する際に熱を奪うため、体温が一定に保たれるという仕組みです。
この汗の分泌の際、水分以外にも失われるものがあります。ナトリウム(塩分)などの電解質です。電解質は、水に溶けると電気を通す性質を持つ物質のことですが、身体では神経や筋肉の機能の調整などの重要な役割を担っています。
そのため、大量の発汗が続くと水分と電解質の両方が不足し、筋肉のけいれんや脱水症状などが引き起こされます。
日常生活の中で軽く汗をかく程度であれば、水やお茶による水分補給で充分な場合がほとんどです。
ただ、真夏や、屋外での活動、運動などで大量の汗をかいた場合には、カフェインの入った飲み物には注意です。アルコールと同様に利尿作用があるため、脱水症状が悪化します。
大量の汗をかいた場合には、糖分や塩分、カリウム、マグネシウムといった電解質を含むスポーツドリンクが役立つことがあります。
ただし、スポーツドリンクには糖分が多く含まれている製品も少なくありません。糖尿病の方は製品選びに注意が必要です。
また、熱中症の時によく話題に出る経口補水液は、予防には適しません。
あくまで病者用食品であり、脱水症状が起きている時に飲むものと、メーカーは説明しています。
この飲み物を飲んでいれば大丈夫、と断言出来るものはありません。
それぞれの飲み物の特性を理解して、状況に応じて飲むように心がけましょう。
水分補給のタイミングについては、人によっても異なりますが、筋肉量が少ない場合には、より意識的に取る必要があります。
実は、筋肉の約70〜75%は水分で構成されており、筋肉は体内で最も大きな「水分の貯蔵庫」の一つとして機能しています。
そのため、筋肉量が多い人ほど、体内に蓄えられる水分量は多くなります。反対に、加齢や運動不足などによって筋肉量が減少すると、水分を蓄える力も低下します。
高齢者が熱中症になりやすい理由として、「喉の渇きを感じにくくなること」はよく知られています。しかし実際には、それだけではありません。
加齢によって筋肉量が減少すると、身体に蓄えておける水分量そのものも少なくなります。
つまり高齢者は、「水分を失いやすい」だけでなく、「水分を蓄えにくい」状態にもなっているのです。
そのため、水分補給は喉が渇いてから行うのではなく、意識的に行うことが大切です。
例えば、起床時、食事の前後、入浴の前後、外出の前後、就寝前など、生活の節目ごとに少しずつ飲む習慣をつけると、水分不足を防ぎやすくなります。
こまめな水分補給については、別の理由もあります。高齢者の場合、一気に500mlのペットボトルを一本飲んでも、吸収しきれないためです。
水分を蓄える役割を担う筋肉を維持することも、脱水や熱中症を防ぐための大切な要素です。
筋肉は身体を動かすためだけでなく、水分を蓄える役割も担っています。
そのため、筋肉量を維持するトレーニングは、熱中症予防という観点でも役に立ってきます。
とはいえ、暑い時期に無理をするのは禁物です。
気温の高い時間帯を避けて運動を行う、エアコンの効いた室内で身体を動かす、水分補給をこまめに行うなど、熱中症対策を行いながら運動習慣を継続することが重要です。
トレーニングというと特別な器具が必要なイメージがあるかもしれませんが、スクワットや立ち座り運動など、自宅でできる運動でも、充分に筋肉へ刺激を与えることができます。
リハビリベースでは、空調のきいた中で、専門家と一緒にトレーニングをすることが出来ますよ!
