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視床出血 後遺症に打ち克つ方法

視床とは?

視床とは、脳の間脳と呼ばれる部位に属しています。嗅覚を除く聴覚や視覚、その他様々な感覚を、大脳新皮質へ繋げる重要な場所です。間脳には、視床の近くに、視床下部、松果体、脳下垂体があり、ホルモン分泌の中枢も担っています。

上の図のように、大まかな部位になりますが、間脳の上には、大きな大脳皮質があり、下方には、脳幹と脊髄が繋がっています。これらの間に視床があるように、脊髄や脳幹から受け取ったあらゆる情報を、上の大脳皮質へ繋げています。
脳幹は、脳血管リハビリテーション➂(バランス編)で説明させてもらいましたが、バランスに関して重要な役割を果たしています。この脳幹でまとめられたバランスの情報や、あらゆる感覚が、この視床を経由し大脳皮質へ運ばれています。
視床は、さまざまな感覚を司っていると述べましたが、具体的にはどの機能があり、どのような動作と関係しているのかを具体的にみていきます。
 
 
人は、身体を動かすとき、脳から指令を送り、自分の意思で身体を動かしています。
物を掴む動作を例に挙げると、物の形状を確認し、持ち方や挙げ方を無意識下に考え、動作を実行しています。次に、物を持ち続ける動作として、手で把持をしながら落とさないようにする、または手の平でバランスを取る。これは、手の皮膚に触れる感覚や、それぞれの関節の位置情報を得て、手のコントロールをしています。
この視覚情報と、手の感覚は、どちらも必要な情報です。仮に目をつむりながら、物を持とうとする時、人は、対象物がどんな物なのか、情報がないまま物に触れることに、恐怖心が生じてしまいます。
手探りで対象物の質感や、形状、大きさや重さを理解し、初めて、対象物の持ち方を頭で構想することが出来ます。目をつむった状態で、手のひらに置いたボールを落とさないようにすると、すごく難しい作業になってしまいます。人は無意識のうちに、動作一つの中で、視覚から得た情報や感覚を統合した上で、効率的に動作が行われています。

体性感覚は、下の図1の大きく分けて三つに分類されます。
初めに、物に触れた時に表面の滑らかさ、粗さを感じることができる、皮膚の表在感覚が一つ挙げられます。この表在感覚は、温度や痛みを感じる情報(温痛覚)も含まれています。
 次に、物を持つときの指や手首の位置は、位置覚と言われ、深部感覚に属します。深部感覚には、位置覚の他に、運動の方向を認知する運動覚、振動を感じる振動覚が含まれます。
 最後に、皮膚に2点同時に触れて認識する感覚(二点識別覚)、皮膚上に書字された文字を認識する(皮膚書字覚)を複合感覚と呼びます。この表在感覚、深部感覚、複合感覚の総称を体性感覚と呼びます。
 視床は、これらの体性感覚や、バランスを保つための情報をまとめ、大脳皮質へ情報を送っています。
 
 

視床の役割は?

視床は、その他にも様々な機能を担っています。脳画像の断面図をみると、視床のかたちは丸みを帯びていますが、この丸のなかで、解剖学的に小分けがされています1)
このように視床といっても、一つの部位が単一の機能を担っている訳ではなく、部位により機能が異なります。脳出血においても、血種がどの部位を阻んでいるかにより、障害される機能も異なってきます。
脳卒中において、起こったときや直後は、覚醒が低下したままなことや、回復しても短期間の記憶が曖昧なケースが多々あります。この視床においても、後方に血種が行き届いてしまうと覚醒レベルの低下が顕著にみられるケースがあります。
他にも、部位により視覚、聴覚、痺れや感覚異常など、後遺症として生じるケースが多いです。

次は、この視床が脳出血によって侵襲されたときに、具体的などのような症状がでるか。また全体の脳出血の病型とも比較しながらみていきます。
 
 
 
 
脳卒中の病型は、脳卒中データバンクによると、脳出血の割合は全体の18.5%を占めます。脳出血部位の割合は、被殻(29%)、視床(26%)、皮質下(19%)、脳幹(9%)、小脳(8%)という順番になっています。脳出血の中でも、被殻出血、視床出血を呈する割合は高く、リハビリを必要とする方の中でも、両者を担当させて頂くことが非常に多いです。上の図は、脳の横断面になりますが、被殻と視床は近い部分にあります。中大脳動脈は、脳の側方を流れ、そこから細かい分岐した血管が破裂することで、被殻や視床部位に出血が起こります。この出血が固まり血種となったものが、手術で除去を行わない場合は、脳内に残ります。この血種の大きさにより、予後はある程度決まってきます。具体的に、視床出血では、血種量が10mLをこえると、予後が不良という結果が出ています2)

先ほど述べた、視床の細かい部位や役割がそれぞれありましたが、実際の出血の場所により、後遺症の症状も様々です。視床出血にて傾向や障害を、下記にまとめます。

運動麻痺
被殻出血や視床出血でも多くみられる片麻痺ですが、脳出血が起きた反対側の半身において運動が行いづらい状態を指します。出血部位や量によって、麻痺の症状も様々ですが、後遺症として、痙性や固縮と呼ばれる筋緊張の高さにより、運動が行える範囲も大きく変わってきます。筋緊張に対して、装具が必要か、それとも筋力や動作を改善させることで、装具なく歩行がおこなえるかも、この運動麻痺の状態により、予後が変わってきます。

感覚障害
運動の経路とは、別に脳神経は感覚の経路があります。先ほど、体性感覚や痺れの話があがりましたが、片麻痺で片側が痺れる、温かさや痛みを過剰に感じてしまう異常感覚などが挙げられます。また視床は、バランス機能を担っており、身体は動かせるが、バランスが上手くとりづらいといった症状がみられるケースがあるのも特徴です。あらゆる感覚が脳幹で統合され、視床を通ります。各動作を遂行する上でも、この感覚障害に対してのアプローチは必須となります。

運動失調
先ほどあった運動障害とは別に、筋出力は良好だが、上手く動かすことができない状態を、運動失調と呼びます。協調性運動障害とも表されたりしますが、協調的に四肢や体幹が、円滑に動かせないことを指します。視床出血後の後遺症としては、ごく稀なケースになります。運動麻痺とは混在しやすいですが、筋力が発揮しづらい運動麻痺の部分と、失調によりコントロールが上手く行えない部分を、見極めながら動作に対してアプローチ行うことが大切です。他の脳幹や小脳出血では、この運動失調の症状がみられるのは、典型例ですが、視床出血においても、協調性運動は確認していく必要があります。

視床痛
視床特有の感覚障害もですが、この麻痺側には視床痛と呼ばれるし、慢性的な痛みがみられるケースがあります。これは、感覚路が脳へ上行する過程で障害がおこり、感覚が過敏に痛みとして知覚されている状態になってしまっています3)

眼球障害
眼の症状は、先ほども出ましたが、視床出血においては、高頻度の後遺症になります。この障害は、視床内の出血の部位により、眼球運動障害のパターンがいくつかあります。視床には、眼球運動と呼ばれる、眼の周囲についている細かい筋肉を、コントロールする機能があります。血種により、その機能が障害されると、以下の縮瞳、上方注視麻痺、内外方視、共同偏視、開散外方視などの眼の症状がみられます。眼球運動障害と付随し、出血の反対側の注意障害、瞳孔不動や眼瞼下垂もみられることがあります。
 
 
 
 
視床性失語
視床には、言語に関連する部位もあり、視床出血により失語を呈する、視床失語症がみられることがあります。視床性失語とは、自発性は乏しく、流暢に話すことが出来ない。復唱や音読言語理解は良好に保たれているのが特徴です。類似しているものとして、超皮質性運動性失語が挙げられ、こちらも自発言語が少なく、非流暢で、言語理解や復唱は良好といった同じ特徴を持ちます。

視床性無視
半側空間無視は、さまざまな脳の部位の損傷から引き起こされ、その部位によって種類や症状も様々です。視床出血による半側空間無視は、一過性の症状としてみられることが多いのも特徴としてあり、年齢によって予後が大きく変わりうるとも言われています4)
 
 

視床出血に対してのリハビリ

視床出血といっても、血種の大きさにより麻痺のレベルや、後遺症は様々です。脳血管疾患のリハビリアプローチは、個別性が強く、共通した方法が全ての方にとって有効とは言い切れません。ここでは、今まで視床の働きから、実際の視床出血の後遺症に対して、実際に有効なアプローチ方法をいくつ挙げていきます。

★覚醒状態を上げる
覚醒度合いも、特に視床に影響された部位によって、度合いが異なりますが、共通して覚醒を上げる働きをすることがリハビリでは可能です。まず、運動量を総じてあげていくこと。運動量を上げることで、当然のことですが、脳内の血流量は多くなり、注意や反応が改善されます。注意障害や、半側空間無視が併発していれば、なおさら、課題の中でもたくさんの視覚的な刺激や、感覚的な刺激を与えることで、覚醒や注意力をあげるアプローチはたくさんあります。リハビリ課題や運動のシーンに限らず、本人の好きなこと、注意が向きやすいことを行うことも、覚醒を上げる一つの手段です。好きな音楽を流す、好きなスポーツなど簡単にできるアクティビティーを行う。好きなものに対して心が動きやすいように、身体を動かしやすくする環境づくりも非常に大切です。最後に、覚醒を上げ続け、自身でできる活動を増やしていくことで、運動量がふえるという良い循環が生み出すことがポイントです。覚醒状態の改善に長期的にアプローチすることが可能となります。日常生活でも、ただできない日々を過ごすのではなく、限られた環境の中で、本人の覚醒を向上させる工夫は無限にあります。

★感覚に対してのアプローチ
視床は、様々な感覚が統合し、大脳皮質で運動へと変換されるための大切な中継地点になります。視床出血後の後遺症として、感覚異常やバランス機能を含めた感覚が捉えづらくなることが特徴です。運動麻痺により弱くなった筋力に対し、筋力向上を図るリハビリもそうですが、それを実用的に使えるようにするために、感覚障害に対してのアプローチは必須となります。
実際の感覚へのアプローチとはどのようなものがあるでしょうか。一つに、皮膚の感覚が鈍くなってしまっている部分に対し、床反力による荷重感覚や、物に触れることで、感覚を入れる方法があります。感覚が鈍くなっている部分に対して、よりわかりやすく感覚を入れることで、その動作に合わせて麻痺側の筋出力があがり、後に獲得すべき動作へと発展してきます。視床出血後遺症で、感覚が大きく障害されているという問題があっても、鈍くなっている部分を少しずつ動かすことで、筋力強化や、動作獲得へと必ずつながっていきます。時間をかけても、改善が見込めることが、リハビリの強みとしてあります。

★実際のバランス訓練
人それぞれ、麻痺のレベルから獲得すべき日常生活レベルも広がりがあると思いますが、特に何かを一人で自立して行う、または介助量をできるだけ少なくしていくためにも、バランス機能を上げるリハビリは必須です。視床出血では、脳幹で統合されたバランスの情報が障害されてしまうため、先ほど述べた感覚障害も含めて、克服していくために非常に大切な訓練の一つです。感覚障害に対してのアプローチや、半側空間無視、注意障害など、高次脳機能障害が併発しているケースは特に、バランス機能に対して弱い部分を少しずつ克服していく必要があります。このバランス機能を改善していくプロセスで、大切なことは、残存している機能を上手に活用していくことが、成功への鍵です。バランスが取りづらい、半側空間無視のある右麻痺に対して、視覚や注意を向ける。感覚を入れながら、麻痺側の脚でコントロールを図らせる。バランス課題といっても、屋外や電車、バスなどの公共交通機関を含めた難易度の高いバランス機能が求められる場面もあります。それぞれの難易度に合わせた課題をこなしていく過程はそれぞれありますが、弱点としてみられる障害に対して、細かくアプローチを行っていくことが、リハビリの中で非常に大切です。
 
 

【参考文献】

1) 酒向正春. (2016).リハビリに役立つ脳画像.p,p148-149.
2) 若杉洋. 被殻出血および視床出血の予後に関する研究. 日大大誌. 第54巻
3) Tsubokawa, T. (1992). Thalamic Pain. Pain inducing mechanisms. Pain research 7(1992)1-8.
4) 前島伸一郎.(2006).半側無視の下位分類. 高次脳機能研究26 (3):235~244, 2006.
 
