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緑のなかに身をおくだけで健康増進につながる⁉ ~森林浴~

森林浴ってご存知ですか?

5月を過ぎいまだに寒暖差強いですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
これから梅雨に入り雨の日も多くなりますが、たまの晴れ間には緑の中を歩き外の空気を吸いたいものです。

さて、皆さんは「森林浴」と言われる、昨今世界で注目を集め始めている健康増進法をご存知でしょうか?
これは1980年代の日本で始まり、その後この効果に関する実験や研究が積み重ねられ、2018年「S H I N R I N―Y O K U:The Art & Science of Forest-Bathing」がアメリカ・イギリスで刊行されたのを契機に、今も世界中で注目を集めています。

今回は日本医科大学付属病院の臨床教授であり、「森林浴」研究の第一人者でもある医師李卿先生の著書『森林浴』(前述の著書の日本語訳版)から、内容を抜粋しご紹介したいと思います。

森林浴で行うこと

「日光浴」や「温泉浴」はよく知られていますが、「森林浴」とは何をするものでしょう。森の中を一日中ハイキングやピクニックすることなのでしょうか。
実は森林浴は、必ずしもそのようなものだけを指していません。森の中に入り、五感(視覚・嗅覚・聴覚・触覚・味覚)を介してしっかり森を感じること、それこそが「森林浴」なのです。
歩くだけでなく、ベンチに座ったり、寝転んでいても良いのです。ゆっくり深呼吸をし、鳥の声などを聞きながら森の中にいること、それだけで健康増進効果を得られるのです。

「森林浴」はどのような効果をもたらすのか?

① 体がリラックス状態になる。
自律神経系に働き、血圧や心拍数、血糖値を低下させる、睡眠の改善や脳の鎮静化をもたらします。
② うつ状態の改善をもたらす
精神心理反応として、不安や抑うつ等の減少、活気や集中力、記憶力などを向上させます。
③ 動脈硬化や心疾患、肥満や糖尿病の予防効果が得られる。
内分泌系に働き、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールの減少、血中アディポネクチン、DHEA-Sの分泌を促進します。
④ がんになりにくい体作りができる。
免疫系に働き、抗がんタンパク質の産生を増やすN K(ナチュラルキラー)細胞の働きが活性化します。

気分転換の旅行でも同様の効果は得られる?

研究の結果、旅行などによる転地効果のみではこのような結果は得られませんでした。
これらの効果には、フィトンチッドという森林に存在する物質の濃度が関係していることが分かりました。詳しい説明はこちらの著書をお読みいただくとして、お近くの公園でも構いません、森林環境に身を置くこと、それ自体が精神的、身体的な効果を上げるために必要なことだと言われています。

近隣で森林浴に効果ありそうな場所は?

そこでリハビリベース周辺の地域で、森林浴効果がありそうな場所について選んでみました。(※あくまでもリハビリベースSTの私選です)
国分寺市:エックス山、武蔵国分寺公園、野鳥の森など
国立市:一橋大学、国立の桜並木、谷保天満宮、矢川緑地公園など
府中市:大國魂神社、府中けやき並木通り、府中の森公園など
小平市:小平市立中央公園など
立川市:昭和記念公園(本の中でも紹介されています)など

まとめ

今回日本発祥の「森林浴」について、その効果などをご紹介しました。
森に身を置くだけで精神的にも身体的にも効果が実証された「森林浴」。
皆さんも、買い物やリハビリでの外出の際は、お近くの木々の下での休憩を取り入れるなど、森を楽しむ時間を作ってみてはいかがでしょうか。

参考文献:
李卿:森林医学及びそのリハビリテーション医学への応用について:日医大医会誌17(4),2021
李卿:新版 森林浴 SHINRIN-YOKU:まむかいブックスギャラリー, 2022
李卿:森林浴と未病:未病と抗老化VOL.28:49-53,2019