熱中症対策というと、「どれだけ水を飲むか」が注目されがちです。
水分補給は非常に大切ですが、それに加えて飲み物の性質、水を飲む頻度、「水を蓄えられる身体を維持する」という視点も忘れてはいけません。
今年の夏は、水分補給だけでなく筋肉の健康にも目を向けながら、暑さに負けない身体づくりを目指してみてはいかがでしょうか。
参考
「全国の熱中症による救急搬送状況(6月15日~6月21日速報値)」(総務省消防庁 https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r8/heatstroke_sokuhouti_20260615.pdf 閲覧日)2026/6/25)
ウォーキングや健康に興味のある方なら、一度は「1日1万歩」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
健康づくりの目安として広く知られている数字ですが、実はこの「1万歩」という目標は、もともと医学的な研究から生まれたものではありません。
その由来は、東京オリンピック翌年の1965年に山佐時計計器株式会社が発売した歩数計「万歩計」にあると言われています。覚えやすく親しみやすいことから広く普及し、「健康のためには1日1万歩」という考え方が定着していきました。
「では、1万歩に意味はなかったのか」と思われるかも知れません。しかし、そういう訳ではありません。
その後、平成12年に厚生労働省が推進した『健康日本21』では、身体活動量と健康との関係を調べた海外の研究結果などをもとに一定の妥当性が認められ、1日1万歩が健康づくりの目標の一つとして取り上げられました。歩くことが健康維持に役立つこと自体は、多くの研究で示されています。
一方で近年は、「誰もが1日1万歩を目指すべきなのか」という点について、さまざまな研究が行われています。
年齢や体力によって適切な運動量は異なりますし、歩数だけでなく歩く速さや運動強度も健康への影響に関わることが分かってきました。
では実際のところ、健康のためにはどのくらい歩けばよいのでしょうか。今回の記事では、より良いウォーキングの方法についてお伝えいたします。
まず、歩くことで得られる「健康」とは、どういった結果を指すのでしょうか。
「歩くと健康に良い」と聞くと、何となく体に良さそうなイメージはあっても、具体的にどのような変化が起きているのかは意外と知られていません。
歩行は、私たちが日常的に行う運動の中でも、全身を効率よく使う活動の一つです。特に太ももやお尻、ふくらはぎといった下半身の筋肉は、人体の筋肉量の多くを占めており、歩くことでこれらの大きな筋肉が継続的に働きます。
筋肉が活動すると、そのエネルギー源として糖や脂肪が消費されます。また、筋肉の収縮は血液を押し流すポンプの役割も果たします。中でもふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、足にたまった血液を心臓へ送り返す働きを担っています。
そのため、歩行によって血液循環が促されると、全身へ酸素や栄養が届けられやすくなります。さらに、心臓や肺にも適度な刺激が加わることで心肺機能の維持につながり、継続することで体力の向上も期待できます。
このような変化は、生活習慣病の予防や改善にも関わっています。実際に、ウォーキングをはじめとする身体活動には、高血圧や糖尿病、脂質異常症などのリスクを下げる効果があることが、多くの研究で報告されています。
さらに、歩数やウォーキングの程度によって、予防が期待できる病気にも段階があることが分かっています。
健康のためには何歩くらい歩けば良いのか。
近年、この疑問に対するヒントとして注目されているのが、群馬県中之条町で行われた「中之条研究」です。
この研究では、高齢者約5000人の身体活動量と健康状態を長期間にわたって調査し、歩数と病気の関係を分析しました。
その結果、歩数が増えるにつれて予防・改善が期待できる病気が増えていくことが分かっています。
・4000歩(うち早歩き5分程度)で、うつ病の予防
・5000歩(うち早歩き7.5分程度)で、認知症や要介護状態、心疾患や脳卒中の予防
・7000歩(うち早歩き15分程度)で、がんや骨粗しょう症、動脈硬化の予防
・8000歩(うち早歩き20分程度)で、高血圧や糖尿病、脂質異常症など生活習慣病の予防
この結果を見ると、「1万歩に届かなければ意味がない」ということはないことが分かります。
しかも、同研究では同時に、1万歩・30分を超えて活動しても、心血管系や筋骨格系の機能はほとんど高まらないことを報告しています。
また、激し過ぎる運動では、細胞内で活性酸素が比較的多く発生し、遺伝子に傷をつける可能性があることも指摘しています。
ほかにも、関節などを痛めたりといった事故も考えられます。
つまり、健康づくりは、1万歩という基準で決まるのではなく、自分の現在地から、少しずつ活動量を増やしていくことが大切なのです。
