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片麻痺や骨折後の方の「杖」や「靴」の選び方

目次

1. はじめに
2. 杖の選び方
3. 靴の選び方
4. 合っていない杖や靴がもたらすリスク
5. まとめ

1. はじめに

脳卒中による片麻痺や大腿骨頸部骨折などの術後の生活において、「自力で歩くこと」QOLを大きく左右します。その歩行を支える上で、極めて重要になるのが「杖」「靴」の選び方です。

 自分に合っていない杖や靴を使用していると、歩きにくさを感じるだけでなく、転倒のリスクも高くなってしまいます。 今回は、リハビリの現場でよく相談される「正しい杖と靴の選び方」についてわかりやすく解説します。

2. 杖の選び方

① 杖の高さ

杖は「高さ」が命です。

1)高さの目安
・基本的には、立った状態で腕を自然に下ろしたときの手首の高さ(大腿骨転子部:太ももの付け根の外側にある骨のでっぱり)が目安になります。
また、杖を突いたときに肘が軽く(20〜30度ほど)曲がる高さが理想的です。
 
2)杖が高すぎる場合のリスク
・肩が上がってしまい、肩こりや後方へのふらつきにつながる
・体が左右に傾いてしまう

3)杖が低すぎる場合のリスク
・前傾姿勢(猫背)になってしまう
・杖に体重がかかりすぎてしまい、手首への負担が大きくなる
② 杖を持つ手

片麻痺や骨折がある場合、杖は「麻痺やケガがある側」ではなく、「健側(元気な側)の手」で持つのが基本です。
〈具体例〉
o 右麻痺(右足の骨折)の方 ➡ 左手に杖を持つ
o 左麻痺(左足の骨折)の方 ➡ 右手に杖を持つ

この持ち方をすることで、歩くときに体をしっかりと支え、バランスを保ちやすくなります。
③ 杖を使用したときの歩き方

杖を使った歩行パターンには、大きく分けて以下の2つの方法があります。

・3動作歩行(安定重視・初心者向け)
安定性が高く、一つひとつの動作を慎重に行うことができます。歩き始めの方におすすめです。

o 順番(右麻痺・右足骨折の場合): ① 杖を出す ➡ ② 右足(悪い方の足)を出す ➡ ③ 左足(良い方の足)を揃える

・2動作歩行(スピード重視・上級者向け)
3動作歩行に比べると安定性はやや下がりますが、歩行速度は速くなります。杖での歩行に慣れてきた方向けです。

o 順番(右麻痺・右足骨折の場合): ① 右足(悪い方の足)と杖を同時に出す ➡ ② 左足(良い方の足)を出す
④ 杖の種類

体の状態や歩行レベルに合わせて、適切な種類の杖を選びます。
・T字杖
最も一般的な一本杖です。軽くて扱いやすいのが特徴で、歩行が比較的安定している方に向いています。
・多点杖(四点杖など)
杖先が4つに分かれて接地するタイプです。杖自体が自立するほど安定性が高く、歩行が不安定な方や骨折後初期の方に向いています。
・ロフストランド杖
握るグリップだけでなく、前腕を支える「カフ(輪っか)」が付いた杖です。握力が弱い方やより強い力で体を支えて長距離を歩きたい方に適しています。

3. 靴の選び方

靴が合っていないと足元が不安定になり、躓き(つまずき)転倒を引き起こします。以下のポイントを意識して選んでみましょう。
① サイズの選び方

「昔からこのサイズだから」と決めつけず、現在の足のサイズを測ることが大切です。年齢筋力の低下足の変形などによって、足のサイズは日々変動します。

・靴選びのチェック項目

1)かかとがしっかりホールドされ、支えられているか
2)甲の部分がしっかり固定されているか
3)つま先に適度なゆとりがあり、指が当たって圧迫されていないか
4)靴が軽すぎないか(適度な重みがある方が振り出しやすい場合があります)

※実寸よりも 1.0〜1.5cm程度ゆとり(捨て寸)があるもの を選ぶのが基本です。必ず試着して確認しましょう。
② 足の変形(外反母趾など)やむくみへの対策

変形や浮腫(むくみ)がある方は、日によって足のボリュームが大きく変わります。以下の特徴を持つ靴がおすすめです。

1)紐靴ではなく、マジックテープ(面ファスナー)や、足の甲がゴム仕様で調整しやすいもの
2)つま先が細いものではなく、幅広(3E〜4Eなど)のもの
3)装具を着用して靴を履く場合は、左右で異なるサイズが選べる「装具対応シューズ」を検討する

4. 合っていない杖や靴がもたらすリスク

サイズや高さが合っていないものを使い続けると、体にさまざまな二次障害が生じます。

・合わない靴を履き続けた場合の症状
1)靴擦れやタコ、かかとの角質肥厚
2)外反母趾などの足の変形の悪化
3)足元の圧迫による、血流障害や浮腫(むくみ)の悪化
4)余計な力が入ることによる疲労感の増大

また、大きすぎる靴は、足を持ち上げたときに靴の中で足が遊んでしまい、つま先が上がりにくくなります(クリアランスの低下)。これが「何もないところでの躓き」や「転倒」の直接的な原因になります。 逆に小さすぎる靴は、足先を強く圧迫し、疲労感を早めるだけでなく、爪が割れたり皮膚を傷つけたりする原因になります。
もちろん、高さの合わない杖も同様に、バランスを崩して転倒を招く大きな要因となります。

5. まとめ

杖や靴の正しい選定は、歩行の安定性を左右する最も身近なアプローチです。転倒による再骨折やケガを防ぐためにも、ご自身の今の状態にぴったり合うものを慎重に選んでいきましょう。

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