 

それぞれの目標に見合ったリハビリの到達点

今回、視床出血という、脳出血のなかでも高頻度に起こりうる病型に焦点を当て、機能から起こりうる後遺症、またそれに対してのアプローチを紹介してきました。視床出血の後遺症は、幅広くある視床の機能の中でも、障害される特徴は人それぞれです。リハビリの取り組みは、後遺症に対しての初期評価から、本人やご家族の希望に沿って進められます。初期評価から、相談というかたちで、希望やリハビリの必要性を聞かせてもらった後に、予後予測として、実際にどのくらいの長さで、どこまで到達することができるかを、提示していきます。どんな麻痺のレベルや症状であっても、できることはたくさんあり、大きく改善がみこめるケースも多々あります。

麻痺の症状や、後遺症の度合いを一度評価させて頂き、一緒に目標を共有しませんか?

リハビリベースでは、体験にて、お身体の状態から、現在の困りごと、悩んでいる部分に対して、多角的にアプローチを行っています。多角的なアプローチとは、諦めていた、もう出来ることは少ない、といったケースに対しても、様々な角度からリハビリを施行して、突破口を見出していく作業になります。
 
 

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この記事を書いた人

尾作研太 理学療法士

回復期病院にて4年間勤務、主に整形外科や脳血管疾患、脊髄損傷のリハビリに従事。海外の大学にて、ヘルスケアの学位を取得後、訪問リハビリと地域の介護予防に参画。脳血管疾患の方の動作獲得や、装具を含めた歩行の修正、社会復帰までサポートしている。

冬は、麻痺側が硬くなる?その解決法とは。

 
 
「夏、秋と順調に来ていたのに、冬になり思うように手足が動かなくなってしまった。」

「寒くなるにつれて、麻痺側が冷たくなり、筋肉が硬くなってしまっているような気がする。」

脳卒中後遺症をお持ちの方は、冬の気温低下に伴い麻痺の後遺症による筋緊張に悩まされることが多々あります。

これは、気温が低くなると、麻痺側の緊張が強まるメカニズムが証明されております。冬は低い外気温のため、避けては通れない現象ともいえます。

そうは言っても、冬にリハビリのパフォーマンスを下げることは避けたいですし、リハビリで機能改善を図るために、対策をしていくことは、十分に可能です。

今回は、後遺症において筋緊張が高くなるメカニズムから、そのオススメの対策方法ベスト5を、ご紹介させて頂きます。
 
 

後遺症による麻痺側の筋緊張とは?

脳卒中後遺症として、脳梗塞や脳出血を起こした反対側に片麻痺を呈し、筋緊張が高くなるケースが非常に多いです。この麻痺の後遺症は、”弛緩性麻痺”、”痙性麻痺”の2種類があります。言葉の通り、前者は麻痺により筋肉が弛緩し、力が入りづらい状態を指します。後者の痙性麻痺は、脳卒中により持続的に筋収縮が起こり、筋緊張が高い状態を言います。この麻痺の後遺症による、筋緊張の高さは、「痙性」「固縮」の2種類があります。この2点の違いは、神経の経路によって分類されますが、両者の境が不明瞭なケースもあり、総じて筋緊張が高く、運動に支障を来す後遺症として、解釈されます。

この痙性や固縮といった、脳の神経障害は、持続的に筋肉が収縮するように神経伝達されており、服薬による薬物療法や、リハビリによって改善させる運動療法、電気刺激なども含まれる物理療法が手立てとして挙げられます。この物理療法の中には、温熱療法が含まれ、麻痺側を温めることで、筋緊張を緩和する効果が証明されています。
 
 

冬季に筋緊張は高くなる?

麻痺の後遺症をお持ちの方は、経験したことがあるかも知れません。日により、麻痺側の筋緊張の状態が変わる、特に冬は硬くなってしまうといった経験はありませんか。逆に、温かいお湯につかり、筋緊張が高い部分を温めることで、筋肉がほぐれる感覚がありませんか。これは、実際に筋緊張が緩和されるメカニズムとして証明されています。

先ほど述べた痙性や固縮といった筋緊張は、脳卒中により脳の神経路が障害され、筋肉が持続的に収縮するように持続的に指令がだされている状態です。温かい物や、温水に浸かることで、持続的な収縮指令を弱め、筋緊張を緩和する働きがあります。

筋緊張の状態は、外気温に非常に左右されやすく、冬季は痙性麻痺をお持ちの方は、歩きづらさや、動作のしづらさが特にみられることが多いです。リハビリの過程では、なるべく筋緊張を落とした状態で行いところですが、冬季は通常よりも筋緊張が高い状態からリハビリを行うため、苦労されるが方が多いです。

冬季は筋緊張があがる傾向ですが、リハビリの歩みを止めることはありません。筋緊張をコントロールするには、いくつか大切なポイントがあるので、次に述べていきます。
 
 

冬季の筋緊張、克服方法ベスト5

1. 体を温める
すごく初歩的なことかもしれませんが、身体を温める方法や、その後に出来ることがたくさんあります。お風呂に浸かり、身体が温まった後に、ストレッチングを入念に行います。先ほども述べた温熱療法の効果として、筋緊張が緩和されたタイミングで、筋肉を伸ばすことで、可動域が広がり、動作がしやすくなります。もう1点は、動いて身体の代謝を上げることです。筋緊張が高いと動作がしづらく、活動量が低下しがちですが、筋緊張を上げる悪循環となってしまいます。硬くなった筋肉を少しでも動かす。そして温かくなってから、ストレッチングで柔軟性を高めることが、悪循環から抜け出すコツです。

2. 相反抑制
先ほども述べた、麻痺の筋緊張は持続的に収縮が指令として送られています。指や腕、膝や足首に硬さがある場合は、反対方向へ多く動かすことで、筋緊張を緩和することができます。これは、相反抑制と呼ばれ、筋緊張が起こっている反対の動きをすることで、緊張が和らぐ機序を利用した、有効な方法です。膝が伸び、足首も伸び切りやすい場合は、装具を装着し、立ち上がり動作などで、筋緊張をコントロールしてみて下さい。肘や肩が曲がり固まりやすい場合は、肘を伸ばす運動と、肩を真っ直ぐ挙上する動作を入念に行ってみて下さい。必ず動作を始める前に、準備運動として相反抑制を行うと、格段と筋緊張が落ちる感覚を味わえると思います。相反抑制が上手く行えず、動かすことが難しいケースは、下の手段があります。

3.電気刺激
よく低周波治療器を、耳にしたことはありませんか。電気刺激でも、周波によっては逆に筋収縮を強く起こすこともできますが、低い周波数では、筋緊張を緩和させる働きあります。低周波と呼ばれるものですが、麻痺の筋緊張に対しても、緩和させる働きがあるため、動作を行う前に痙性に筋緊張を抑えることで、本来の正しい動作へ導くことが可能です。

4.装具による抑制
筋緊張を抑える方法として、手や足の装具が挙げられます。手では、指を巻き込んでしまうことに対して、スプリントなど伸ばした状態を保つ器具があります。ナイトブレースとも呼ばれますが、夜間の手を使用しない時間帯に、筋緊張により可動域制限が生じないように、伸ばしたまま固定することができる器具になります。足も同様で、足首に対して、足関節用のナイトブレース装着し過ごして頂くこともあります。

5.電動マッサージャーの活用
筋肉をほぐす機器として、様々なマッサージ機器がありますが、麻痺の痙性に対しては、振動療法と呼ばれる振動をかけることで、筋肉が弛緩することが証明されています。振動マッサッジャーを筋緊張の高い部分にあてるだけで、筋緊張を和らげることができるので、試してみて下さい。
 
 

リハビリベースメソッド体験

脳卒中の後遺症に対して改善を図ることは、リハビリの即時的な効果も得られますが、生活の再獲得を図るには、長期戦となります。一度、リハビリベースにて体験をして、後遺症に打ち勝つリハビリをしてみませんか?
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脳卒中 後遺症 電気刺激IVESの効果は!?

 
 
脳出血、脳梗塞の後遺症として、特に悩ましいこと。

「手足が思うように動かない」、「上手くコントロールができない」。
 
 
 
 
脳のダメージにより、運動神経の経路が絶たれ、自分の意思に沿って関節や筋肉を動かすことができない症状が、後遺症の悩ましいことの一つとして、必ず挙げられます。

意思に基づいて筋力が発揮されることを、“随意性”と呼びます。この随意性が後遺症により得られない事で、上肢では手が持ち上げらない、下肢では思うように歩けないといった症状がみられます。

それでは、この随意性の低下に対して、どのようにリハビリをしていくのか。手段の一つに電気刺激が挙げられます。

今回は、脳卒中の後遺症に対して、電気治療器として有名なIVESを使用し、実際に当施設での治療効果をお見せしていきます。
 
 
 
 

電気刺激とは

電気刺激とは、運動麻痺による後遺症で、随意性が低下した箇所にに対し、筋と神経に電気を流して動かせるようにすることを指します。リハビリの方法は、「脳卒中リハビリテーションガイドライン」と呼ばれる、脳卒中患者に対してエビデンス(科学的な根拠)が取れた、様々なリハビリ方法の推奨度が書かれたガイドラインが存在します。このガイドラインは、推奨度(ABSDE)で表現され、電気刺激療法は、グレードBに値します。

この電気刺激は、ガイドラインの中で大きく二つの効果を挙げています。一つは“随意性の向上”。もう一つに、“痙性の抑制”

一つ目の“随意性の向上”は、意思とともに筋肉が動かしやすくなることを指します。

もう一つに“痙性”とは、後遺症として麻痺のある手足に筋緊張が高くなっている状態をいいます。これも、後遺症の重症度や、脳の損傷部位により症状は別々ですが、中等度から重度の方は、痙性も強くあります。この痙性を抑制するのも、電気刺激を用いることが推奨度として高く挙げらえれ、実際に筋緊張を落とすことが可能です。
 
 

実際の電気刺激による効果

今回は、当施設で麻痺の後遺症に対して電気刺激を行った改善例を紹介します。
先程述べたた電気刺激の働きとして、“痙性の抑制”と“随意性の向上”を図り、動作獲得を果たしました。

■下肢
麻痺のレベルは、人ぞれぞれですが、初めにつま先が上がらない状態であった足首が、電気刺激を用いる事で、上がるようになりました。これは、本人の歩行練習などを通したリハビリの効果も含まれますが、初めにつま先を上げる動作感覚を養ったのは、電気刺激の助けが大きくありました。

開始時:つま先が上がらない。

1ヶ月後:つま先が上がり初める。

2ヶ月後:足の上げる下げるの強弱がつく。

3ヶ月後:指が上がり始める。
 
 
■上肢
もう1人の方は、上肢に麻痺の症状があり、指を伸ばすことができない部分に対して、電気刺激を用いました。この方も、痙性があり、指を曲げた状態から伸ばす切り替えに困難さがあったため、指を伸ばす方向に電気刺激を送る事で動作獲得を図りました。

