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「痛み」は、誰もが経験する、身近な悩みです。リハビリに通われている方の中にも、腰や肩、膝などに起こる様々な痛みと向き合いながら日々を過ごしている方が多いのではないでしょうか。
そんな中で、こんな疑問を感じたことはありませんか?
「同じようなケガをしたはずのあの人は平気そうなのに、私はこんなに痛い」
「検査では異常がないと言われたのに、痛みがずっと続いている」
「昔のケガは治ったはずなのに、まだ痛む」
実は、痛みというのは思っている以上に複雑なもので、単純に「組織の損傷=痛み」ではありません。
例えば、「異痛症(アロディニア)」という病気があります。これは普通なら痛みを感じないはずの、ささいな接触や温度変化でも、強い痛みを感じてしまう病気です。脳血管疾患を経験された方の中にも、悩まれている方がいらっしゃいます。
日本疼痛学会は、2020年に国際疼痛学会(IASP)が発表した「痛み」の定義を、以下のように翻訳しています。
痛みの定義 2020 日本語訳(日本疼痛学会 2020.7.25)
「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」
付記
・痛みは常に個人的な経験であり、生物学的、心理的、社会的要因によって様々な程度で影響を受けます。
・痛みと侵害受容は異なる現象です。感覚ニューロンの活動だけから痛みの存在を推測することはできません。
・個人は人生での経験を通じて、痛みの概念を学びます。
・痛みを経験しているという人の訴えは重んじられるべきです。
・痛みは,通常,適応的な役割を果たしますが,その一方で,身体機能や社会的および心理的な健康に悪影響を及ぼすこともあります。
・言葉による表出は、痛みを表すいくつかの行動の1つにすぎません。コミュニケーションが不可能であることは,ヒトあるいはヒト以外の動物が痛みを経験している可能性を否定するものではありません。
(下線 引用者)
下線部の言葉からは、学会でも、「痛み」は本人以外が測ることは難しい、とても個人的で、主観的な体験だと考えていることが窺えます。
しかし、だからこそ、なかなか原因が見つからずに苦しみ続けたり、「痛みを感じる=気にし過ぎ」「痛みを我慢出来ない=根性がない」などのように誤解され、周囲の人の理解を得られず、孤独に苦しむことになる場面も出て来ます。
痛みは必ずしも悪いものではありません。痛みのおかげで、私たちはすぐに手当てをしたり、傷口を守ることができます。
しかし、痛みは時と場合によっては、生活や心に、過度な負担を与えることもあります。
そんな時には医療だけでなく、痛みや、痛みによって生じる困り事への理解が大切です。
この記事では、痛みについて、いくつかの視点から解説いたします。この記事の内容を、痛みについて悩む方や、痛みについて知ってほしい方と共有すれば、お互いの痛みの経験について話し合うきっかけになり、自分や身近な人が抱える負担を和らげるような、痛みとの付き合い方が見つかるかも知れません。
まずは目次から、気になるトピックスを選んでみてください。
痛みには、大きく分けて「急性痛」と「慢性痛」の2種類があります。その名称から、「急に起こる痛み」「ずっと続いている痛み」と想像する方が多いかと思いますが、実はこの2つは、「痛みが続く期間の長さ」だけでなく、性質や意味合いが大きく異なります。
急性痛とは、ケガをした直後や病気の発症時に感じる痛みです。例えば、転んで膝を打った時の痛み、骨折した時の痛み、急性の炎症による痛みなどがこれにあたります。
急性痛の役割は、「危険を知らせる警告信号」です。痛みがあるからこそ、私たちは「ここが傷ついている」「ここを守らなければ」と気づき、無理をせずに安静にしたり、治療を受けたりすることができます。
一般的に、急性痛は組織が治癒するにつれて徐々に軽減し、多くの場合、3ヶ月以内には治まります。痛みの原因(組織の損傷)がはっきりしていて、その原因が治れば痛みもなくなる、という分かりやすい関係にあります。
慢性痛:痛み自体が問題になる
一方、慢性痛とは、
・3カ月以上続く
・痛みのもともとの原因になったけがや問題がなくなった後も、1カ月以上続く
・数カ月から数年にわたって再発と消失を繰り返す
・慢性疾患(がん、関節炎、糖尿病、線維筋痛症など)または治らないけがに伴うもの
このいずれかに当てはまる痛みのことを指します。
慢性痛の厄介なところは、組織の損傷が治っているにもかかわらず、痛みだけが残り続けることがあるという点です。レントゲンやMRIなどの検査では「もう治っている」と言われるのに、痛みは相変わらず感じる。こういった経験をされた方も多いのではないでしょうか。
慢性痛が起こる理由は、その痛みによって異なります。
