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寝たきり?廃用症候群を防げ!!

寝たきり?廃用症候群を防げ!!

「寝たきり」や「廃用症候群」一度は耳にしたことありませんか?
今回のブログでは寝たきりや廃用症候群についての内容をまとめています。

 
【目次】

●寝たきりとは
●寝たきりになる原因
●寝たきりと廃用症候群
●廃用症候群とリハビリ
●まとめ

 
【寝たきりとは】

「寝たきり」は、身体の状態を表す言葉で、病気やけがなどによって、長期間にわたって寝たままの状態が続くことを指しますが「寝たきり」という言葉には明確な定義はないとされています。
厚生労働省では「おおむね6カ月以上病床で過ごす者」とされています。しかし、寝たきり度の判定基準として介護保険申請の際の意見書で記載する「障害高齢者の日常生活自立度(JABC)」の中で,ランク B(車椅子利用レベル)も寝たきりとして取り扱われていることから、必ずしも言葉通りの“ベッドの上から動かない人”のことを指しているわけではないです。
区分
ランク
条件
生活自立
ランクJ
何らかの障がい等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する。
1.交通機関等を利用して外出する
2.隣近所へなら外出する
準寝たきり
ランクA
屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしでは外出しない。
1.介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活をしている
2.外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている
寝たきり
ランクB
屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ
1.車いすに移乗し、食事、排せつはベッドから離れて行う
2.介助により車いすに移乗する
ランクC
1日中ベッド上で過ごし、排せつ、食事、着替において介助を要する
1.自力で寝返りをうつ
2.自力では寝返りもうてない

 
【寝たきりになる原因】

寝たきりになってしまう原因としては以下のものが挙げられます。
・脳血管疾患
・心疾患
・関節疾患
・骨折や転倒
・かぜ、肺炎
・リウマチ、関節炎
・認知症
・高齢による衰弱

最近の調査(2019年)では、寝たきりになる原因の中で1位:認知症(24.3%)、2位:脳血管疾患(19.2%)、3位:高齢による衰弱(11.2%)、4位:骨折・転倒(12.0%)、5位:関節疾患(6.9%)、6位:心疾患(3.3%)という結果でした。
2013年の調査までは脳血管疾患による寝たきりが1位でしたが2013年以降、認知症による寝たきりが増加傾向にあります。
増加している理由は定かではないですが、平均寿命が延びていることや、脳血管疾患や関節疾患などに対するリハビリが早期から介入することが多くなり、寝たきりを予防できているのではないかと考えられます。
そして、このような病気やケガにより臥床期間が長くなることで廃用症候群を発症してしまうリスクも非常に高いです。

 
【寝たきりと廃用症候群】

廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することや活動性低下による身体機能の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のことをいいます。
廃用症候群の進行は速く、特に高齢者ではその現象が顕著です。1週間寝たままの状態を続けると、10~15%程度の筋力低下が見られるといわれています。
さらに、気分的な落ち込みが現れることにより、うつ状態になったり、やる気が減退したりと、精神的な機能低下もよく見られます。
廃用症候群は、主に「運動器障害」「循環・呼吸器障害」「消化器障害」「泌尿器障害」「自律神経・精神障害」「褥瘡」などを引き起こします。
運動器障害
身体を動かさないことによって起こる「筋萎縮・筋力低下」や、関節付近の筋肉や皮膚などの組織の短縮により、関節の可動域が制限されてしまう「関節拘縮」、不動による骨吸収亢進により続発性骨粗鬆症として「骨萎縮」が生じてしまいます。また、低栄養状態やステロイド治療等、臥床以外にも骨量減少を誘発する要因をもつ者では骨萎縮が進行しやすいとされています。
循環器・呼吸器障害
寝たきり状態が長引くと心肺機能の低下も起きてしまいます。心臓の機能低下により心拍出量の低下とともに立ちくらみ(起立性低血圧)などもみられやすくなります。また、特に下肢を動かさない状態が長引くことで、血栓ができてしまうことがあります(深部静脈血栓症)。
さらに、呼吸に関係する筋肉の筋力低下によって肺活量が低下し、換気量も減少していきます。長期間上半身を起こさないでいることで、嚥下機能が低下し「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」を引き起こしてしまう可能性もあります。
消化器障害
不動による交感神経系亢進の結果、腸管蠕動運動が低下し、括約筋収縮の増大による栄養吸収率低下から、体重減少、便秘が生じてしまいます。
臥床姿勢による食物の通過時間の延長が食欲低下や食事量減少に影響し、低栄養状態が筋萎縮、骨萎縮を助長してしまいます。
泌尿器障害
不動による骨量の減少と骨吸収の亢進により高Ca血症,高Ca尿症が生じ、尿路結石を生じやすくなります。
膀胱結石があると膀胱粘膜を損傷し、細菌の繁殖により尿路感染を起こし、バルーンカテーテルの留置は、易感染、尿道損傷、結石形成を助長してしまいます。
自律神経・精神障害
身体機能の低下や制限により、生活環境や心理的ストレスなどが引き金となって発症することが多いです。気持ちをふさぎ込むようになり「抑うつ」状態になりやすくなります。気分が落ち込むことで、運動や食事に対する意欲も低下し、さらに身体機能を低下させてしまいます。また、活動量低下により日常生活での刺激が少なくなることで生活のメリハリが乏しくなります。
その結果、認知機能も低下しやすくなったり、睡眠のリズムも保てなくなったり、せん妄や見当識障害などに繋がっていったりするケースも少なくありません。
褥瘡(床ずれ)
特に寝たきりの状態で注意したいのが 褥瘡(じょくそう)で、一般的には「床ずれ」と呼ばれています。
褥瘡は皮膚や筋肉が圧迫され、血流が低下して酸素や栄養が不足することによって生じる皮膚の損傷のことです。褥瘡は、長期間同じ姿勢で過ごすことによって、特に腰、お尻、踵などの部位で発生しやすいです。また、栄養状態の悪化や水分不足が原因にもなります。
褥瘡の予防には、適切な体位変換や圧迫の軽減が必要です。また、食事による栄養補給や適切な水分補給も重要です。