開始時:肩をまっすぐ上げる。

1ヶ月後:肘をまっすぐに伸ばす。

2ヶ月後:手首と指を伸ばす。

3ヶ月後:個々の指を伸ばす。

上肢は、肩から複合的な動きにより、最終的に指の細かい動作が得られます。段階的に身体の中心から近い肩から肘、手首と動作獲得を図り、最終的な指の細かい動作は、特に電気刺激により、細かい動作の感覚を養いました。
 
 

動きや筋力を上げるリハビリベースメソッド

筋力を上げるためには、食事を含めて様々な方法がありますが、特に脳卒中の後遺症をお持ちの方に対しては、大きく分けて二つのポイントがあります。

それは、”発火頻度””感覚入力”です。

発火頻度=筋肉を動かす頻度
感覚入力=力を入れる場所とタイミングの再学習

発火頻度とは、運動麻痺により、動かしにくくなった筋肉に対して、出来るだけ多く動かす頻度のことを言います。これは、筋力トレーニングとは別で、負荷をかけずとも、できるだけ筋肉と神経を結びつける事で、筋力をより発揮しやすくします。

感覚入力とは、脳卒中の後遺症として運動麻痺の他に、感覚の低下が挙げられます。皮膚の感覚や、各関節の動きが把握しづらいため、どこでどのタイミングで筋肉を動かすか分かりづらい状態にあります。感覚の低下に対しては、皮膚の感覚や電気刺激を用いる事で、正しい場所やタイミングで、筋発揮を最大限引き上げていきます。

二つとも、難しい言葉に聞こえますが、たくさん動き、動作学習を多く重ねるこの二つをリハビリベースでは強みとしています。やはり、リハビリ過程で、後遺症の動かなくなった手足を、再び蘇られせるためには、運動量が必要です。運動量といっても、を伴わないと意味がありません。特に、脳卒中の後遺症のような、感覚低下に対しては、皮膚や関節に感覚を入れること。そして正しい動作で行えているか、という点に重きを置いています。

そのためには、後遺症の失われた感覚に対して、電気刺激を送り、正しいタイミングで筋肉を動かせるように促していきます。ここでIVESのパワーアシストモードにて、その感覚を養い、正しい動作が行えてきたら、運動量を多くとる事で、劇的な筋力向上を図っていきます。
 
 
 
 

リハビリベースメソッド体験

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電気治療器IVESの強み

IVESは、電気刺激を送る作業の中でもいつくかの機能があります。代表的な二つの働きとして、単純な電気刺激を送り続けること、もう一つに動きに合わせて電気刺激を送ることもできます。

当施設で、リハビリに励まれた2名の方も、この二つの機能を用いて、動作獲得を図りました。脳卒中の後遺症には、痙性と呼ばれる筋の緊張があり、筋緊張を和らげることが、随意性や動作を獲得する鍵となります。

電気刺激を送り続ける、ノーマルモードにて痙性を緩め、動作練習では、動きに合わせて電気刺激を送る、パワーアシストモードにて動作中の筋活動を促していきます。

様々な電気治療器がある中で、動きに合わせて電気刺激を送ることができるのは、IVESの特徴であり、脳卒中の後遺症で、動作獲得を図る過程では、大きな助けになります。

痙性に対してノーマルモードを使用し筋緊張の抑制
IVESのパワーアシストを用いた歩行パターンの修正

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50代男性 脳出血後遺症 〜復職、ランニング獲得までの道のり〜

 
 
【症例】
50代男性 脳出血 左片麻痺

【ライフゴール】
“スムーズに歩けるようになって、復職したい。”

【リハビリ期間】3ヶ月 24回プラン

【現病歴】
突如、左半身が動かなくなり、救急搬送される。M R Iにて左被殻出血を認め、血腫除去術試行後、回復期病院5ヶ月入院。退院後直後から、当施設にてリハビリ継続の流れとなる。

【身体機能・参加】
回復期では、ADL自立し退院となりましたが、屋外での歩行は足を引きずり、バランスとしても不十分で恐怖心が強い状態でした。今後は工場での仕事再開を目指しており、そのために歩行の改善と、バランスの獲得が必要でした。
麻痺のレベルBrStage4レベルで、歩行は膝や足首が曲がったままでの歩行パターンが根強くありました。足を引きずってしまうため、連続歩行は500m程度でした。手も軽度の麻痺があり、筋緊張はないものの、細かい動作は困難さがありました。
初期評価の段階で、歩行を修正、短いランニングが出来るまで希望があり、以下の目標を立てました。

【目標シート】
 

【リハビリ内容】

脳卒中の歩行パターンとして、股関節から足首が曲がったままでのStiff kneeの歩行パターンに対して、各関節の分離運動の促通を中心に行い歩行の修正を図りました。そのために、脚のストレッチングや徒手療法によって可動域の改善を図ることと、脚の各関節が滑らかに動けるように、協調運動練習を多く行いました。
 分離運動が次第に行えるように、各関節が速いスピードで滑らかに動かせるようになったタイミングで、ジャンプ動作など速い協調スピード練習を開始しました。速いスピードで足首から膝のコントロールが行えるようになったことでランニング練習もこなせるようになりました。
  
  

【Berfore& After 動画】


 
 

【ライフゴール達成】

突然の脳出血から、手術を無事に終えて、回復期リハビリ病院にて6ヶ月を過ごした後、すぐに当施設を訪ねていただきました。後遺症がありながらも、復職への思いが強く、3ヶ月間、当施設でリハビリを励まれました。

ご本人「リハビリ病院の後も、諦めずに最後までリハビリを続けて良かった。」

ご家族「走れるようになるなんて信じられなかった。無事、復職できて安心しています。」

ご家族の献身的なサポートもあり、脳出血から懸命にリハビリを励まれ、病前の生活に戻ることができたことを、とても嬉しく思います。
 
 
【復職支援相談】
リハビリベース国分寺では、「身体が思うように動かず、今は復職が難しい。」といった方々に対しても、リハビリで身体機能の底上げを行い復職を果たしている方々がたくさんいます。

・通勤に必要な歩行能力
・電車通勤に耐えるバランス機能
・パソコンなどの細かい手の作業
・力のいる介護職や工場などの勤務

疾患や、身体の症状は、皆様それぞれです。まずは、職場での動作を細かく聞き取りし、確認していきます。そこから現在の身体機能や、動作で困っている部分を洗い出し、着実に弱い部分の強化を行い、動作獲得を図っていきます。
 
自費のリハビリ施設の強みとして、段階的に慣らし通勤から開始し、完全復職まで時間をかけてフォローアップすることができます。復職を果たした段階でも、「やっぱり肩の痛みが出てくる。」、「仕事の後半で歩きが不安定になってくる。」といった、悩みも多々出てきます。復職後、定期的に動作や身体の状態を確認し、フォローアップしていきます。
 
復職にあたり、お困り事がある場合は、是非一度、体験で私たちと、目標を共有しませんか?
 
 

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リアルな脳卒中が治る確率

リアルな脳卒中が治る確率

 
「脳梗塞が起こった。今後生活はどうなってしまうのだろう。」
 
「今後、どのくらいの確率で、回復するのか。」
 
今回は、脳卒中に起こりうる死亡率から、後遺症の重症度、予後予測まで、脳卒中のリアルな現状を述べていきます。
 
脳卒中と言っても、「脳梗塞」や「脳出血」によって、死亡率から、重症度による治る確率も、ある程度傾向が決まっています。また、脳卒中は、梗塞が起きた部位や、出血した量により、意識レベルや、麻痺の状態、高次脳機能障害など、症状は様々です。
 
脳卒中の分類から、初期評価、それから予後どれだけ動けるようになるのかを、数字を持って述べていきます。
 
 

脳卒中患者の生存率は?

脳卒中の中には、どの病型も死に至るケースがある程度の割合でてきます。ご存知の通り、日本でも死亡患者のうち、脳血管疾患が第4位と上位にあります(厚生労働.2021)。特に、50歳以降になると、心疾患に続き死因第3位に必ず上がってきます。
 
 
 
 
 
 
重症度の確率にも関係しますが、生存率は年齢、全身の健康状態、脳卒中の病型、治療のスピードなど、いくつかの要因によって大きく異なります。「脳出血が起こり、発見が遅くなってしまった」、「心疾患から、脳梗塞が起こってしまった。」など、脳卒中に至る背景からも、治る確率は決まってきます。
 
脳卒中の代表的な病型として、脳梗塞(47.9%)、脳内出血(26.5%)、くも膜下出血(9.5%)、その他の脳血管疾患(2.2%)と、死亡率の割合が挙げられます(厚生労働省「人口動態統計」.2019)。脳梗塞は、脳卒中の中でも、母数として発症頻度が高く、死亡する割合も脳卒中の中で一番多く占めます。
 
 
 
 
全体の数としては、脳梗塞が一番に上がってきますが、急性期の病院では、違う傾向にあります。
国立循環器病研究センターの報告では、院内の脳卒中発症後の死亡率は、脳梗塞(4.4%)、脳出血(16%)、くも膜下出血(26.6%)という順に示されています。脳梗塞に比べ脳出血、さらにはくも膜出血は、病型として重症度や、死に至るリスクが高いと言えます。
 
次は、より細かい病型から、脳卒中が引き起こされやすい傾向をみていきます。
 

脳卒中の病型別の特徴

脳卒中データバンクによると、脳卒中の病型、発症頻度としては、アテローム血栓性脳梗塞(24.1%)、ラクナ梗塞(22.7%)、心原性脳塞栓症(19.2%)。次いで、高血圧性脳出血(13.7%)、一過性脳虚血(TIA:5.8%、くも膜下出血(6.4%)、その他脳出血(3.0)の順にあります。
 
 
 
 
特徴としては、心原性脳塞栓症の場合、60歳以降で年代別に急増し、80歳は30%と起こる頻度が高くなっています。心原性能塞栓症とは、心臓にできた血栓が脳に運ばれ、脳血管を詰まらせる病気です。
具体的な心疾患として、9割以上が心房細動と呼ばれる不整脈から起因し、心臓の老化に伴い増加する脳卒中の代表的なタイプになります。
心原性脳塞栓症の特徴として、重症度が比較的高く、多く介護を要する傾向にあります。
 
 
(厚生労働省「人口動態統計」2019年から抜粋)
 
 
脳出血、くも膜下出血では、60歳以下で発症する頻度が最も高く、それぞれ20%、13%と、他の病型と比較し、若い年層に起こる頻度が高いのが特徴です1)

また下図の重症度スケールNHISSでは、11項目4段階で、麻痺の重症度を分類できる評価があります。この評価は、脳卒中患者に対して予後予測にも有で、信頼性が高いことが証明されています2)

重症度分類は、軽症(1-5点)、中等症(6-14点)、重症(15-24点)、非常に重症(25点以上)となっています。脳出血の場合、5段階中のもっとも重い23点以上が、25%を占めております。

先程述べた心原性脳塞栓症も、20%と重症化する高い割合を示しています。他の病型では、TIAの場合は、4点以下の軽症が90%、ラクナ梗塞では70%と、軽症レベルが非常に多いのが特徴です。
 
 

歩行が可能か、予後判定

先程は、脳卒中の重症化分類としてNIHSSを用いましたが、脳卒中の後遺症を評価する部分として、麻痺のレベルを段階付けすることがよく用いられます。
麻痺のレベルから、実際に起き上がりから、立ち上がり、または歩くことができるかということの、判断材料となります。

代表的な指標として以下の2つ、BrunnStromStage(ブルーンストロームステージ)、Fugl-Meyer assessment(フューゲルマイヤーアセスメント)が挙げられます。

