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➀運動耐容能低下
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運動耐容能とは、その人がどれくらいまでの運動に耐えられるかの限界を指します。
循環機能として酸素運搬機能に不動が影響すると、全身持久力低下により、脱力感や易疲労性が生じます。 20 日間のベッドでの安静臥床により、健康な若年男性の最大心拍出量が 26%減少したという報告がされています。これは、心筋の萎縮による心機能変化と循環血液量の減少によるものと考えられます。 全身持久力は、最大酸素摂取量を測定することにより評価できます。臥床日数が長くなればなるほど最大酸素摂取量は減ってきます。最大酸素摂取量は心臓のポンプ機能と骨格筋の酸素利用能により決定されるので、廃用症候群によりの両者が低下したことで最大酸素摂取量が減少したと考えられます。ただし、トレーニングにより心機能や最大酸素摂取量が回復することが証明されており、さらに全身持久力の低い人は、トレーニングにより最大酸素摂取量を元の値よりさらに増加させることができることを報告しています。 |
➁起立性低血圧
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臥位から急に立ち上がった際に、立ちくらみ、めまい、収縮期血圧の低下などを生じる起立性低血圧も廃用症候群による循環器への影響の代表的な症状です。立つことにより血液が下肢に貯留され、静脈還流量が減少し、心臓の拡張期容量が減少することで収縮期血圧が低下し、その結果、脳の血液循環が低下して、めまいなどを起こします。
また、不動や長期臥床で交感神経活動が障害されるため、下肢の血管収縮が不十分となり静脈還流量が減少することで1 回心拍出量の低下をもたらし脳血液量が低下します。高齢者や重症の患者さんは 2~3 日で出現することもあります。主な症状は顔面蒼白、発汗、めまい、軽い頭痛などで、ひどくなれば失神をきたすことになります。いったん破綻した交感神経系の機能を戻すにはかなりな訓練期間を要します。 要するに循環血液量低下と血管運動調節機能障害、心筋機能の低下が、起立性低血圧や眩暈や失神症状を引き起こしてしまうということになります。 |
➂静脈血栓
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廃用症候群による循環器への影響の中でも非常に危険な症状が深部静脈血栓です。
不動による下肢筋群の筋収縮-弛緩ポンプ作用の減少が、血流の停滞、循環血漿量の減少による血液凝固能を亢進させて、静脈血栓が生じます。 循環血液量は安静臥床後 2 週間で血漿量の 8~12%、2~4 週間で 15~20%減少するといわれています。その結果、血液粘稠度は増加し静脈血栓の危険性が高まります。 つまり、血液がドロドロになってしまい、血栓と呼ばれる血の塊が出来てしまうということになります。 血栓は特にふくらはぎにあらわれやすく、むくみや痛みの原因にもなります。 また、血栓は血流にのって全身に運ばれ、血管を詰まらせることがあり、肺動脈を詰まらせる肺血栓塞栓症が代表的です。肺血栓塞栓症は「エコノミークラス症候群」という名称でも知られています。 肺血栓塞栓症になると、肺での酸素・血液の交換がうまく行われなくなり、症状を放置すると、呼吸不全や低血圧によって命を落とすこともあるため、深部静脈血栓の予防や早期発見と早期治療が必要です。 |
➀換気障害
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長期に渡る安静臥床により呼吸運動も少なくなり、胸郭の可動性の低下、横隔膜や肋間筋の運動が制限され、筋力が低下します。
呼吸筋の筋力低下、胸郭の可動域制限は、一回換気量、分時換気量、肺活量、機能的残気量の低下を減少させ、その結果、拘束性換気障害が生じます。つまり肺活量の減少や1回換気量の減少です。また換気量が減少することと過剰拡散が生じるために換気血流比が不均一となり、動脈血酸素濃度も低下します。 さらに、換気量の減少と腹筋群の筋力低下などにより咳嗽力(がいそうりょく/咳をする力)も低下します。咳をする力が弱まることで誤嚥のリスクも増加し、その結果、肺炎や無気肺なども生じることがあります。 |
➁誤嚥性肺炎
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物を飲み込む働きを嚥下機能、口から食道へ入るべきものが気管に入ってしまうことを誤嚥と言います。
背臥位の姿勢が続くと、重力によって細気管支のより低い部分に粘液が溜まり、気管支線毛の浄化機能が損傷され、細菌感染の基盤となってしまいます。このような場合では口腔内の清潔が十分に保たれていないこともあり、口腔内で肺炎の原因となる細菌がより多く増殖してしまいます。また、咳反射が弱くなり嚥下機能が低下し、その結果、口腔内の細菌が気管から肺へと吸引され、肺炎を発症します。 誤嚥性肺炎は、嚥下機能障害のため唾液や食べ物、あるいは胃液などと一緒に細菌を気道に誤って吸引することにより発症します。肺炎球菌や口腔内の常在菌である嫌気性菌が原因となることが多いとされます。 また、栄養状態が不良であることや免疫機能の低下なども発症に関与してきます。 発熱、咳、膿のような痰が肺炎の典型的な症状ですがこれらの症状がなく、なんとなく元気がない、食欲がない、のどがゴロゴロとなる、などの非特異的な症状のみがみられることが多いのが誤嚥性肺炎の特徴です。 治療としては抗菌薬を用いた薬物療法が基本ですが呼吸状態や全身状態が不良な場合は入院して治療を行います。同時に口腔ケアの徹底、嚥下指導も重要です。 |