ここまで見てきたように、ウォーキングの効果は1万歩を達成した人だけが得られるものではありません。歩数に応じて、様々な病気の予防を期待出来ます。
1万歩は歩けないから、と諦めず、今よりも1歩ずつ増やし、まずはウォーキングの効果が出始める3000歩を目指してみてください。
また、それよりも重要なことがあります。「今の自分に合った活動量を続けること」です。
実は1万歩は、体力が落ちている方にとっては特に、多過ぎると言える数字です。
健康な成人男性の場合でも、目標は9000歩程度となっています。65歳以上の場合、女性では6000歩、男性では7000歩程度が推奨されています。
もちろん普段からしっかりと動いている方であれば構いませんが、例えば、普段3000歩程度の生活をしている方が、無理をして毎日1万歩を目指したとしたら、最初の数日は頑張れても、疲労や関節の痛みが出てしまい、続かなくなってしまうかもしれません。
「まずは4000歩を目指そう」「買い物のついでに少し遠回りしてみよう」といった無理のない目標であれば、長く続けやすくなります。
健康づくりは短距離走ではなく、長距離走に近いものです。
特別な運動を一日だけ頑張るよりも、毎日の生活の中で少しずつ身体を動かし続ける方が、結果として大きな効果につながります。
また、歩数だけにこだわる必要もありません。
歩く速さを少し意識したり、階段を利用したりと、ウォーキングの効果を高める方法は他にもあります。
「今日は目標の歩数に届かなかったから意味がない」と考えるのではなく、「昨日より少し多く身体を動かせた」と前向きに捉えることが、継続のコツと言えるでしょう。
リハビリもまた同じです。一度の頑張りで身体が大きく変わることはありませんが、日々の積み重ねは確実に、未来の身体につながっていきます。
リハビリベースは、おかげさまでこの6月で4周年を迎えました。
これまで支えてくださった皆さまに感謝するとともに、これからも、継続の力を大切にしながら、一人ひとりの目標達成をサポートしてまいります。よろしくお願いいたします。
参考
「21世紀における国民健康運動《健康日本21》」(厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/top.html 閲覧日2026/6/7)
「健康長寿に効果的なウォーキング」(健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka-yobou/haya-aruki.html 閲覧日2026/6/8)
「健康長寿を実現するための新常識 中之条研究から見えてきた、”病気にならない方法”」(青栁幸利 『健やかぐんまvol.24』)
とてもすてきな笑顔です✨️
「屋外歩行」は、出来るようになると生活範囲が広がり、自分の歩行への自信もついて、生活の豊かさをぐっと引き上げます。
ですが、屋外歩行で使う力は、筋力や体力だけではありません。多くの情報を同時に処理しながら動く、といった力などが必要とされ、家の中での歩行よりも難易度が上がります。
そのため、ご来院される方の中には、外をもっと歩けるようになりたいと思いながらも、苦手意識や不安を感じている方が度々いらっしゃいます。
このブログを読んでいる方も、外を歩いていて、こういった感覚を持ったことがあるのではないでしょうか。
「人混みの中だとふらつきやすい」
「凹凸のある道でバランスを崩しそうになる」
「信号や周囲を気にすると歩きづらい」
「外出すると、家の中より疲れやすい」
こうした悩みを解消し、より歩行を楽しんでいただけるように、リハビリベースでは、屋外歩行のリハビリを行っています。
今回の記事では、屋外歩行が何故難しいのか、当院では屋外歩行にどのように取り組んでいくかをご紹介いたします。
歩行に関しては、当院のInstagramでも紹介しております。ぜひそちらもあわせてご覧ください。
目次
家の中では問題なく動けるけれど、外へ出るのは不安、という方がいらっしゃいます。
これは不思議なことではありません。屋内と屋外には大きな差異が複数あります。
キーワードとしては「環境変化のしやすさ」が挙げられます。
私たちは普段、周囲の情報を無意識に受け取り、適切に処理しながら動いています。
例えば、家具や段差といった障害の位置を把握して避けたり、見通しの悪い曲がり角や人通りの多い道といった危険な場所を、より注意しながら歩いたりしています。
家の中では、障害物や危険な場所を把握しやすいため、周囲の情報を処理する負荷が少なくて済みます。疲労感を抑えられ、さらに「歩くこと」に集中することが出来ます。
一方で、外では状況が変化し続けます。
道の状態、人の流れ、周囲の音や視線など、常に新しい情報に対応しながら動かなければなりません。
慣れた道であっても、天気などによって、地面の状態が変化していることも考えられます。
その日の体調によって、休憩が多く必要になるかも知れません。家の中であれば移動距離が短く、疲れたとしても休憩出来る場所があることがあらかじめ分かりますが、屋外では不確定です。