■BurunnStrom Stage (ブルーンストロームステージ)
麻痺のレベルは、手と脚のそれぞれを6段階で評価していきます。大事な麻痺のポイントとして、「分離運動」と呼ばれる各関節が分かれて動くかどうかとういう点に着目しています。分離の逆は「共同運動」と呼ばれ、麻痺が重度で個々の関節を別々に動かすことができずに、共同的に曲げるか伸びるかの2パターンとなってしまっている状態を指します。やはり歩くことや、手を使うといった日常生活の動作は、「分離運動ができる」ステージ4〜5へ育てていくことが大切です。代表的な歩行自立の指標として、二木の、脳卒中が発症した1ヶ月で、今後歩行が可能かどうかの有無を、ブルーンストロームステージを使用して、予後予測を行う指標があります。

■二木の入院後1ヶ月、最終自立度予測基準
他にも、FMAやバランス指標であるBBS、日常生活指標FIMなどのテストを用いて、歩行自立度を評価する指標はありますが、全てを不足なく網羅する指標はありません。ある割合で、当てはまらずとも歩行を達成することができる、慢性期でも時間をかけて自立を図ることも可能です。あくまでも、多い確率として、入院時の設定として、ベッド周囲の動作が自立している、ブルーンストロームステージとして麻痺のレベルが4以上の場合は、歩行を獲得する確率が高い傾向にあります。
 
 
■BBSによる歩行自立評価
BBSとは、Berg Balance Scaleの頭文字をとった略で、項目は下記の通りです。14項目、各4段階評価、総合56点になります。各バランス課題を4段階評価し、総合得点から「転ばずに1人で歩くことが出来るか。」を判断します。
 
1. 椅子からの立ち上がり
2. 立位保持
3. 座位保持
4. 着座
5. 移乗
6. 閉眼立位保持
7. 閉脚立位保持
8. フェンクショナルリーチ
9. 拾い上げ
10. 振り返り
11. 360°の方向転換
12. 踏み台昇降
13. タンデム立位
14. 片脚立位
 
 
 
「カットオフ値」と呼ぼれる、言わば1人で安全にバランスが取れる合格点というものがあり、BBSは45点以上にて、1人でバランスをとり歩けると言われています。この数値は、実際の回復期病院にて取られた有効性の高い数値ではありますが、実際は自宅内の歩行など、伝いができる環境や、屋外で見守りにて行えるなど、歩行導入に対しては、必ず必要な数値ではありません。また逆に、数値が上回っているからといって、必ずしも転倒なく過ごせるといったことでもありません。認知機能や、また危険かどうか判断ができる危険認知、注意力など、高次脳機能も判定する上で重要な要素となってきます。
 
脳卒中の予後や回復の話になると、まず思い浮かべるのは「もう一度歩けるかどうか」という点が着目されると思います。発症後からの予後判定としては、ブルーンストロームステージに基づいた麻痺のレベルから、実際の歩行自立判定としてBBSが用いられます。このような指標を用いる事で、治る確率が上っているか、下がっているのか判断する材料になります。より確率を上げていくには、リハビリが重要なのは過言ではありません。脳卒中の病型の特徴から、致死率や重症度の傾向をみてきましたが、実際の予後予測では急性期を脱して、回復期入院後の評価から日を追うごとに、最終的な回復度合いは明らかになってきます。
 
 

リハビリベース国分寺の取り組み

 
 
リハビリベースでは、脳卒中が起こり、急性期から退院し、そのままリハビリに通われる方や、回復期以降もさらに上を目指しリハビリを求めて来られる方が多数いらっしゃいます。歩行はある程度獲得し、自宅で生活を送りながらも、リハビリを集中的に行いたい方。回復期を経て歩行を行えるようになったが、後遺症をもう一段階改善したい方。歩きだけでなくランニングも目指したい方。保険外では、それぞれの利用者様のニーズに合わせ、目標が実現できるまでリハビリで改善を図ることができます。
 
先程は、脳卒中後の回復として「1人で歩けるようになる」という点で、様々な評価指標を出していきましたが、単独歩行に到達しない重度〜中等度の後遺症をお持ちの方が、回復として諦めざる終えないということではありません。中には、脳卒中が起こり、意識レベルが低い期間が長く、リハビリを3年も受けられずに、覚醒が良くなってからリハビリを開始される方もいらっしゃいます。脳卒中の予後は、先程述べた麻痺の評価だけでなく、病歴や、家族構成、自宅環境、内科的疾患の状態など多様性を富んでいます。その中でも、「少しでもできること増やす。」、「長い時間をかけても歩けるようになりたい。」と、どの目標を持ち、どのように目指していくかで、後遺症との付き合い方は多く異なってきます。
 
 
今までの経過や、現在の悩み、今後の方向性をまずは、一緒に体験で共有しませんか?
 
重症度が高っかったのにも限らず、奇跡的な回復を遂げる。そのようなケースを生み出すのは、やはりリハビリの力にあります。「ダメだ」と言われたことに、まだ可能性が多くあるかも知れません。諦める前に一度、ご相談下さい。
 
 

予想をくつがえすリハビリ

先程も述べたように、多くのブルーンストロームステージにて、2や3レベルの人が歩けないかというと、そうではありません。麻痺に対して、装具や杖を使用し調整を行い、残存する機能を上手く引き出していくことで、歩行獲得を果たす方も多くいます。
それにも、麻痺に対して可動域改善を図ることや、筋力を上げる、動作を修正し獲得するといったリハビリを取り組むことで、可能となることがあります。通例では、回復期と呼ばれる発症後の6ヶ月が回復大きく見込める期間と言われています。
ですが、回復期を経た慢性期でも必要なリハビリを行うことで、麻痺の度合いや動作を改善できることは、エビデンスレベル証明されており、リハビリベースではそのノウハウが実在します。
 
 

歩けないから、終わりでない。。。

脳出血が起こり、なんとか命はとりとめたものの、重い後遺症を患ってしまった。麻痺のレベルも重度、高次脳機能障害もあり、歩行は難しい。それでも、出来る様になることはたくさんあります。寝返りから、車椅子への乗り移り。家族や介護サービスにて手を借りることが出来れば、様々な活動に広げることも出来ます。
歩けないから、リハビリは終わりではありません。助かったからこそ、やれることは無限にあります。自宅に戻っても、時間を経過しても治る確率を上げるリハビリを私達は提供します。
 
 

【参考文献】

1)山口修平. 小林祥泰.(2014)脳卒中データバンクからみた最近の脳卒中の疫学的動向.脳卒中36:378-384.
2)Brott, T., et al. Measurements of acute cerebral infraction: a clinical examination scale.
3)二木立. (1982).脳卒中リハビリテーション患者の早期自立度予測.リハ医学.19:201-223.
4)林真範. 太田郁. 回復期リハビリテーション病棟における脳卒中患者の歩行自立までの期間予測. 理学療法学. 第46巻第3号. 188-195.

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この記事を書いた人

尾作研太 理学療法士

回復期病院にて4年間勤務、主に整形外科や脳血管疾患、脊髄損傷のリハビリに従事。海外の大学にて、ヘルスケアの学位を取得後、訪問リハビリと地域の介護予防に参画。脳血管疾患の方の動作獲得や、装具を含めた歩行の修正、社会復帰までサポートしている。

脳卒中と脳梗塞と脳出血の違い

「脳卒中と脳梗塞の違いは何?」

「脳卒中と脳梗塞の違いは何?」とよく質問があります。

これは、医療知識がない人は区別を付けずに聞き馴染みのある「脳梗塞」で統一して使ってしまっている方がらっしゃるのではないでしょうか。


脳卒中(stroke)と脳梗塞(ischemic stroke)、脳出血(Hemorrhagic Stroke)は、どれも脳血管疾患の一種で、脳への血流が阻害されることによって脳組織に障害を引き起こす状態ですが、その原因と病態、治療が異なります。

今回は脳卒中と脳梗塞、そして脳出血の事についてまとめてみました。

脳卒中(Stroke)

脳卒中(Stroke)は、脳の血流が何らかの原因で突然中断されることによって、脳組織に酸素と栄養分が供給されなくなり、脳細胞が障害を受ける状態を指します。
脳卒中は脳血管疾患の一種であり、急性の脳損傷を引き起こす重大な疾患です。
以下に、脳卒中の定義、タイプ、および病態を簡単にですが説明します。

【定義】
脳卒中は、急性期において、脳組織への酸素供給が不足する状態を指します。
この状態は、脳の血管の閉塞(脳梗塞)または血管の破裂(脳出血)によって引き起こされます
脳組織は酸素と栄養分の欠如に非常に敏感で、その結果、脳細胞が壊死するなど障害を受けます。


【タイプ】
脳卒中の主な原因は以下の2つの主要タイプに分かれます。


 a. 脳梗塞(Ischemic Stroke)
 血管内で血栓(血液の固まり)が形成され、脳血管を閉塞することによって引き起こされます。
 主な原因としては、以下が考えられます。
  ・大動脈の動脈硬化
  ・血栓が他の部位から脳へ移動したもの(塞栓症)
  ・糖尿病、高血圧、高コレステロールなどのリスクファクター


 b. 脳出血(Hemorrhagic Stroke)
 脳の血管が破裂し、脳組織に血液が漏れ出すことによって引き起こされます。
 主な原因としては、以下が考えられます。
  ・高血圧
  ・血管の異常(例:動脈瘤)
  ・血液凝固異常


【病態】
脳卒中の病態は、脳組織への酸素供給不足による神経細胞の損傷に起因します。

 a. 脳梗塞(Ischemic Stroke)

血管の閉塞により、特定の脳領域への血流が途絶え、その結果、神経細胞に酸素と栄養分が供給されません。
 時間とともに、この領域の神経細胞は壊死し、損傷します。

b. 脳出血(Hemorrhagic Stroke)
 脳の血管が破裂すると、脳組織に血液が漏れ出し、脳圧が上昇します。
 これにより、脳組織が圧迫され、神経細胞に損傷が生じます。
 また、出血に伴う炎症反応も問題となります。

脳卒中は急性の疾患であり、速やかな診断と治療が不可欠です。
脳卒中の症状は脳の特定の領域に依存し、重篤な障害を引き起こす可能性があるため、病気を早期に診断し、適切な治療を行うことが重要です。
脳卒中の治療は、病態に応じて血流の回復や脳圧の制御を含み、リハビリテーションもその後の回復をサポートします。

まだまだ詳しく知りたい方へ。
脳梗塞と脳出血を少し詳しく解説します。

脳梗塞

脳梗塞(Ischemic Stroke)は、脳血管が閉塞または低流量によって酸素供給が不足し、脳組織に障害を引き起こす疾患です。
脳梗塞にはいくつかの異なる分類と病態があります。

以下にそれらを詳しく説明します:

【分類】

●大動脈塞栓症(Large-Artery Atherosclerosis)
病態:
このタイプの脳梗塞は、大動脈(主に頚動脈や脳動脈)の内壁にアテローム性斑(動脈硬化による斑塊)が形成され、血栓が形成されることによって引き起こされます。
これらの血栓が脳血管内で詰まることで脳梗塞が発生します。

●心源性脳塞栓症(Cardioembolic Stroke)
病態:
このタイプの脳梗塞は、心臓からの血栓や塞栓物が脳の血管に流れ込み、血流を遮断することによって引き起こされます。
心房細動(心臓の不規則な鼓動)、心室細動、心臓弁膜疾患などがこのタイプの原因となります。

●小血管病変性脳梗塞(Small-Vessel Disease or Lacunar Stroke)
病態:
このタイプの脳梗塞は、小さな脳の血管(脳小血管)に関連した病変によって引き起こされます。
これには微小血管の壁の損傷や狭窄が含まれます。
小血管病変性脳梗塞は、しばしば高血圧と関連しています。

