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「リハビリ」と聞いて、どのようなことを思い浮かべるでしょうか。
筋力トレーニングや歩行練習など、身体の機能を良くするための訓練を思い浮かべる方も多いかもしれません。
もちろん、それらもリハビリの大切な役割です。しかし、リハビリが目指しているのは、身体の機能を改善することだけではありません。
リハビリテーション(rehabilitation)という言葉には、もともと「権利や資格を回復する」という意味があります。
病気や怪我などによって低下した身体機能を改善すれば、日常生活もある程度は取り戻すことは出来ますが、その人個人が持っていた目標や夢には、届かなくなってしまうかも知れません。その状態で、その人らしい生活を取り戻したと言えるでしょうか。
その人がどのような生活を送りたいのか、そして、そのために何ができるのかまで考えることも、リハビリの大切な役割です。
例えばリハビリベースには、「もう一度、大好きなプロ野球を観に行きたい」という方や、「夫婦で旅行を楽しみたい」「趣味の釣りを続けたい」という方がいらっしゃいました。リハビリを続ける中で、それぞれの目標を叶え、やりたいことを再び楽しめるようになった方もいらっしゃいます。
なお、こうしたご利用者様の体験談は、サイトでご紹介しています。ぜひご覧ください。
こうしたリハビリテーションの考え方は、最初から現在のような形だったわけではありません。
戦争や医療の発展、リハビリテーション専門職の誕生など、さまざまな出来事を経る中で、その役割は少しずつ広がってきました。
今回は、リハビリテーションがどのように発展してきたのかを振り返りながら、身体を良くするだけに留まらない、現在のリハビリテーションの考え方が生まれた背景を見ていきます。
リハビリテーションにつながる取り組み自体には古い歴史がありますが、現代でイメージされるような「リハビリテーション」が大きく発展した背景には、第一次世界大戦や第二次世界大戦がありました。
戦争では命を落とすだけでなく、一命を取り留めたものの、手足の切断や脊髄損傷などの重い障害を負う兵士が多く存在します。
そういった戦傷兵がどのように生活や仕事に戻るのかのかという課題が大きな問題となり、残された身体機能の活用や社会復帰を支える取り組みとして、リハビリテーションが発展していきました。
一方で日本でのリハビリテーションの始まりは、肢体が不自由な子供に対する取り組みでした。
ですが、世界の時流に沿い、戦時中には戦傷兵へのリハビリテーションが大きな課題となります。また、戦後復興のために行われた石炭増産では、落盤などの炭鉱現場の事故によって、脊髄損傷者を多く生み出しました。
高度成長期には、交通事故、労働災害が社会問題となり、労働者層の障害が課題となっていきました。
こういった流れで、それまで主に子供に対する取り組みであったリハビリは、青年層が中心になっていきます。
そして、近代では平均寿命の延長によって、高齢疾患や脳卒中が問題となり、青年層から高齢者層へと、リハビリの主な対象が移行していきました。
また、戦後日本のリハビリテーションにおいて大きな転機となったのが、1965年に制定された理学療法士及び作業療法士法です。この法律によって、理学療法士と作業療法士という専門職の資格が制度として定められました。
理学療法士は、立つ・歩くといった基本的な動作に関わる身体機能の改善を、作業療法士は、日常生活に必要な動作や作業などを通して生活機能の回復を支援します。
その後、言語聴覚士などの専門職も加わり、リハビリテーションは複数の専門職が連携して行うものへと発展していきました。
こうして日本でも、病気やけがを治療するだけでなく、その後の生活まで見据えて支援する「リハビリテーション」という考え方が、医療の中に定着していったのです。
そして、リハビリテーションの考え方は、さらに変化していきます。
リハビリテーションが発展するにつれて、考え方にも変化が生まれました。
以前は、筋力や関節の動き、歩行能力など、身体機能をどれだけ回復させられるかという視点が重視されていました。
もちろん、身体機能を改善することは現在でもリハビリテーションの重要な目的です。
しかし、身体の機能が改善したからといって、必ずしも以前と同じ生活を送れるとは限りません。例えば、歩行能力が向上しても、自宅に段差が多ければ移動に困るかもしれません。腕が動かしやすくなっても、仕事で必要な動作ができなければ、復職につながらないこともあります。
そこで、身体の機能をどれだけ回復させるかだけではなく、「その人が実際の生活で何ができるのか」という視点がより重視され、活動や参加、さらに本人を取り巻く環境にも目を向けられるようになっていきました。
この考え方を理解するうえで参考となるものの一つに、WHO(世界保健機関)が2001年に採択したICF(国際生活機能分類)があります。
厚生労働省で行われた第1回社会保障審議会では、ICFの目的を「生きることの全体像についての共通言語」とまとめています。
「健康」とは単に「病気ではない」という状態だけでなく、真の「健康」を理解するには、「心身機能・身体構造」「活動」「参加」という側面から捉え、さらに環境などとの相互作用も含めて、その人の生活を全体的に捉えることが不可欠という考え方です。
例えば、「歩けるようになったから健康」というだけでなく、「一人で買い物に行けるか」「仕事に復帰できるか」「趣味を再び楽しめるか」といった、その人が実際にどのような生活を送っているのかまで含めて捉えることが重要なのです。
リハビリテーションは、このように社会情勢の変化に伴って必要とされ、各種の制度によって、身体を良くすることそのものをゴールとするのではなく、改善した身体機能をどのように生活につなげていくかを考えるものへ、より広い視点へと発展してきたのです。
ここまで、リハビリテーションがどのように発展してきたのかを見てきました。
時代とともに、リハビリテーションが向き合う対象は、身体の機能だけから、その人の生活や社会との関わりへと広がってきました。
リハビリテーションの歴史は、単にリハビリの技術や制度が発展したというだけの歴史ではありません。
「その人にとって、より良い生活とは何か」を考える視点が、少しずつ広がってきた歴史でもあります。
リハビリベースも、こうしたリハビリテーションの歩みを受け継ぎながら、「もっと人生を楽しみたい」という思いを持つ方に寄り添っています。
病院でのリハビリを終えた後も、まだ挑戦したいことがある。今の身体で、もう一度やってみたいことがある。
そんな一人ひとりの「その先」を見つめながら、自費リハビリという選択肢を通して、目標に向かうためのサポートを続けています。
体験リハビリInstagramやYoutubeで、ほかのご利用者様の日々のリハビリや、出来るようになったことをご紹介しています。
もっと歩けるようになりたい、出来ることを増やしたい。
そんな目標をお持ちの方は、まずは体験リハビリで、自分の可能性を探ってみませんか?
参考
「総論 リハビリテーションの歴史と変遷」(緒方徹 『月間地域医学』,2022,Vol.36,No.9,713)
「医学と総合リハビリテーションの面から戦後30年を振り返る」(上田敏 障害保健福祉研究情報システム https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n373/n373004.html 閲覧日2026/9/6)
「ICF(国際生活機能分類)-「生きることの全体像」についての「共通言語」-」(大川弥生 第1回社会保障審議会統計分科会 生活機能分類専門委員会参考資料3 閲覧日2026/9/6)