もし環境変化に対応することが出来なければ転倒してしまうことから、家よりも不安になりやすいですし、不安にともなって体がこわばり、歩行に不要な力や動きが増えてしまうことも考えられます。
こういった理由から、屋外での歩行では、注意力や体に負荷がかかることが多くなっています。
「家の中で動ける」ということと、「外で安定して動ける」ということは、必ずしも同じではないのです。
屋外の環境変化をなくすことは難しいです。
また、体のこわばりを引き起こすような強い不安は、「頑張ろう」と意識するだけでは解消しづらい場合もあります。むしろ、「転ばないようにしなければ」と強く意識するほど、必要以上に体へ力が入り、疲れやすさや歩きづらさにつながってしまうこともあります。
そのため、屋外歩行では、「頑張ること」や「筋力をつけること」だけではなく、安全を確保しながら、実際の環境に慣れていくことが大切になります。
安全を確保するには、一人ではなく、リハビリの時間に、施術者と一緒に練習するのが近道です。
保険内でのリハビリの場合、屋外歩行には医師の指示といった条件があります。ですが、リハビリベースは自費でのリハビリとなるため、より目標に沿った、自由な形で練習することが可能です。
施術者が周囲の状況や危険な場所を確認することで、ご利用者様自身は「歩くこと」に集中しやすくなります。もちろん施術者が、より良い歩き方になるようサポートをいたします。
そして実際に、段差や坂道を歩いたり、人とすれ違ったり、少し長い距離を歩いたり、疲れた状態でもペースを調整するといった経験を重ねることで、「外で動く感覚」に少しずつ慣れていくことが出来ます。
自分に合った歩き方や活動量も、見つけやすくなります。
また、当院の特徴として、施設の広さがあります。
屋外歩行への不安が強い方でも、ぶつかったり転倒したりするリスクを減らし、施術者のサポートを受けながら、屋内でしっかりと練習を積んで、自信を持つことが可能です。
見学も受け付けておりますが、その前にも様子を確認しておきたいという方は、Googleマップでリハビリベースをご検索ください。ストリートビューで、施設内の様子をご覧いただけます。
さらに、歩く距離や速度を調整しながら練習出来るよう、ルームランナーなどの機材も備えております。
合う方法は人によって異なります。
だからこそ、
・どんな環境で動きたいのか
・どこまで活動を広げたいのか
・どんな場面で不安を感じるのか
まで含めて一緒に考えながら、サポートしていきます。
体験リハビリを行っておりますので、お気軽にご連絡ください。
「休職が明けるから」「孫の結婚式があって」お話される内容は、ご利用者様によって異なります。
また、当院ではリハビリを始める前に、リハビリを続ける動機となるような「ライフゴール」をお尋ねしています。その際にも「旅行に行きたい」「自転車に乗りたい」と皆様、様々な目標をお話してくださいます。
中には、答えに迷う方もいらっしゃいます。
ですが迷われていた方も、リハビリを続けて体に良い変化が出て来ると、「日常のこんな場面で、こんな風に体を動かすことが出来た」と、動作を混じえながら、その変化についてご報告してくださいます。
「動きやすい体」は、様々な行動の土台となります。
リハビリのきっかけや動機が、特定の目標であっても、明確な理由がなかったとしても、リハビリを続けて「より動きやすい体」になることが出来ると、可能性の広がりを感じてか、自然ともっと体を動かしたいという思いを強くする方が多いようです。
そういった「動きやすい体」を測る指標の一つに「ADL(日常生活動作)」があります。
ADLとは、起き上がる、立つ、歩く、物を取るといった、日常生活の中で繰り返される基本的な動作を指します。また、それらを組み合わせた高度な動きに「IADL」があります。
これらの動作がスムーズに出来るようになると、日常生活の中で動きやすいと実感する場面が増えます。無意識の消耗が抑えられ、日々の体の疲れが薄れることもあります。
すると、先述したように明確な目標がなかった方もこんなことをしてみようと意欲がわいて、リハビリに向き合う気持ちが変わっていくことがあります。
今回の記事では、リハビリを始めようと思うきっかけがあった。けれど、あと一歩を踏み出す程の動機はなく、悩んでいる。
そんな方に、実際により動きやすい体になった時のイメージを持っていただくため、ADLの観点から、「具体的に動きやすい体とは何か」「どのように動きやすい体を作っていくか」などについてご説明いたします。
目次
「動きやすい体」の定義は目標や環境によって異なりますが、今回は幅広い視点から捉えるため、「ADL」という指標をご紹介いたします。
ADLとは「日常生活動作(Activities of Daily Living)」の略で、個人が日常生活を維持するために最低限必要な能力を評価するための指標です。簡単に言えば、起きる・座る・立ち上がる・歩く・物を取るといった、日常の中で繰り返される基本的な動きです。