 
【廃用症候群とリハビリ】

廃用症候群は身体を動かさなくなることで少しずつ進行していく症状です。例えば、安静臥床のままでは、初期に約 1~3%/日、10~15%/週の割合で筋力低下がおこり、3~5 週間で約50%に低下すると言われています。
また、運動能力が低下することにより動く意欲が落ち、さらに運動量が減って、身体機能が低下してしまうという悪循環に陥ってしまうケースが多いです。この負の連鎖が続くことで、「寝たきり」になってしまうことになります。
病気になれば安静にしていることが一般的な治療方法になる場合もありますが、廃用症候群が生じてしまう前に病気やケガの状態に合わせた適切な負荷で運動を行うことで廃用性症候群や寝たきりが予防できると考えています。万が一廃用性症候群になってしまった場合は、できるかぎり速やかにリハビリを開始して運動能力をすぐに取り戻す必要があります。
運動能力を取り戻すことにより、動くことへの抵抗感の払拭、関節可動域や筋力の改善、心肺機能の改善、精神的活力の向上などへ繋がってくることが期待できます。
対象者の運動レベルに応じてリハビリプランを組み、運動を行っていきます。
日常生活動作(寝る・起きる・座る・立つ・歩くなど)を安定させるリハビリから外出するための訓練など、身体状態や運動レベルを確認しながら徐々に運動量を確保していきます。
ただ、リハビリを遂行するのではなく、何を目標にリハビリを進めているのかを明確にしながらリハビリを行い、運動への意欲を保つことも必要になります。
廃用症候群に対して運動や精神面でのリハビリだけでなく栄養面での介入も非常に重要になってきます。
廃用症候群を発症された方は低栄養状態になりがちなため、食事による予防法も効果的です。身体を動かす意欲を向上させるためにも主食、主菜、副菜を基本に栄養バランスが整った食事、とくに筋肉の材料になるたんぱく質を豊富に含む食品を摂ると良いとされています。
また、対象者の状態をしっかりと観察し、食欲がない場合は原因を突き止めることが大切です(咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ)機能低下、食欲不振、消化機能の低下など)。対象者の状態に合わせて、口腔内を清潔に保つ、嚥下訓練をおこなう、十分に水分を補給する、消化しやすい食事に変えるなど対策することが望ましいです。

 
【まとめ】

寝たきりや廃用症候群は予防が肝心です。
「廃用症候群」の認識が世間に広まったことで、現在では入院中も「絶対安静」から「できるだけ体を動かす」という流れになっています。
病態や症状(脳血管疾患や整形疾患など)によって異なりますが、入院直後からリハビリ介入するケースも少なくありません。
廃用症候群を予防するためには当たり前ですが、入院中のリハビリや日常生活の中で積極的に体を動かすことが一番の予防方法です。また、栄養管理も予防方法の一つです。
痛みや体が動かしにくい状態にある場合、その原因を少しでも解消することが廃用症候群を予防する第一歩になります。

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