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脳卒中の後遺症による体幹への影響

脳卒中の後遺症による体幹への影響

今回のブログでは脳卒中の後遺症による体幹への影響について記載しています。
体幹の基本的な機能や脳の領域のお話、日常生活動作への影響、簡単なエクササイズ紹介まで盛りだくさんの内容になっています。
是非、最後までご覧ください。

 
【目次】

●脳卒中とは
●体幹とは
●体幹の役割
●脳卒中と体幹機能
●脳卒中の後遺症による体幹への影響
●体幹機能と日常生活動作との関係について
●エクササイズ紹介
●リハビリベース国分寺でできること

 
【脳卒中とは】

脳卒中とは脳血管の狭窄や破裂などが原因で、脳への血流の流れが止まることによって起こる病気です。
脳卒中は、脳梗塞と脳出血の2種類に大別されます。
脳卒中の種類についてはこちらのブログをご参照ください。→【脳血管リハビリテーション】

 
【体幹とは】

体幹とはその文字が示す通り、「体の幹」ということです。
体の幹なので頭部と上・下肢を除いた胴体部分になります。具体的には胸、背部、腰部、腹部、骨盤周囲はすべて体幹の構成要素ということになります。
体幹を構成する関節や筋肉が協調的に動くことで身体の安定性や姿勢制御、運動制御、体の回旋や前後屈、側屈動作の制御などを担います。

 
【体幹の役割】

体幹は、人体の重心を支え、姿勢を維持するために非常に重要な役割を果たしています。
体幹の主な役割としては筋緊張と脊柱のダイナミックスタビライゼーション(体幹の深層筋が軸を安定させながら表在の大きな筋や末梢の動きを先導する活動)を調節して四肢の機能をコントロールすることです。
また、上下肢を動かす際に体幹の深層にある腹横筋が最初に働くといわれています(先行随意性姿勢調節)。体幹機能不全が起きることにより、軸は不安定になり上下肢がスムーズに動かしづらくなることが予想できます。
また、体幹は、身体のバランスや姿勢を維持するだけでなく、運動や呼吸、内臓の保護など、多くの重要な役割を果たしています。

 
【脳卒中と体幹機能】

脳卒中を引き起こすと、障害された脳とは反対側の半身に運動麻痺が生じます。麻痺した側を「麻痺側」、麻痺していない側を「非麻痺側」と呼びます。
体幹の運動や姿勢制御には、脳の様々な領域が関与しています。特に、体幹の運動制御には、大脳皮質、小脳、基底核、脊髄などの領域が重要な役割を果たしています。
人の運動制御には大きく分けて外側下行路系と内側下行路系が関与するとされています。(図1)
内側下行路系(網様体脊髄路、前皮質脊髄路、前庭脊髄路)は主に姿勢調節や歩行能力に必要な体幹筋や四肢の近位筋の制御を行っています。その他、起立動作や平行機能・筋緊張の制御にも働いています。
内側下行路系は、大脳皮質から脊髄に向かう神経線維のうち、体幹や下肢の運動制御に関与するものを指します。内側下行路系には、大脳皮質から始まり、脊髄に至る3つの主要な神経線維束があります。
まず、錐体路は大脳皮質の運動野から発し、下行路の中で最も重要な神経線維束の1つです。錐体路は、細かい動作や精密な運動制御に関与し、体幹や四肢の運動を制御します。
次に、脊髄小脳路は脊髄小脳性運動失調症と呼ばれる疾患に関連する神経線維束の1つです。脊髄小脳路は、大脳皮質から始まり小脳を経由して脊髄に至るルートを持ちます。この神経線維束は、体幹の運動制御に関与し運動の正確性やバランスを維持するために重要な役割を果たします。
最後に、網様体脊髄路は興奮性神経細胞である網様体から脊髄に向かう神経線維束です。網様体脊髄路は、姿勢制御やバランス維持に関与し、反射的な運動制御にも重要な役割を果たします。
このように内側下行路系は、体幹や下肢の運動制御に重要な役割を果たしています。これらの神経線維束が正常に機能しない場合、運動失調や筋力低下、姿勢の不安定などが生じることがあります。