●その他の特定の原因による脳梗塞(Other Determined Etiologies)
病態:
このカテゴリには、特定の病態や原因に関連する脳梗塞が含まれます。
例えば、血液の凝固異常、血管炎、感染症、脳動脈解離などが考えられます。

●原因不明の脳梗塞(Cryptogenic Stroke)
病態:
一部の脳梗塞は、明確な原因が特定できない場合があります。
これらのケースは「原因不明の脳梗塞」とされます。
原因が不明確な場合でも、適切な治療と予防が行われるべきです。


脳梗塞の病態は、血管の閉塞により脳組織への血流が遮断されることから始まります。遮断された領域の脳細胞は急速に酸素と栄養分の供給を失い、細胞の機能が低下します。
この結果、脳梗塞の症状が現れ、脳組織が損傷します。

脳梗塞の症状は、患者の脳の特定の部位に依存し、感覚、運動、言語、認知などの異常を引き起こします。
脳梗塞の治療は、血管を開通させ、損傷を最小限に抑えることを目的としています。
治療には血管拡張薬、抗凝固薬、溶栓療法、および手術などのアプローチが含まれます。
また、脳梗塞の再発を予防するために、リスク因子の管理(高血圧、高コレステロール、糖尿病などの管理)、抗凝固療法、抗血小板薬、および生活習慣の改善も重要です。

脳梗塞の病態は速やかな診断と治療が必要であり、治療が適切に行われない場合、脳組織の損傷が進行し、長期的な障害や合併症を引き起こす可能性があります。
そのため、早期の病院収容と治療が非常に重要です。
また、脳梗塞の病因には個人差があるため、患者ごとに適切な治療計画を立てることが必要です。

脳出血

脳出血(Hemorrhagic Stroke)は、脳の血管が破裂し、脳組織に血液が漏れ出ることによって引き起こされる脳卒中の一種です。
脳出血にはいくつかの分類と病態があります。

以下にそれらを詳しく説明します。

【分類】

●膜下出血(Subarachnoid Hemorrhage)
病態:
脳の表面にあるくも膜下腔(脳とくも膜の間のスペース)で出血が発生します。
通常、くも膜下出血は、動脈瘤(血管の異常拡張)が破裂することによって引き起こされます。
この出血は、くも膜と脳組織の間に血液がたまり、脳組織に圧迫をかけるため、重篤な症状を引き起こします。

●脳室内出血(Intraventricular Hemorrhage)
病態:
脳室内で血液が溜まる状態です。
通常、くも膜下出血や脳出血の合併症として発生することが多いです。
脳室内出血は、脳室内の圧力を増加させ、脳脊髄液の流れに影響を及ぼす可能性があります。

●脳実質出血(Intraparenchymal Hemorrhage)
病態:
脳の実質(脳組織そのもの)で血管が破裂し、血液が脳組織に漏れ出る状態です。
脳実質出血は、高血圧による血管の破裂が最も一般的ですが、脳腫瘍や血管異常などが原因となることもあります。
この出血は通常、特定の脳領域に影響を及ぼし、周囲の組織に圧迫をかけます。


【脳出血の病態】

脳出血の病態は、血管の破裂により脳組織に血液が漏れ出すことから始まります。
この出血は、脳組織に圧迫をかけ、次のような影響を与える可能性があります。

●脳圧上昇
血液の脳組織への漏れは、脳内圧を急速に上昇させます。
この脳圧の上昇は、周囲の正常な脳組織に影響を及ぼし、神経細胞への酸素と栄養分の供給を制限します。

●炎症反応
脳組織への血液の接触により、炎症反応が引き起こされることがあります。
これにより、脳組織がさらに損傷し、脳浮腫(脳の腫れ)が発生する可能性があります。

●神経機能障害
脳出血の影響を受けた脳領域によって、異なる神経機能障害が発生します。
これには言語障害、運動障害、感覚障害、認知障害などが含まれます。

脳出血は非常に重篤な状態であり、速やかな医療介入が必要です。治療は、出血の原因や部位に応じて異なりますが、一般的には手術、薬物療法、血圧管理、脳圧制御などが行われます。
脳出血のリスクを減少させるためには、高血圧などのリスク因子の管理と生活習慣の改善も重要です。

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この記事を書いた人

小児から高齢者、俳優からスポーツ選手のリハビリを経験。ラグビーワールドカップ2019のスポーツマッサージセラピスト、TOKYO2020大会の医療スタッフとして派遣経験あり。スポーツ現場へのサポート、地

原嶋崇人 リハビリベース国分寺院長 運動器認定理学療法士

小児から高齢者、俳優からスポーツ選手のリハビリを経験。ラグビーワールドカップ2019のスポーツマッサージセラピスト、TOKYO2020大会の医療スタッフとして派遣経験あり。スポーツ現場へのサポート、地域高齢者に対しての介護予防や転倒予防事業の講師などを行っている。

脳出血のリハビリに必要な入院期間について

脳出血のリハビリに必要な入院期間について

脳出血や脳梗塞をはじめとする脳血管疾患は内閣府の報告によると要介護の原因の第2位となるなど、再発例も含めて年間で推計29万人発症しています。
内訳としては64%が脳梗塞、25%が脳出血、9%がくも膜下出血とされています。
(『日本の脳卒中の発症者は年間 29 万人―滋賀県脳卒中発症登録事業より推計―』H29滋賀医科大学より)


今回、脳出血をはじめとする脳血管疾患の原因、男女比、入院期間、退院後のリハビリについてまとめてみました。

目次

・脳出血などの脳血管疾患の原因
・脳出血などの脳血管疾患の好発年齢と男女比
・入院期間はトータルでどれくらい
・入院期間を短くする方法
・退院後のリハビリ

脳出血などの脳血管疾患の原因

脳出血や他の脳血管疾患の原因は、生活習慣病と密接に関連しています。
以下に、生活習慣病と脳血管疾患の関連性を説明します。
高血圧(高血圧症)
高血圧は、脳血管疾患の主要なリスク因子の1つです。高血圧が持続すると、血管が収縮し、壁が厚くなり、破裂しやすくなります。これにより、脳出血のリスクが増加します。
高コレステロール(高脂血症)
高コレステロールは、動脈硬化(アテロスクレローシス)の原因となります。動脈内にコレステロールがたまると、動脈が狭くなり、血流が阻害され、脳梗塞のリスクが高まります。
糖尿病
糖尿病は、血管に対するダメージを引き起こす可能性があり、脳血管疾患のリスクを増加させる要因です。高血糖状態が続くと、血管が損傷し、炎症が起こることがあります。
肥満
過度の体重や肥満は、高血圧、高コレステロール、糖尿病のリスクを高め、これらの生活習慣病が脳血管疾患につながる可能性があります。
喫煙
喫煙は、血管を収縮させ、血栓を促進するため、脳血管疾患の発症リスクを増加させます。また、一酸化炭素の影響で酸素供給も制限されます。
不健康な食事習慣
高塩分、高脂肪、高糖分の食事習慣は、高血圧や高コレステロールのリスクを高め、脳血管疾患に寄与する可能性があります。
運動不足
運動不足は、体重増加や血管の健康に悪影響を及ぼし、脳血管疾患のリスクを増加させます。
これらの生活習慣病が積み重なると、脳血管疾患のリスクが高まります。したがって、健康な生活習慣の実践、バランスの取れた食事、適切な運動、禁煙、定期的な健康診断などが非常に重要です。生活習慣の改善は、脳血管疾患の予防に役立つことが証明されています。

脳出血などの脳血管疾患の好発年齢と男女比

脳出血・脳梗塞・クモ膜下出血にはそれぞれの好発年齢と男女比があります。個々により違いますが、一般的なケースは以下の通りです。

脳出血(Intracerebral Hemorrhage)

好発年齢
脳出血は一般的に中年から高齢の人々に多いです。60歳以上の患者が多いですが、若年層でも発症することがあります。
男女比
男性の方が女性よりもやや多い傾向がありますが、両性に発症のリスクが存在します。

脳梗塞(Ischemic Stroke)

好発年齢
脳梗塞は高齢者に多い傾向があり、60歳以上の患者が特に多いです。しかし、若年層でも発症することがあります。
男女比
男女ともに発症リスクが存在しますが、若い年齢層では男性の方がやや多いことがあります。高齢者では性差は縮小することがあります。

くも膜下出血(Subarachnoid Hemorrhage)

好発年齢
くも膜下出血は比較的若い年齢層にも発生しやすく、30歳から60歳の間に多いですが、若い成人や高齢者にも発症します。
男女比
若年層では女性の方が男性よりもやや多いことがありますが、全体的には性差はあまり大きくありません。
これらの脳血管疾患は、年齢、性別、リスク因子、遺伝的要因、地理的要因などによって異なる特徴を持つことがあり、個別の患者においても異なる疫学的特性が見られます。したがって、疾患の発症リスクについては、個別の病歴やリスクファクターに合わせた詳細な評価が必要です。医師や医療専門家に相談し、適切な予防策やスクリーニングに従うことが重要です。

入院期間はトータルでどれくらい

脳出血患者の入院期間は、一般的に急性期(acute phase)と回復期(rehabilitation phase)に経るため、数週間から数ヶ月にわたることがあります。ただし、これは一般的な目安であり、患者の状態や治療計画によって異なります。

急性期(acute phase)

急性期
急性期は、脳出血が発生してから数日から数週間にわたる段階です。この期間では、患者の状態が最も危険で重症な段階です。患者は通常、集中治療室(ICU)や脳外科病棟で監視され、必要な治療が行われます。
急性期の入院期間は、脳出血の重症度、手術の必要性、合併症の発生などによって異なります。重症の場合、数週間から数ヶ月入院が必要なことがあります。

回復期(rehabilitation phase)

回復期
急性期を過ぎた患者は、回復期に入ります。この段階では、患者の身体的な機能と認知機能を回復し、生活の質を向上させるためにリハビリテーションが提供されます。
回復期の入院期間も患者の状態に応じて異なります。軽度の場合でも、数週間から数ヶ月の入院が必要かもしれません。
回復期病院と呼ばれる病院での入院期間は大きく2つに分かれます。発症から180日いっぱい入院できるところと、入院してから3か月で退院しなくてはいけないところです。転院する前に施設情報を集めておくと良いでしょう。
総合的な入院期間は患者の個別の状態によるものが大きく、治療チームが患者の進捗状況を評価し、ADLの自立度を図りながら退院までの道筋を立てていきます。

入院期間を短くする方法

脳血管疾患の入院期間を短くするために、リハビリテーションの観点から考えることは非常に重要です。
リハビリテーションは患者の回復を促進し、機能の喪失を最小限に抑え、動作の再獲得をするのに役立ちます。
以下は、リハビリテーションを通じて入院期間を短縮する方法です。


早期リハビリテーションの導入

脳血管疾患の患者に対して、早期にリハビリテーションプログラムを開始します。
急性期からリハビリテーションを始めることで、患者の機能回復を早めることができます。


個別化されたリハビリテーションプラン

各患者の状態とニーズに合わせて、個別化されたリハビリテーションプランを作成します。
患者の障害や機能の喪失に合わせて、運動療法、言語療法、作業療法などの適切なリハビリテーションアプローチを提供します。


家族の教育とサポート

患者の家族にもリハビリテーションに関する情報とサポートを提供します。
家族の理解と協力は、患者の回復を促進する重要な要素です。


目標設定とモニタリング

リハビリテーションプランには、具体的な目標を設定し、それらの進捗を定期的にモニタリングする仕組みが含まれます。
目標の達成度に応じて治療計画を調整し、効果的なリハビリテーションを確保します。


