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脳卒中の後遺症における歩行障害について

脳卒中の後遺症における歩行障害について

今回のブログでは脳卒中後遺症における歩行障害について、歩行障害の種類や歩行パターンの分類、リハビリについてまとめています。

 
【目次】

●歩行障害とは
●脳卒中と歩行の関係
●脳卒中の後遺症における歩行の特徴と歩行パターン分類
●生活期でのリハビリの重要性
●リハビリベース国分寺での取り組み

 
【歩行障害とは】

歩行障害は、神経・筋肉・骨格系の要因が複合的に作用することにより引き起こされる、歩行機能の障害です。歩行は、脳・脊髄・末梢神経系の信号が綿密に調整されたものであり、その障害は、神経障害、筋骨格系障害、脳血管障害などの様々な病態によって生じます。
「歩く」ためには、ただ単に足の筋肉を使うだけではなく、脳が命令を出し、その命令を伝える神経の働きが必要になります。
そのため、歩行障害の原因には筋肉組織や骨組織そのものの損傷だけでなく、脳組織、神経組織の影響を受けているケースもあります。
また歩行障害は、脚全体が正常に動かせない場合と、膝や足首など特定の部位の動作が不完全で引き起こされる場合とがあり、それぞれのケースに応じてリハビリ内容を考えていく必要があります。
歩行障害には、さまざまな症状がありますが、一般的には歩行速度の低下、歩幅の狭小化、膝や足首の可動域の制限、足の引きずり、バランスの悪化、転倒などが挙げられます。これらの症状は、日常生活において様々な困難を引き起こすことがあります。例えば、家事や買い物、移動や外出などの行動の制限、自己介護の困難、社会参加の制限などが挙げられます。
歩行障害は、症状が進行するとともに、身体機能の低下や社会参加の制限などが生じ、生活の質を低下させることがあります。そのため、リハビリでの機能改善が重要であり、対象者の症状や原因に応じた適切なプランを提供することが必要です。また、患者の生活環境や社会的支援にも配慮しつつ、持続的なリハビリを行うことが大切です。

 
【脳卒中と歩行の関係】

脳卒中を引き起こすと、脳内の血液循環が悪くなり、脳細胞が酸素不足や栄養不足になって死滅することがあります。また、脳細胞が壊死した後には、周囲の神経細胞も障害を受けるため、脳の機能が低下することがあります。
このような脳の障害によって、運動に関する中枢神経系が損傷することがあります。運動には、体幹のバランス感覚や筋肉の調整、協調、制御が必要とされていますが、これらの機能を担う脳部位が障害を受けると、歩行障害が発生すると考えられます。
さらに、脳卒中後には、筋肉や腱、関節などの組織にも損傷が生じることがあります。このような損傷は、筋肉や腱、関節の拘縮や強直、感覚異常、疲労感などを
引き起こすことがあります。例えば、筋肉の拘縮や強直は、筋収縮力の変化や運動の制限を引き起こし、バランス感覚や歩行時の足の置き方、歩行スピードにも影響を与えます。

脳卒中の後遺症に多い歩行障害
痙性歩行
下肢の筋肉が過剰に緊張することで、足首や膝を曲げたまま歩く、あるいは脚を引きずるように歩く、歩く速度が遅くなるなどの特徴が見られます。
はさみ足歩行
筋の痙縮や強直により股関節の内転・内旋力が強くなり、足先が内側に向かって接触するために生じる歩行障害です。
鶏歩
足首の背屈が生じずに底屈してしまうため、歩行時にすり足にならないように足を高く上げ、膝を曲げて歩く歩行障害です。
動揺性歩行
腰や上半身を左右に振りながら歩く、トレンデレンブルグ徴候が一つの例です。
小刻み歩行(パーキンソン歩行)
膝を軽度曲げ、前かがみの姿勢で歩幅が狭くなってしまう歩行障害です。
運動失調性歩行
運動失調性歩行の特徴は、歩行時に左右の足の歩幅が異なる、足を前に出すときにバランスを崩す、歩行中に足がもつれるなどの歩幅の不均一や運動の協調性の低下などが挙げられます。

 
【脳卒中の後遺症における歩行の特徴と歩行パターンの分類】

脳卒中の後遺症は脳血管障害により、随意性低下、異常筋緊張、感覚障害や姿勢調節障害などを呈し、歩容(歩行時の姿勢)や歩行障害の質・程度には個別差が大きいです。
脳卒中の後遺症を全体としてみると歩行速度の低下、麻痺側単脚支持期の短縮、両脚支持期の延長、歩幅の短縮、足関節の可動域制限などが多くみられます。