 
【脳卒中の後遺症による体幹への影響】

脳卒中を発症することにより、体幹の筋肉や感覚が麻痺したり、動作が制限されたりすることがあります。脳卒中が体幹に影響を与える場合、体幹の一部の運動や感覚が麻痺したり、失われたりすることがあります。また、体幹が弱くなることで、バランスや姿勢の制御が難しくなり、倒れやすくなることもあります。適切なリハビリテーションや支援を受けて、体幹機能を回復することが重要です。
これから体幹機能についてや脳卒中後遺症で体幹機能が低下してしまうことにより日常生活へどのような支障が出ていくのか説明していきます。

 
【体幹機能と日常生活動作との関係について】

脳卒中を発症された方の日常生活動作には多くの要素が影響しあっています。身体機能としては、運動麻痺、高次脳機能障害、感覚障害、バランス障害などが挙げられます。
身体機能の中では、体幹機能の関与も大きく、Verhrydenは、脳卒中後に体幹パフォーマンスが低下すること、また体幹パフォーマンスがバランス、歩行、機能的活動の評価と強く関連しており、体幹への評価・介入の重要性を述べています。また、Daviesは、上肢機能、歩行、バランス能力の改善には体幹機能の改善が必要であることを述べています。
体幹は、身体の中心部分であり、姿勢の制御や身体バランスを保つために非常に重要な役割を果たしています。例えば、安定した立ち座りや歩行(特に路面の凹凸や段差など、足元が不安定な状況では、体幹の筋肉の働きが重要)の獲得に重要となります。体幹機能を改善させることで、正しい姿勢を保つことができ、姿勢が崩れたり、腰痛や他関節の機能障害の原因になるリスクを減らすことが出来ます。

上記で述べたように、脳卒中による体幹の障害は日上生活動作に大きな影響を与えることがあります。例えば、脳卒中によって体幹機能が麻痺した場合、次のような日常生活動作に支障をきたすことがあります。
1.立ち上がりや歩行
体幹が弱くなることで、立ち上がりや歩行が困難になることがあります。また、体幹の筋力が弱まることで、歩行中にバランスを失いやすくなるため、転倒やケガのリスクが高くなります。
2.着替えや入浴
体幹の筋肉が麻痺すると、着替えや入浴などの自己介助が困難になることがあります。例えば、体幹が弱いと上半身を起こして服を着ることが出来なかったり、入浴中にバランス崩して転倒するリスクが高くなります。
3.生活習慣の乱れ
脳卒中による体幹の障害は、身体のバランスや姿勢制御に関する機能の低下を引き起こすため、生活習慣病などの病気のリスクを高めることがあります。また、脳卒中の後遺症による強い疼痛や感覚異常がある場合、運動機能を低下させることもあります。
4.呼吸・嚥下機能の低下
体幹の筋肉が麻痺することで、呼吸や嚥下などの基本的な身体機能にも影響が出ることがあります。脳卒中後に起こる肺炎や食道炎などの合併症のリスクも高まるため、生活習慣の改善が必要です。
5.精神的な影響
脳卒中による体幹の障害は、患者の精神的な側面にも大きな影響を与えることがあります。例えば、家族と一緒に生活している場合、自分で日常生活動作を行えないことによって、自尊心の喪失や、抑うつ症状などが生じることがあります。
以上のように、脳卒中による体幹の障害は、日常生活動作に大きな影響を与えることがあり
ます。リハビリテーションによる適切な治療や運動療法を行うことで、体幹機能の回復や改
善を目指し、日常生活の遂行能力の向上を図ることが大切です。

 
【リハビリベース国分寺でできること】

リハビリベース国分寺ではご利用者様の身体機能を細かく評価し、一人ひとりにあったリハビリプランをご提供させていただいております。
基本動作の獲得はもちろん動作改善への介入、ステップアップへのサポート、職場復帰やスポーツ復帰のサポートも行っております。
ベッド上でのリハビリだけでなく、適切な負荷でたくさん運動をしていただくことで脳や筋を賦活し、身体機能向上へ繋げていきます。
「現状の身体状況の評価をして欲しい」、「このままでは仕事に復帰できないかも」、「もっと高いレベルでのリハビリがしたい」、「子供や孫の結婚式に出席したい」などなどこのような想いを抱える皆様の目標に向かってサポートしていきます!!
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【参考文献】

・鈴木俊明.脳卒中運動学.運動と医学の出版社.2021
・江連亜弥.原田慎一.他.脳卒中片麻痺患者の体幹機能と日常生活活動(ADL)との関係について.理学療法科学 第25巻1号.2009
・相澤純也.クリニカルリーズニングで神経系の理学療法に強くなる!.羊土社.2017

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