退院計画

退院前に、患者の家庭環境でのリハビリテーションやサポートが計画されます。患者が入院後も適切なリハビリテーションを受けられるように、適切なサービスやリソースが提供されます。


これらのリハビリテーションのアプローチを適切に実施することで、患者の機能回復が促進され、入院期間が短縮される可能性が高まります。ただし、リハビリテーションは患者の状態に合わせて個別化されるべきであり、医師やリハビリテーションチームの指導に従うことが重要です。

退院後のリハビリ

退院後のリハビリは個別の状態によって変わります。
主な違いとしては介護保険の利用の有無です。
入院中に退院後の生活を見据えて介護保険を申請するケースが多く、訪問診療や訪問看護などの在宅サービスやデイサービスやデイケアといった通所サービスを利用します。
また、介護保険を利用していないケースもあります。それは、申請したが適応外となった方、そもそも介護保険を利用する年齢ではない方、仕事復帰しているため保険サービスを利用することが出来ない方などです。
このような場合、ほとんどの方がリハビリ難民となります。
リハビリ専門家ではない整骨院に行ったり、整形外科クリニックのリハビリも20分程度、医療知識のないスポーツジムなど相談したくても個別の例に対して知識も経験もなく、インターネットやSNSで情報を集めているケースが多いのではないでしょうか。

おすすめは自費リハビリ施設です。
介護保険を利用している方にとっては併用する事ができ、リハビリ時間を増やすことが出来ます。
また、リハビリ難民の方にとっては保険にとらわれない、リハビリを個別に行うため、ケアからトレーニングまで幅広くアドバスをもらうことが出来ます。
職場復帰までのリハビリで週に2-3回通われる方もいらっしゃいます。
施設によっては独自のプランとして宿泊付きもあるようです。
自費のリハビリは社会保障費の増加を背景に国も必要性を認識しており、今後のトレンドとなり、注目されている新しい選択肢となります。
また、再発予防の観点からもアドバイスをすることが出来ます。

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小児から高齢者、俳優からスポーツ選手のリハビリを経験。ラグビーワールドカップ2019のスポーツマッサージセラピスト、TOKYO2020大会の医療スタッフとして派遣経験あり。スポーツ現場へのサポート、地

原嶋崇人 リハビリベース国分寺院長 運動器認定理学療法士

小児から高齢者、俳優からスポーツ選手のリハビリを経験。ラグビーワールドカップ2019のスポーツマッサージセラピスト、TOKYO2020大会の医療スタッフとして派遣経験あり。スポーツ現場へのサポート、地域高齢者に対しての介護予防や転倒予防事業の講師などを行っている。

脳血管リハビリテーション④(小脳)

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今回は、脳血管リハビリテーションの続編、小脳に関しての働き、または小脳出血後遺症の特徴と、アプローチ方法に関して話していきます。
小脳は、前回の脳血管リハビリテーション③で述べた脳幹の後ろに位置しています。
脳幹(中脳、橋、延髄)に隣接しており、それぞれ小脳と協同して働く連絡通路が存在します。
小脳は、大脳小脳、脊髄小脳、前庭小脳に区分されています。発生学的に、古い順番から古小脳(前庭小脳)、旧小脳(脊髄小脳)、新小脳(大脳小脳)という呼称もあります。
脊髄小脳は、虫部と中間部に分かれます。大脳小脳は、脊髄小脳の外側の部位を指します。
前庭小脳は、一番下に位置しています。MRI画像でも、小脳は、脳幹の橋、延髄レベルの横断面にて確認できます。橋上部で上小脳脚、橋中部で中小脳脚、延髄上部で下小脳脚と呼ばれる、脳幹と小脳を結ぶ経路があります。

小脳の位置、構造

図1:大脳と脳幹、小脳の位置

小脳の役割

小脳の代表的な働きとして、「協調運動」が挙げられます。
協調運動とは、相互に調整を保ちながら、複数の筋によって滑らか、かつ正確に運動することを言います。随意運動に関しては、脳血管リハビリテーション②で説明した、意思によって身体を動かすことを指します。
この随意運動の中でも、動きを協調的に生み出している経路の一つとして、小脳は大きな役割を担っています。協調運動の代表的な検査として、図2の指鼻指試験があります。これは、自分の鼻と、相手の指や一点の標的に対して、指を往復させることで、動作の滑らかさと、標的に対して正確に到達しているかを、検査します。協調性が失われると、手のリーチがぎこちなくなる、標的に対し、大きくズレが生じてしまうといったことが見られます。日常生活では、水が入ったコップを掴み、口に運ぶ。物を棚の上に置く。脚に関して言えば、階段を円滑に登り降りができるといった動作も、協調運動が必要です。
より細かく見てみると、小脳の働きは、先ほどの小脳の区分にあったように大脳小脳、脊髄小脳、前庭小脳の3つに分けられます1)
一つ目に、大脳小脳は、視床と橋を経由し、大脳に行く運動指令を、小脳にてコントロールしています。
次に脊髄小脳は、虫部と半球中間部からなり、体性感覚を統合し、脳幹へ伝達しています。また、小脳虫部は体幹の制御を、中間部は上下肢の制御を行っています。
三つ目の前庭小脳は、耳でとられたバランス等の情報を、脳幹の前庭神経核という部分に情報伝達しています。脳血管リハビリテーション③でも述べた耳の前庭感覚によるバランス情報も、小脳を経由し脳幹に集められています。外部からの情報は、視覚や体性感覚、前庭覚が、それぞれの受容器から情報入力されますが、それらの情報が脳の中心部に向かう経路や、情報を統合してまた身体へ送り出す経路は、たくさんあります。
失われた障害経路を特定し、得られやすい、または効果的な方法をリハビリの中で探っていくのも、一つの大事な行程になります。
図2:指鼻指試験
図3:小脳の解剖

小脳性運動失調

小脳の部位と働き、また脳幹や大脳との関係性を理解したところで、次に小脳の脳卒中で引き起こされる、後遺症に関して述べていきます。
小脳の代表的な特徴である協調運動に関して述べましたが、特に脊髄小脳の役割である、筋緊張の調整は、リハビリを進めていく上で非常に大切な機能になります。脳卒中では、運動神経の経路が絶たれ、片麻痺の状態になるこが、非常に多いケースとしてあります。小脳に関しても、片側での麻痺が出るケースもありますが、随意性、筋出力は良好なことがあります。筋力は発揮でき身体は動かすことができるが、上手く調整して動かすことができないといった特徴が、小脳の後遺症にあります。この協調性のように、四肢や体幹の運動調整が失われることを「失調」と言います。特に脊髄小脳では、脳出血や脳梗塞による侵襲部位により、体幹や上下肢のどこに強く失調の症状が出るか、ある程度定まってきます。
小脳性運動失調の特徴のもう一つとして、眼球運動や視覚的な情報が、失われやすいです。
これは、前庭小脳が、平衡や眼球運動を担っているため、眼球運動が直接的に障害されることもあれば、姿勢制御の中で協調運動が上手く行えずに、周囲へ向きづらくなるといった理由もあります。人は、無意識下、または予測的にバランスを保っていますが、小脳性運動失調がある場合は、身体が上手くコントールできずに”固定的”になってしまいます。固定的という現象は、具体的に一つ一つの筋肉が”選択的”に働かずに、粗大な筋肉を緊張させて姿勢をとるという現象です。
小脳性運動失調に特徴的な姿勢としては、腰や背中から頸部まで、一直線に固定される。身体を捻る回旋の動きや方向転換など、細かい動きが必要な動作に対して、非常に弱いとこも特徴の一つです。また頸部が固定的になることから、頭を回旋して周りを見回すような動きもしづらく、眼球運動の動かしやすさを阻害する悪循環が存在します。頸部から頭部の動き、または眼球運動は、関係性が強く、姿勢筋緊張に対しても、眼球運動への影響は大きい報告されています2)
前回の脳血管リハビリテーション③では、バランスの中で視覚の重要性を述べましたが、小脳の姿勢制御と、視覚的なバランス保持は、小脳性運動失調に対してのリハビリに、必要不可欠です。

小脳性運動失調に対してのリハビリ

一様に小脳の後遺症に対してのリハビリは、これが必要とは言いきれません。
脳出血によっては、小脳とまたがり脳幹の一部で侵襲が起こり、片麻痺を呈する場合もあります。まずは、脳画像により侵襲部位を確認することや、身体の症状として、随意性や協調性運動、痺れや感覚の検査を行い、障害部位を具体化していきます。それから、立ち上がりや立った姿勢、バランスの状態や、移乗などのステップ動作、歩行を観察し、総合的に評価していきます。
先程述べた、小脳性運動失調に対しては、失調部位を明らかにしてから、協調性の向上を図る動作も行いますが、個々の細かい筋肉を選択的に使う、そして強化するという行程を踏んでいきます。具体的には、寝返りや四つ這い運動、起立からリーチ動作など、体幹や四肢をより選択的に細かく動かすことで、失調に対し協調性を育んでいきます。座った姿勢や、立った姿勢に対しては、失調により上手くバランスが保てないことに対し、鏡を使用した視覚的情報による代償や、裸足で足底からの感覚を掴みやすくするなど、より本人に効果的に働く感覚入力を行っていきます。
脳血管リハビリテーション②で述べた、障害部位に対して、残存機能を上手く利用していくことは、最終的に障害部位を改善させることにつながります。最後に、リハビリの中でも一番の量を取りたい動作は、歩行になります。歩行が生み出されるプロセスとしても、小脳は、小脳歩行誘発野と呼ばれる、歩行リズムの生成を担っており3)、無意識下での姿勢制御や、歩行での選択的な活動を総じて上向かせることができます。注意点としては、固定的な姿勢ではなく、より良い歩行の中で、量を生み出していくことが大切です。
質と量を重ねることで、効果的な学習効果をえることが出来ます。中には、歩行の不安定さが強く、歩行器や手すりを使用して、一時的な期間、日常生活を送ってもらうケースもあります。本来では、支持物はなく歩行改善を目指していきたいところですが、転倒のリスクや1人で行える環境も考慮し、歩行器を使用して歩行量を増やしていく手段も、最終的な目標達成には必要です。

その他の小脳の疾患

脳血管疾患の区分からは、逸脱しますが、小脳部位の障害は、疾患として他にも存在します。機能としては、小脳が障害されることで、起こりうる障害の特徴は共通点がありますが、リハビリの方向性や、アプローチ方法はまた変わってきます。
小脳障害が起こる代表的な疾患として、脊髄小脳変性症(Spinocerebellar degeneration :SCD)、多系統萎縮症(Multiple system atrophy: MSA)、フリードライヒ失調症(Friedreich’s Ataxia: FA)、多発性硬化症(Multiple sclerosis: MS)があります。
どの疾患も難病指定されており、小脳の機能を多く障害される疾患です。代表的な脊髄小脳変性症(以下SCD)は、推定で日本に約3万以上いると言われており、10万人あたり10~20人の割合でいます3)。SCDは、遺伝性は30~40%、孤発性(遺伝ではない)は60~70%と、家族の中で遺伝的に発症することは、突然の発症と比較し少ないです。家族歴を確認し、遺伝性か孤発性によるものかで、医師による治療方針は大きく変わってきますし、リハビリの方向性としても、アプローチが変わってきます。
遺伝性SCDは、疾患の判別が可能で、SCDの中でも分類として、純粋SCD型と多系統障害型があり、発症時期や症状、予後も異なってきます。共通して言える特徴としては、歩行でフラつく、呂律が回らない、書字が乱れるといった症状が見られます。他には、小脳に2次的障害を与える疾患として、腫瘍や外傷、脳血管疾患、感染症、代謝障害があげられます。