また、社会生活を送る上で必要な、より複雑な動作として「IADL(手段的日常生活動作)」があります。ADLは、「起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容」といった生活に不可欠な動作を指すのに対し、IADLは、買い物や調理、選択、服薬管理といった、より複雑な行動を指します。
リハビリでは、このADL・IADLが重要な位置づけにあります。ADL・IADLの低下は出来ることが減ることを意味するため、趣味が出来なくなったり、社会での役割を見いだせなくなったりして、気分が落ち込みがちになります。そのせいで体を動かす機会が減り、さらに出来ることが減る、といったループに陥ることもあります。
しかし、翻って言えば、ADL・IADLを目安にして出来ることを増やしていくことが、動きやすい体を手に入れることにつながっていきます。
例えば、立ち上がりや歩行を楽にしていくと、外出のしやすさや疲れにくさが変わってきます。一つ一つの動作は小さなものかも知れませんが、積み重なれば、日常生活の負担はどんどん軽くなっていきます。
負担が軽くなれば、歩いてみたい、買い物に行ってみよう、遠くの店に行くために自転車に乗りたい、とだんだんと望みが広がっていきます。その望みに合わせて体を使うことが増え、より動きやすい体へと変わる機会が増えます。
そのため、リハビリでは、実際の生活場面に近い動作を確認しながら、どこに負担がかかっているのか、どの動きがスムーズでないのかを見ていきます。
実際に、日常生活での動作を意識したリハビリを行っている動画をご紹介いたします。
おひとりおひとりに合ったトレーニングを行うため、実際に行うリハビリは、ご紹介したトレーニングに限りません。「人混みを歩きたい」「ゴルフがしたい」といった目標があれば、その目標に沿ったリハビリ内容をご提案いたします。
動画では「水の入ったコップをこぼさないように歩く」「洗濯物を干す・取り込む」「書道」といったトレーニングを行っていました。他にも、階段の昇降や、歩行、立ち上がり動作なども行っています。
「自分の家でだって出来ることだから、あえて施設にまで行ってやらなくてもいいのではないか」 そう思った方もいるかも知れません。
ですが「動きやすい体」を作るには、筋力に加えて、体の使い方も重要です。
自分では普段通りに動いているつもりでも、長年の癖や、脳卒中後の麻痺や整形外科疾患による痛み・可動域制限などによって、以前とは異なる体の使い方が習慣になってしまったことで、体の一部分だけに負担が集中していることがあります。
その状態が続くと、「なんとなく疲れやすい」「立ち上がりが重い」「動けるけれど負担感がある」といった、言葉にしづらい違和感につながっていきます。
さらに、片側を庇い続けることで別の部位に負担が集中して、その部位にまで痛みが生じるなど、日常生活全体へ影響が広がることも少なくありません。
そのためリハビリでは、筋力だけでなく、動作そのものにも着目しながら体の状態を見ていきます。
施術者が動き方を調整すると、今までと違う体の使い方になるため、最初は違和感を覚える方もいらっしゃいます。
ですが、その動き方でしばらく生活していただくことで、「以前より立ち上がりやすくなった」「疲れにくくなった」「足の浮腫が減った」といった変化を感じる方が少なくありません。
日常生活の動きは、毎日の中で繰り返されています。
だからこそ、一つ一つの動作が少し変わるだけでも、その積み重ねが、生活全体の過ごしやすさにつながっていきます。
日常生活の中にある小さな負担に目を向けることが、体を整えていく第一歩になるかもしれません。
「動きやすい体」とは、動くことに対する抵抗感の少ない体、と言い換えることも出来るかと思います。
だからこそ、動きやすい体になる前の状態が、一番大変かも知れません。リハビリを始めようと思ってはいても、中々踏み出せない。今現在が一番動きづらい体なのですから、それも無理ないことです。
ただ、その一歩を踏み出すことが出来れば、正のループに入ることが出来ます。
立ち上がる時に「よいしょ」と気合を入れなくても良い。
少し遠くへ出かける時に、「疲れそうだからやめておこう」と考えなくて済む。
動く度に感じていた疲労感や痛み、不安感がなくなる。
日常の負担が少なく済んで、新たな目標が出て来たり、もっと動ける状態を目指そうという意欲が湧くようになっていくかも知れません。
当院では体験リハビリでも、しっかりと体を見て、動きやすい体になるために、どのような部分に負担がかかっているのか、どのような動き方の癖があるのかを確認しながら、現在の状態とその先を見据えながら、その方に合ったリハビリをご提案しております。
また、「どんなことを目指したいのか」「どのような場面で困っているのか」といったお話も伺いながら、日常生活に結びつくリハビリを行っています。
「まだリハビリを始めるほどではないかもしれない」「明確な目標があるわけではない」と感じている方も、まずは現在の体の状態を知るところから始めてみてはいかがでしょうか。