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1日1万歩は本当に必要? 由来と効果


1日1万歩の根拠は?


ウォーキングや健康に興味のある方なら、一度は「1日1万歩」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

健康づくりの目安として広く知られている数字ですが、実はこの「1万歩」という目標は、もともと医学的な研究から生まれたものではありません。

その由来は、東京オリンピック翌年の1965年に山佐時計計器株式会社が発売した歩数計「万歩計」にあると言われています。覚えやすく親しみやすいことから広く普及し、「健康のためには1日1万歩」という考え方が定着していきました。

歩数が表示されたスマートフォンのイラスト


「では、1万歩に意味はなかったのか」と思われるかも知れません。しかし、そういう訳ではありません。

その後、平成12年に厚生労働省が推進した『健康日本21』では、身体活動量と健康との関係を調べた海外の研究結果などをもとに一定の妥当性が認められ、1日1万歩が健康づくりの目標の一つとして取り上げられました。歩くことが健康維持に役立つこと自体は、多くの研究で示されています。

一方で近年は、「誰もが1日1万歩を目指すべきなのか」という点について、さまざまな研究が行われています。

年齢や体力によって適切な運動量は異なりますし、歩数だけでなく歩く速さや運動強度も健康への影響に関わることが分かってきました。

では実際のところ、健康のためにはどのくらい歩けばよいのでしょうか。今回の記事では、より良いウォーキングの方法についてお伝えいたします。


歩くことで得られる「健康」とは?


まず、歩くことで得られる「健康」とは、どういった結果を指すのでしょうか。

「歩くと健康に良い」と聞くと、何となく体に良さそうなイメージはあっても、具体的にどのような変化が起きているのかは意外と知られていません。

歩行は、私たちが日常的に行う運動の中でも、全身を効率よく使う活動の一つです。特に太ももやお尻、ふくらはぎといった下半身の筋肉は、人体の筋肉量の多くを占めており、歩くことでこれらの大きな筋肉が継続的に働きます。

筋肉が活動すると、そのエネルギー源として糖や脂肪が消費されます。また、筋肉の収縮は血液を押し流すポンプの役割も果たします。中でもふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、足にたまった血液を心臓へ送り返す働きを担っています。

ストレッチする女性のイラスト


そのため、歩行によって血液循環が促されると、全身へ酸素や栄養が届けられやすくなります。さらに、心臓や肺にも適度な刺激が加わることで心肺機能の維持につながり、継続することで体力の向上も期待できます。

このような変化は、生活習慣病の予防や改善にも関わっています。実際に、ウォーキングをはじめとする身体活動には、高血圧や糖尿病、脂質異常症などのリスクを下げる効果があることが、多くの研究で報告されています。

さらに、歩数やウォーキングの程度によって、予防が期待できる病気にも段階があることが分かっています。


歩数の目安


健康のためには何歩くらい歩けば良いのか。
近年、この疑問に対するヒントとして注目されているのが、群馬県中之条町で行われた「中之条研究」です。

この研究では、高齢者約5000人の身体活動量と健康状態を長期間にわたって調査し、歩数と病気の関係を分析しました。

その結果、歩数が増えるにつれて予防・改善が期待できる病気が増えていくことが分かっています。


・4000歩(うち早歩き5分程度)で、うつ病の予防
・5000歩(うち早歩き7.5分程度)で、認知症や要介護状態、心疾患や脳卒中の予防
・7000歩(うち早歩き15分程度)で、がんや骨粗しょう症、動脈硬化の予防
・8000歩(うち早歩き20分程度)で、高血圧や糖尿病、脂質異常症など生活習慣病の予防


この結果を見ると、「1万歩に届かなければ意味がない」ということはないことが分かります。

しかも、同研究では同時に、1万歩・30分を超えて活動しても、心血管系や筋骨格系の機能はほとんど高まらないことを報告しています。
また、激し過ぎる運動では、細胞内で活性酸素が比較的多く発生し、遺伝子に傷をつける可能性があることも指摘しています。

ほかにも、関節などを痛めたりといった事故も考えられます。

つまり、健康づくりは、1万歩という基準で決まるのではなく、自分の現在地から、少しずつ活動量を増やしていくことが大切なのです。



おわりに


ここまで見てきたように、ウォーキングの効果は1万歩を達成した人だけが得られるものではありません。歩数に応じて、様々な病気の予防を期待出来ます。
1万歩は歩けないから、と諦めず、今よりも1歩ずつ増やし、まずはウォーキングの効果が出始める3000歩を目指してみてください。


また、それよりも重要なことがあります。「今の自分に合った活動量を続けること」です。

実は1万歩は、体力が落ちている方にとっては特に、多過ぎると言える数字です。
健康な成人男性の場合でも、目標は9000歩程度となっています。65歳以上の場合、女性では6000歩、男性では7000歩程度が推奨されています。

もちろん普段からしっかりと動いている方であれば構いませんが、例えば、普段3000歩程度の生活をしている方が、無理をして毎日1万歩を目指したとしたら、最初の数日は頑張れても、疲労や関節の痛みが出てしまい、続かなくなってしまうかもしれません。

「まずは4000歩を目指そう」「買い物のついでに少し遠回りしてみよう」といった無理のない目標であれば、長く続けやすくなります。

健康づくりは短距離走ではなく、長距離走に近いものです。
特別な運動を一日だけ頑張るよりも、毎日の生活の中で少しずつ身体を動かし続ける方が、結果として大きな効果につながります。

また、歩数だけにこだわる必要もありません。
歩く速さを少し意識したり、階段を利用したりと、ウォーキングの効果を高める方法は他にもあります。

「今日は目標の歩数に届かなかったから意味がない」と考えるのではなく、「昨日より少し多く身体を動かせた」と前向きに捉えることが、継続のコツと言えるでしょう。

足が奥側に向かって踏み出されているイラスト


リハビリもまた同じです。一度の頑張りで身体が大きく変わることはありませんが、日々の積み重ねは確実に、未来の身体につながっていきます。

リハビリベースは、おかげさまでこの6月で4周年を迎えました。

これまで支えてくださった皆さまに感謝するとともに、これからも、継続の力を大切にしながら、一人ひとりの目標達成をサポートしてまいります。よろしくお願いいたします。


参考
「21世紀における国民健康運動《健康日本21》」(厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/top.html 閲覧日2026/6/7)
「健康長寿に効果的なウォーキング」(健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka-yobou/haya-aruki.html 閲覧日2026/6/8)
「健康長寿を実現するための新常識 中之条研究から見えてきた、”病気にならない方法”」(青栁幸利 『健やかぐんまvol.24』)



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