リハビリベース国分寺のアプローチ

今回は、小脳の働きから後遺症、またリハビリ内容に関して話させてもらいましたが、
リハビリベース国分寺での特徴的な取り組みに関しても、述べていきます。小脳の後遺症
をお持ちの方も様々で、車椅子から立つのに介助が必要な方もいれば、室内は伝いで歩く
ことができるが、外はこわくて歩行器が必要など、行える動作や活動範囲は異なります。
異なる後遺症の度合いの中でも、リハビリを共通して行うことは、起き上がりや立ち上が
りなど、基礎的な動作の中で、協調的に運動が正しい動作で行われているかを、初めは重
点的に行っていきます。どんな難易度の動作も、基礎的な動作から誤った動作が学習され
ると、応用的な場面でバランスが上手く取れない、次への動作に移行しづらくなる場合が
あります。ある程度、協調的なバランスが取れるようになると、次は視覚情報を少しずつ
減らしながらのバランス訓練を行っていきます。始めは、バランスをとるのに精一杯で、
足元を注視する傾向ですが、屋外での活動には、周りを見渡しながら歩くといった応用的
な動作も必要なため、視覚情報を減らしたバランス訓練も重点的に行っていきます。リハ
ビリ動作の難易度調整を細かく行っていくことで、段階的に目標に近づいていきます。通
われているリハビリ時間以外にも、自宅生活にて可能な限り活動量をとってもらいます。
ご家族の手が不足していれば、他サービスとの連携も図りながら、リハビリで得た身体機
能を、活動へ出来るだけ多く活かす取り組みをしていきます。日に日にリハビリ効果が出
て、できる活動が増えることも、本人にとって強い励みと、リハビリの大きな原動力にな
ってきます。
リハビリベース国分寺で通われている、脳血管疾患の方々は、麻痺による障害も様々で
、発症してからリハビリを受ける時期も様々です。発症後から、急性期病院にて全身状態
が安定した後に、リハビリ目的で回復期病院へ入院する方もいれば、自宅生活を選択し、
リハビリを通って受けられる方もいます。リハビリベース国分寺の一番の特徴として、ど
の時期においてもリハビリが受けられます。また回復期から維持期まで、リハビリにより

効果を出すことができます。脳血管リハビリテーション①でも述べたように、回復期を脱
した維持期、脳梗塞を発症した6ヶ月以降、1年、5年、10年経過した方でも、適切なリハ
ビリをすることで、身体機能と動作を改善できる部分があります。通って頂いているご利
用者の中には、回復期を終えた後も、もう少し集中的にリハビリを続けたい、身体を改善
させたいという強い気持ちを持たれている方が多いです。また、脳梗塞後、5年、10年と
経過し、最近上手く歩けなくなってきた、麻痺の緊張が高く出来ないことが増えた、とい
う方も短期集中にて、改善を図ることで、元の生活、またはより希望に沿った生活を獲得
される方がいます。ですが、麻痺の状態により、全てを改善されることは難しいです。リ
ハビリベース国分寺では、リハビリを開始する前に、体験を設けており、理学療法士によ
る客観的な評価を行っていきます。そしてご利用者や、ご家族の今後の希望と照らし合わ
せ、具体的なリハビリが必要なところ、または目標に対しての到達できる地点を、客観的
にお伝えし、ご納得頂いてから本契約頂いています。100%、身体機能が改善することは難しいですが、初回体
験にて改善できる部分、リハビリによって到達できる予後を、具体的な期間を持って、説
明させてもらいます。脳血管疾患の具体的なリハビリの過程は、リハビリ事例として挙げ
ているので、ご参照下さい。(50代脳梗塞後遺症)

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この記事を書いた人

尾作研太 理学療法士

回復期病院にて4年間勤務、主に整形外科や脳血管疾患、脊髄損傷のリハビリに従事。海外の大学にて、ヘルスケアの学位を取得後、訪問リハビリと地域の介護予防に参画。脳血管疾患の方の動作獲得や、装具を含めた歩行の修正、社会復帰までサポートしている。

『50代男性 脳出血後、復職への道のり』

『50代男性 脳出血後、復職への道のり』

今回は、当施設に通って頂いている、50代男性のリハビリ過程を紹介させて頂きます。当方は、2年前に右被殻出血をおこし、左片麻痺を呈した方です。脳梗塞後、2年経過し、歩行は行うことができますが、屋外ではバランス機能や体力の低下から、奥様の見守りにて、200~300mの距離がやっとの状態でした。ご希望としては、屋外での歩行自立と、公共交通機関を利用した通勤動作の獲得、復職が挙げられました。

リハビリの流れとしては、以下の過程に沿って進めました。

1. 初期評価

2. 本人やご家族と課題の共有

3. オーダーメイドのリハビリプログラムの作成

4. リハビリ計画に基づく、プログラムの実施

5. 日常生活での目標達成度合いの確認


1.初期評価
 麻痺の後遺症や、高次脳機能障害に対し、検査や評価バッテリーを使用し、客観的な数値を挙げていきます。麻痺の状態を評価する検査としては、ブルンストローム・ステージ、FMA(ヒューゲルマイヤー)等を用いて、初期から経過を点数として追っていきます。その他にも、麻痺の痙性による筋緊張に対し、MASや可動域角度を測定します。動作は、寝返りから、座った姿勢、立ち上がりから歩行まで、客観的に動作観察を行っていきます。実際に動画や、動作解析アプリを通して、本人が感じていることと、実際に生じている現象の差異をここで共有していきます。また本人の訴えや、ご家族からの困りごとを拾うことも、初期評価の一つになります。それらの初期評価は、リハビリ経過の中で、麻痺の状態や動作改善を、客観的に評価していく材料となります。
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歩行分析、装具のチェック
脳梗塞後遺症の方で、装具が必要な方は、歩行分析から装具の確認を行っていきます。装具が効果的に働いているか、麻痺の後遺症による歩行パターンと照らし合わせ評価していきます。今回の方は、左脚に反張膝がみられ、金属支柱の足継手の角度が足りなかったため、角度調整を初めに行い、次に体幹から股関節、膝は運動療法にて歩容修正を図りました。
2. 本人やご家族と課題の共有
 身体機能の評価から、麻痺による感覚や筋力低下、バランス機能低下の原因を探ることと、本人の目指すべき動作に対して、解決すべき課題を提示していきます。課題というのも、身体機能のみならず、動作が行えない恐怖心や不安など、メンタル面での障壁も少なくありません。初期評価から課題共有の段階では、本人の不安な部分から、目指すべき目標まで、深くコミュニケーションをとり、共有していくことを大切にしています。評価やこれから解決すべき内容を、本人やご家族と照らし合わせることで、目標までの道のりをより効果的に進めていくことが可能となります。
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3. オーダーメイドのリハビリプログラムの作成
 初期評価から、課題を抽出、そして共有した後は、課題を克服していくためのリハビリプログラムを個別で作成していきます。リハビリプログラムの中には、期間や段階的な難易度調整が設けられており、それは担当セラピストと予後予測や、課題克服に要する期間が考慮された上で、立案しています。整形外科や、神経筋疾患、脳梗塞まで症状は非常に様々なため、通例はなく、大きく問題点となっている部分に対して、アプローチを行っていきます。リハビリのプログラムには、当施設でのリハビリ以外に、自主的に行って頂く自主的なトレーニングの効果も加味されています。人により難易度や頻度は異なりますが、可能な部分を最大限に引き出していきます。
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4. プログラムの実施
 初めは大きな課題となっている問題点に対し、動作修正と運動学習を図ることで、身体の基礎をしっかりと築いていきます。今回のケースでは、麻痺側の感覚低下から、反張膝の歩行パターンが根強くありました。寝た姿勢でのストレッチングや、麻痺の痙性に対しての促通を行い、起き上がりから、立ち上がり、歩行へと動作をつなげていきました。どの動作においても、誤った動作パターンが共通してみられるため、初期の段階にて念入りに、動作の修正を行っていきます。逆に、立ち上がり一つにおいても、正しい動作パターンが得られることで、立位や歩行に次いでも、正しい筋活動のパターンが得られてきます。より効果的なプログラムの実施にも、大きな問題点となっている誤った動作パターンの修正と、正しい筋活動に導くことで、立案したリハビリプログラムを円滑に進めていくことが可能となります。
身体の基礎が固まってきた段階で、目標達成に向けての実際の活動を徐々に行っていきます。今回は、通勤に必要な歩行スピード、距離、バランスが挙げられました。正しい歩行パターンに修正することで、歩行の推進力が上がり、歩行スピードと歩行距離の延長が図れてきます。実際に、時間を計測しての屋外歩行や、駅構内の移動、電車の乗降などを確認していきます。行っていくうちに、また新たな問題点や課題が見えてくることも多々あります。その都度、修正と本人への注意喚起を促すことで、目標達成に向けての成功体験を積み重ねていきます。
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5. 日常生活での目標達成度合いの確認
 リハビリにて、身体機能の向上と、動作改善を図りますが、実際にそれらの獲得した動作が、日常生活で行えているかを確認していきます。リハビリプログラムを実施していく経過でも、随時、進捗状況は追っていきます。実際に行ってみて、「この動作がやっぱりうまく行かない」、「ちょっとした段差を跨ぐのがこわい」といった新たな問題点に対して、再度評価を重ねながら動作獲得を図っていきます。初期評価から、目標達成までの過程は、必ずしも予定していた通りとはいきません。中には、途中で体調の悪化や、リハビリが来られずに筋力がまた落ちてしまったというハプニングもあるかもしれません。急なアクシデントなど、想定外のことがあるからこそ、初めに立案したリハビリプログラムにその都度立ち返り、目標の再確認や軌道修正を行っていきます。リハビリの過程や、終わった後でも、常に評価と修正は行っていきます。
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リハビリベース国分寺の取り組み
 今回は、当施設に通って頂き脳出血後のリハビリに、励まれている方を挙げさせて頂きました。リハビリ当初は、不安が強く、屋外歩行に対しても恐怖心を強く持たれていました。一つずつ、課題をこなしていく中で、屋外歩行での自信も付き、活動範囲も少しずつ増えていきました。当初の状態から、目標達成までの幅は物凄く大きい状態でしたが、少しずつ目標へ近づいて来られたのも、ご本人の諦めない気持ちや、挑戦し続ける力強さがあったことで、実現できたことだと感じます。身体機能に対して、的確な評価からリハビリを行い、着実な改善を見出していく。それに加えて、本人やご家族の方とも密にコミュニケーションを取ることで、課題への取り組み方や、目標への方向性を共有していくとは、リハビリベース国分寺の強みとして掲げています。今回、脳血管疾患においてのリハビリとして、目標に向かって励まれた当方に、大きな拍手を送ります。

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この記事を書いた人

尾作研太 理学療法士

回復期病院にて4年間勤務、主に整形外科や脳血管疾患、脊髄損傷のリハビリに従事。海外の大学にて、ヘルスケアの学位を取得後、訪問リハビリと地域の介護予防に参画。脳血管疾患の方の動作獲得や、装具を含めた歩行の修正、社会復帰までサポートしている。

脳血管リハビリテーション③ (バランス編)

脳血管リハビリテーション③ (バランス編)

人のバランスってどうやってとられるの?