例えば、痛みが長く続くうちに、神経系に変化が起こったために感じることがあります。痛みの信号を繰り返し受け取り続けることで、神経が敏感になり、本来なら痛みとして感じないはずの弱い刺激でも、痛みとして感じてしまうようになるのです。「[[rb:中枢性感作>ちゅうすいせいかんさ]]」と呼びます。
痛みの「記憶」が脳に残ることもあります。脳が「ここは痛む場所だ」と学習してしまい、実際には組織の損傷がなくても、痛みの信号を作り出してしまうのです。
幻肢痛という、失った手足に痛みを感じる、不思議な現象もあります。これは脳に存在していた身体の地図が書き換わってしまうことが関係していると言われています。
つまり、患部が治っているにも関わらず感じる慢性痛は多くの場合、「組織の損傷の問題」から「神経系や脳の問題」へと性質が変化していくことで引き起こされます。だからこそ、急性痛と同じように「安静にしていれば治る」「痛み止めを飲めば治る」というわけにはいかないことが多いのです。
大切なのは、慢性痛は決して「気のせい」ではないということです。
検査で異常が見つからないと、「心配し過ぎ」「気にし過ぎ」と言われてしまうこともあるかも知れません。しかし、神経系や脳に変化が起こって痛みを感じているのは、紛れもない事実です。本人が感じている痛みは、本物の痛みなのです。
慢性痛には、急性痛とは別の視点から、別の方法で向き合っていく必要があります。
痛みと心は、密接に関係しています。
例えば、「この痛みは何か重大な病気のサインではないか」という不安や、「この痛みが一生続いたらどうしよう」という恐怖を抱えていると、痛みがより強く感じられることがあります。
また、「これをすると痛みが悪化するかもしれない」という恐怖から、身体を動かすことを避けるようになることもあります。これを「恐怖回避思考」と呼びます。
動かさないことで、一時的には痛みを避けられるかもしれませんが、長期的には筋力の低下や関節の硬さにつながり、かえって痛みが改善しにくくなることもあります。
逆に、楽しいことに集中している時、痛みを忘れていた、という経験はありませんか?好きな趣味に没頭している時、友人との楽しい会話に夢中になっている時など、注意が他に向いていると、痛みが軽く感じられることがあります。
心にストレスがかかって自律神経が乱れると、痛みが強く感じられたり、治りにくくなったりすることがあります。研究によると、痛みの処理や調節に関わる脳の領域と、自律神経の脳の領域には重複する部分があり、相互に作用していると見られています。具体的には、筋肉の緊張が高まったり、炎症を促進して、痛みを強くする可能性があります。
また、睡眠不足も痛みを強くする要因の一つです。十分な睡眠が取れていないと、痛みに対する感受性が高まり、同じ刺激でもより痛く感じてしまいます。痛みがあると不眠気味になってしまう方もいるとは思いますが、どこかで悪循環を断ち切る必要があります。
痛みは、周囲の環境や社会的な状況にも影響を受けます。
例えば、天気や気温の変化で痛みが強くなる、という方は多いのではないでしょうか。特に、気圧の変化は関節痛や頭痛に影響を与えることが知られています。
また、周囲の人の理解やサポートも重要です。家族や友人が痛みに理解を示してくれる環境では、心理的な負担が軽くなり、痛みとも向き合いやすくなります。反対に、「いつまで痛がっているの」「もう治ったはずでしょ」といった言葉は、孤独感を深め、痛みをより辛いものにしてしまうことがあります。
慢性痛を理解し、対処していくには、身体だけでなく、心や生活環境にも目を向けることが大切です。
痛みが複雑だからこそ、対処法も一つではありません。身体のケア、心のケア、生活環境の調整、それぞれのバランスを取りながら、自分に合った方法を見つけていくことが、痛みとの上手な付き合い方につながります。
これまで、痛みの複雑さや、様々な要因が痛みに影響することをお話ししてきました。
実際に痛みと向き合う時、大切なのは、痛みを「敵」ではなく、身体が何かを伝えようとしているサインとして捉えることです。
「無理をし過ぎている」「ストレスが溜まっている」「身体のケアが必要」など、重要なメッセージが込められているかもしれません。
痛みを完全に消すことだけを目標にするのではなく、「痛みがあっても、できることを増やしていく」という考え方も重要です。痛みと完全に決別することは難しくても、痛みとうまく付き合いながら、充実した生活を送ることは可能です。
慢性痛がある時、「痛いから動かさない方が良い」と思われるかもしれません。しかし、過度な安静は、筋力の低下や関節の硬さを招き、かえって痛みを長引かせる原因になることがあります。
大切なのは、無理のない範囲で、少しずつ身体を動かすことです。
リハビリで行っている運動を続けることはもちろん、日常生活の中で「今日は昨日より少しだけ長く歩けた」「痛みがあっても、この動作はできた」という小さな成功を積み重ねていくことが、痛みへの恐怖を和らげ、自信につながります。
例えば、こんな運動はいかがですか?