麻痺側膝関節の動きによる歩行パターン分類
脳卒中の後遺症における歩行障害で膝の動きに着目し、歩行を分類しているものがあります。
Quervainらは麻痺側立脚期の膝関節の動きに着目し、立脚期に膝が過剰に伸展する歩行(extension thrust pattern:膝伸展パターン)や、膝関節が過剰に屈曲する歩行(buckling knee pattern)立脚期に膝関節がほぼ固定されている歩行(stiff knee pattern)に歩行パターンを分類しました。
歩行分析においても「反張膝」や「膝折れ」など脳卒中の後遺症における歩容を膝関節の動きで表現することに加え、上記の歩行パターンは実際のリハビリ現場でも多く見られます。
また、上記のパターンの中で立脚期に膝が過剰に伸展する歩行(extension thrust pattern:膝伸展パターン)は2つに分類されることがあります。
足を地面に接地した直後に膝関節が伸展するパターン「初期膝伸展パターン」立脚中期から立脚後期にかけて膝関節が伸展するパターン「中期膝伸展パターン」の2つに分類されます。
歩行評価をする際にこのような異常歩行パターンを理解することで適切なリハビリにつなげることが出来ます。

 
【生活期でのリハビリの重要性】

リハビリの時期は「急性期」、「回復期」、「生活期」の3つに分けられることが多いです。
今回のブログでは「生活期」に着目してリハビリについてご説明していきます。
『脳卒中治療ガイドライン2015』では回復期リハビリ終了後の慢性期脳卒中の方に対して筋力、体力、歩行能力などを維持・向上させ、社会参加促進、QOL(生活の質)の改善を図ることが強く勧められています。
生活期のリハビリの効果は、リハビリの「質」が重要になってきます。とにかく筋トレ!とにかく練習!というよりも適切なトレーニング方法に基づいてのリハビリプログラムやホームエクササイズを実施することで、身体機能や歩行能力の改善に繋がってくると考えています。
もちろん十分なリハビリ時間を確保することは非常に重要ですが、ただ時間だけを長くするのではなく、リハビリの「質」も確保することで機能改善に大きな影響を与えてくれると考えています。

生活期でのリハビリでは筋緊張に伴う歩行機能障害と歩行システム問題に伴う歩行障害が多くみられます。
入院中はリハビリ時間が必然的に多く確保できるため、身体機能や歩行機能も確保できています。
入院中のリハビリが終了した時点ではさほど目立たなくても、生活期での長い経過に伴い、確保されていた可動域の減少や、残存筋力の低下が出現してしまうことで、知らず知らずに効率を追求してしまいます。麻痺側の残存機能に頼った動作や非麻痺側の過剰努力による動作が繰り返される左右非対称的なパターンが筋緊張亢進に繋がってしまいます。
筋緊張亢進に伴い、歩行周期の乱れや歩行中の各関節の役割(ロッカーファンクションなど)の破綻も生じてしまう可能性があります。
また、左右非対称な歩行パターンを継続することで、繰り返し同部位にストレスが加わることによる疼痛や関節変形、麻痺側の筋力低下などを引き起こします。
生活期においても,集中的な下肢筋力強化や歩行練習は歩行能力を改善させ,発症から長期経過した脳卒中の後遺症の方に,下肢機能練習や筋力強化,機器を用いた歩行練習を行うことで 歩行機能が改善することが様々な研究により明らかになっています。

 
【リハビリベース国分寺での取り組み】

➀痙性に対する介入
適切な評価の元、動作の妨げとなっている部位を徒手的な介入や電気刺激による介入を行い解決していきます。
➁歩行訓練量の確保
麻痺の程度に合わせて、訓練量を十分に確保します。訓練量だけでなく訓練内容にもこだわっています。
各歩行周期に応じたエクササイズやトレーニング方法で改善を図ります。
➂トレッドミルを使用した歩行訓練
安全に配慮し、トレッドミル歩行を行うこともあります。
トレッドミルを使用することにより、歩行距離の延長、歩行スピードの向上、転倒予防へ繋がることが期待できます。
➃積極的に屋外歩行や公共交通機関の練習を行う
ご利用者様の目標(スーパーまでのお買い物、職場復帰、旅行など)に合わせて屋外訓練も積極的に行います。
➄適切な歩行補助具(短下肢装具や杖など)の提案
現在使用している歩行補助具が本当に適切か、リハビリを進めていく上でご利用者様やご家族様と確認しながら歩行補助具による介助量の増減の提案させていただきます。

リハビリベース国分寺では1回の施術時間は90分となっており、リハビリ時間を十分に確保し、その中で「リハビリの質」にもこだわっています。
マンツーマンで身体のケアから運動まで行い、効率よく、そして確実にリハビリ効果を発揮できるようにサポートしています。

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