 日頃の生活の中でも、人はあらゆる感覚や周囲の情報を統合して、バランスがとられています。
朝、ベッドから起きて、足を床に付け、立ち上がる。立ち上がった後、向かう方向を見て歩いて移動する。
何気ない日々の動作は、視覚、皮膚の感覚、関節の位置覚、バランス感覚等、身体の感覚を統合して行われています。
日頃の生活の中で、バランスを崩しそうになった場面はありませんか?
真っ暗な中で歩く。でこぼこした道を歩く。混雑した駅構内、向かってくる人を避けながら進む。周りの人の流れをみながら歩く。日常生活の中で、転ばなくても、よろけてしまう時が、誰しも経験の中であると思います。
転ばずにバランスを保つことができるのは、眼からの情報(視覚情報)、身体から感じる情報(体性感覚)が統合して行える一連の動作になります。
今回の脳血管リハビリテーションシリーズでは、バランスがとられているメカニズムを説明していきます。
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体性感覚

脳血管リハビリテーション②で、述べた感覚の話を少し掘り下げてみます。
人は、身体を動かすとき、脳から指令を送り、自分の意思で身体を動かしています(随意運動)。物を掴む動作を例に挙げると、物の形状を確認し、持ち方や挙げ方を無意識下に考え、動作を実行しています。
次に、物を持ち続ける動作として、手で把持をしながら落とさないようにする、または手の平でバランスを取る。これは、手の皮膚に触れる感覚や、それぞれの関節の位置情報を得て、手のコントロールをしています。
この視覚情報と、手の感覚は、どちらも必要な情報です。仮に目をつむりながら、物を持とうとする時、人は、対象物がどんな物なのか、情報がないまま物に触れることに、恐怖心が生じてしまいます。
手探りで対象物の質感や、形状、大きさや重さを理解し、初めて、対象物の持ち方を頭で構想することが出来ます。
目をつむった状態で、手のひらに置いたボールを落とさないようにすると、すごく難しい作業になってしまいます。
人は無意識のうちに、動作一つの中で、視覚から得た情報や感覚を統合した上で、効率的に動作が行われています。
体性感覚は、下の図1の大きく分けて三つに分類されます。
 初めに、物に触れた時に表面の滑らかさ、粗さを感じることができる、皮膚の表在感覚が一つ挙げられます。この表在感覚は、温度や痛みを感じる情報(温痛覚)も含まれています。
 次に、物を持つときの指や手首の位置は、位置覚と言われ、深部感覚に属します。深部感覚には、位置覚の他に、運動の方向を認知する運動覚、振動を感じる振動覚が含まれます。
 最後に、皮膚に2点同時に触れて認識する感覚(二点識別覚)、皮膚上に書字された文字を認識する(皮膚書字覚)を複合感覚と呼びます。この表在感覚、深部感覚、複合感覚の総称を体性感覚と呼びます1)。
図1: 体性感覚の分類

視覚とバランス

感覚の分類をもっと広げてみると、体性感覚の他に、5つの感覚(嗅覚、視覚、味覚、聴覚、前庭覚)を総称し、特殊感覚が挙げられます。
今回は、バランスに関与する、視覚、前庭覚を挙げ、バランスが保たれる機序をみていきます。
よく聞く話として、平衡感覚は耳にある耳石や三半規管によって感じられ、時に目眩などの原因になることを聞いたことはありませんか。
前庭感覚は、感覚受容器として、三半規管と前庭(耳石)器から構成されます。三半規管では、前後左右と水平回転の三つ、耳石器は、速度などを認識することが出来ます。前庭感覚は、身体の平衡調整に関する姿勢反射や、眼球運動の働きと密接に関係しています2)。
視覚、耳の前庭覚は、バランスを保つことにおいて、非常に関係性が強いです。それぞれの情報が、脳で集約されることで、バランスがとられています(姿勢制御)。
例を出すと、平坦ではないでこぼこ道、暗闇の中を歩くといった動作は、日が出ている明るい時間帯で歩くのとでは、バランスの安定性が大きく違います。当たり前の話かもしれませんが、脳梗塞後遺症で、空間を上手く認識することが出来なかったり、眼球の運動障害から物が二重に見えたりするだけで、バランス保持の困難さに多大な影響を及ぼします。
 視覚は、色彩や光を網膜と言われる受容器で受け、見ている物は、水晶体と呼ばれるレンズの役割を通り、網膜状に映し出され認識します。暗い所から急に明るい所に行くと、瞳孔が縮む現象がみられるのは、眼球内で虹彩と言われる小さい筋肉が閉じ、光が入る量を反射的に調節して起こる現象です。
 眼球の運動は、上下左右、斜めと全部で8方向の動きが、眼球に付いている外眼筋によって動かされています。外眼筋の神経支配は一つでなく、動眼神経、外転神経、滑車神経の三つの神経によって支配されています。
 脳梗塞後の後遺症として、右は向けるが左が向きづらい、下を注視しやすく上側がみにくい、片側だけ眼球が滑らかに動かないといった症状がみられます。眼球運動の動きの確認は、大事な評価の一つで、制限されている動きに対し、障害された経路を追うことや、苦手な方向に眼球運動を促すといったリハビリを行います。視覚の情報は、バランスを保つために多くの割合を占める情報の一つのため、眼球運動や、視覚的なアプローチを行うことは、バランスを獲得するために非常に大切なプロセスです。
姿勢制御の発展的な内容として、前庭系の反射制御があります。
4つの代表的な反射が挙げられますが、頭の動きから目の動きが無意識のうちに動く、前庭覚で受けたバランス感覚から、反射的に首や体幹の筋肉に直接働きかけるような、姿勢制御の機序があります。特に、頸部は視覚からバランスとの関わりが強く、逆に頸部の緊張から眼球運動が妨げる、頸部の過度の緊張から、上手に姿勢制御が行えないといったこともみられます2)。
小脳の後遺症や、体幹が上手く働かないといった体幹失調がある場合、背中の粗大な筋肉や、首の後ろの筋肉が過度に緊張している場合が多いです。

感覚の神経経路

上記に述べた様々な感覚は、脳血管リハビリテーション②の挙げた、脳の大きな分類の中で、頭頂葉の中心後回にある、感覚野に統合されます。
その感覚の経路としては、脳に到達する3次ニューロン脊髄を通る2次ニューロン、それぞれの関節や皮膚に繋がる1次ニューロンの三つの経路に分かれます。
神経路が通る脊髄の中でも、表在感覚(触覚、温痛覚)、深部感覚は、脊髄内で位置している部分が異なり、1次ニューロンの皮膚から得た情報は、2次ニューロンに属する脳幹で交差し、3次ニューロンに到達します。
右側の脳で脳梗塞が起こると、左側の麻痺の症状が出るといった、梗塞とは反対側で症状が起こる機序は、この2次ニューロンにて反対側へ交差することで生じる現象です。脳血管リハビリテーション②では、大脳の分類に関して大まかに述べましたが、今回は、2次ニューロンを担う、脳幹に関して説明します。
脳幹は、大脳の下に位置し、上から中脳、橋、延髄に分かれます。また脳幹の後ろに小脳が存在します。
脳から脳幹、そして脊髄へと経路は繋がります。(小脳の働き、脳幹から大脳の視床への経路は、また続編で述べていきます。)
初めに中脳は、覚醒に関与する脳幹網様体、体性感覚の伝導路であり内側毛帯、温痛覚を担う脊髄視床路、眼球の運動に繋がる動眼神経、滑車神経があります。橋では、同じく網様体、内側毛帯、脊髄視床路は、加えて顔面の感覚を担う三叉神経、表情筋を支配する顔面神経があります。先程述べた、バランスを司る前庭感覚も内耳神経を通して橋に繋がります。
一番下に位置する延髄は、中脳から同様な経路が存在しますが、舌の運動を担う舌下神経、咽頭の感覚や味覚を支配する舌咽神経、運動学習に関与するオリーブ核が代表的な神経路として挙げられます。
延髄は特に、小脳と連絡をとり、姿勢制御の中で筋緊張をコントロールしています。姿勢やバランスを保つメカニズムは、脳幹にて前庭覚や視覚情報、小脳と密接に関与しながら、姿勢制御を担っているこがよく分かります。バランスと言っても、一筋縄に片つけることは出来ず、他にも3次ニューロンの大脳系にて、感覚や情報が統合された結果、姿勢が保たれています3)。

脳梗塞後遺症、バランスのアプローチ

今回は、バランスに関して、視覚から前庭覚の統合と働き、脳から脊髄を通り皮膚や関節までの経路を大まかに述べてきました。隅々までバランスに関与する感覚や経路を追うと、膨大な情報量となり、全てを述べることは出来ませんが、代表的な姿勢制御に必要な働きを挙げさせてもらいました。
脳梗塞後の後遺症で、バランスが上手に取ることが出来ないと言った症状は、梗塞部位や出血量によって様々です。また後遺症を差し引いて残存している身体機能から、目標とする動作の難易度により、具体的に獲得すべき動作やリハビリの内容は様々です。
ベッドから1人で起きられるようになりたい。″〝ベッドから車椅子へ1人で移れるようになりたい。″〝自宅内、手すりや杖を使ってもいいから歩けるようになりたい。″〝屋外にて、1人で歩けるようになりたい。″
上記のADL動作は、全ての動作に共通してバランス機能が必要となり、難易度は段階的に増していきます。
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リハビリベース国分寺では、現在の身体機能から目標である動作獲得まで、どのようなプロセスを踏んで、どのくらいの期間、リハビリが必要かどうか、客観的に評価させて頂きます。
特にバランスの獲得に至っては、今回の脳血管リハビリテーション③で述べた、感覚に対して、本人と対話を重ね、動作一つひとつを獲得していくことで、エラーが起こっている動作に対し運動学習の効果を高めていきます。
.
今回は視覚と前庭覚による、姿勢制御の機序を述べましたが、実際のリハビリの場面では、様々な刺激を、感覚として与えていきます。深部感覚の、関節の位置覚の話があったように、動作の基本的なポイントを随時修正していくことや、麻痺により皮膚の表在感覚が鈍くなってしまっている部分に対し、感覚を入れることで、付随して動く筋に対しアプローチを行っていきます。
例を挙げると、起立動作は、歩行を行う前の立った姿勢を作る上でも非常に大切な動作です。麻痺があると、片側に重心に乗りづらく、筋力低下や、起立後の立った姿勢にて、バランスを上手くとることが出来ないといった症状が生まれます。
麻痺の部分に対して、裸足で床からの表在感覚を入れる、膝と股関節、または骨盤から体幹の動きを誘導していきます。限りなく正しい動作に近づけていくことで、麻痺のある部分に対し、筋力をつける、踏ん張ることができる脚をつくる、感覚を認識し自分1人でバランスを保つことができるまで、入念に繰り返し行っていきます。
感覚から、動作獲得までにも、脚の位置を自分の眼で確認できているか、目をつむるや脚を閉じる等、難しい姿勢でもバランスを保つことができるか、視覚や前庭覚に対し、随時刺激を与えていきます。更に、屋外での凸凹道、人混みでの歩きは、高次脳の克服シリーズで述べたように、注意機能と視覚を上手く使い、歩行が円滑に行えているか、評価と練習を積み重ねていきます。

【参考文献】

1)後藤淳.(2005).中枢神経系の解剖学. 関西理学5:11-21,2005.
2)Treleaven, J. (2008). Sensorimotor disturbance in neck disorders affecting postural stability, head, and eye movement control. Manual Therapy 13(2008)2-11.
3)浅井友詞.(2013). 脳における平衡機能の統合メカニズム. 理学療法第40巻第8号.

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この記事を書いた人

尾作研太 理学療法士

回復期病院にて4年間勤務、主に整形外科や脳血管疾患、脊髄損傷のリハビリに従事。海外の大学にて、ヘルスケアの学位を取得後、訪問リハビリと地域の介護予防に参画。脳血管疾患の方の動作獲得や、装具を含めた歩行の修正、社会復帰までサポートしている。