心を整える
痛みと心は深く関わっているため、心のケアも大切です。
深呼吸や好きな音楽を聴く、趣味に時間を使うなど、心が落ち着く時間を意識的に作ることで、痛みへの感受性が和らぐことがあります。
また、「この痛みは一生続くのではないか」という不安を抱えている場合は、その不安を一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家に話してみることも有効です。不安を言葉にするだけでも、心が軽くなることがあります。
睡眠不足やストレスは痛みを悪化させます。
規則正しい生活リズム、十分な睡眠、バランスの取れた食事など、基本的な生活習慣を整えることも、痛みとの向き合い方の一つです。
特に睡眠は重要です。痛みで眠れない、眠れないから痛みが強くなる、という悪循環に陥ることもあります。寝る前のリラックスタイムを作る、寝室の環境を整えるなど、睡眠の質を高める工夫をしてみましょう。
実は今まさに、痛みに向き合うことが出来ています。
「なぜ痛いのか分からない」、その不安が大きくなると、対処法を考える余裕もなくなってしまいます。
「痛み=組織の損傷」だけではないこと、神経が敏感になっていること、心理的・社会的要因も影響することなどを知ることで、痛みとの向き合い方を変える力になります。
ちなみに、このような、痛みの科学的な知識を学ぶアプローチを「ペインニューロサイエンスエデュケーション(痛みの教育)」と呼び、慢性痛の治療の一環として取り入れた研究もあるようです。
既に一歩進めています。この記事に書いてあることを全てやろうと気負わずに、その一歩を大切にしてください。
痛みは一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも大切です。
医師、理学療法士、作業療法士、心理士など、様々な専門職が連携して痛みにアプローチすることで、より効果的な対処が可能になります。「この痛みは誰に相談すれば良いか分からない」という場合は、まずはかかりつけ医やリハビリ担当者に相談してみましょう。
もちろん、リハビリベースでも相談を歓迎しております。体験リハビリもございますので、お気軽にご相談ください。
小さな変化を喜ぶ
痛みとの向き合い方で大切なのは、「完璧を目指さない」ことです。
「痛みが完全になくなった」という劇的な変化ではなくても、「少し楽になった」「できることが増えた」「不安が減った」という小さな変化を見逃さず、喜ぶことが、前向きな気持ちにつながります。
痛みとの向き合い方は、一人ひとり違います。自分に合った方法を、焦らず、少しずつ見つけていきましょう。
リハビリの場でスタッフに痛みを伝えるとき、以下のような視点を意識してみると、よりあなたに合ったケアが見つかりやすくなります。
「いつ、どんな時に」痛むか: 天気、時間帯、特定の動作など。
「どんな風に」痛むか: ズキズキ、重い、電気が走るような、など。
「どんな気持ちになるか」: 不安、イライラ、動くのが怖い、など。
「どうなりたいか」: 痛みをゼロにしたいのか、痛みがあっても趣味を再開したいのか。
「うまく説明しなきゃ」と構える必要はありません。話すこと自体にも、痛みを和らげる効果がある場合もあります。
また、当院では、「オーダーメイドのリハビリ」を行っており、お一人お一人の悩みに向き合い、一緒に解決していく手段を探していきます。ご自身の言葉で、悩みや実現したい目標をお伝えください。
「ずっと続いているこの痛み、どう説明したらいいか分からない」
「リハビリをしたいけれど、動かすのが怖くて踏み出せない」
そんなお悩みをお持ちの方のために、まずは体験リハビリをご用意しています。
専門のスタッフがじっくりとお話を伺い、現在の状態を丁寧に評価した上で、今のあなたに最適な「リハビリプラン」を一緒に構築していきます。
自分らしい生活を取り戻すためのパートナーとして、リハビリベースをぜひご利用ください。
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